2006年4月


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2006年4月2日〜4月10日 企画 大倉宏

漆山昌志(うるしやま まさし)
■1955年安田町(現阿賀野市)生まれ。愛知県岡崎市で石工修業。81年帰郷し漆山石像彫刻を開業。県内各地の寺社などの狛犬、石仏、石燈籠などを制作。88年から県展、芸展に石彫を出品。96、2000年県展で奨励賞。94、96年芸展連盟賞受賞。2000年二科展で特選。01、03、05年新潟絵屋で個展。

 

←h.23cm(写真:村井勇)

いつだったか漆山さんと話していて、今の日本の墓石や灯籠はほとんどが外国(主に中国)製品だと教えられ驚いた。人件費等の差で圧倒的に日本の職人は不利らしい。独自のものを作っても、すぐにコピーされてしまうのだという。日本の石職人の将来は真っ暗なのだ。民家ブームで木造文化の見直しが一般の人の世界にも広がってきたが、木造文化と深い係わりを持つ日本の石造文化にも、私たちはもっと目を向けるべきだろう。
日本文化とは、身近に以前からあるものを受け継ぎながら、現在進行形で刺激的なもののこと。地元の安田の石を彫り続ける漆山さんの「彫刻」は、職人の世界から見れば逸脱で、現代彫刻として見れば職人的かも知れない。でも古い石仏や灯籠の触感を想起させる石像の表情は、それを見る今の私の心を動かす。こういう仕事を微力ながら紹介しつづけるのが、私にできる日本文化応援だ。大袈裟な、と漆山さんに言われそうだが。(大倉 宏)

 


 
2006年4月12日〜4月20日
企画 中林二郎

大竹英志(おおたけ えいじ)
■1955年旧新津市生まれ。名古屋芸術大学美術学部卒業。新象展、現代日本美術展、日韓現代美術交流展、シェル石油現代美術大賞展等に参加し、個展も開催。現在千葉県内で高校教師の職と同時に様々な美術活動を行う。

←「TOKI 0509-02」2005年
キャンバスに和紙、アクリル絵の具、鉄さび、ろくしょう(銅のさび) 30×60cm

大竹さんが昨年の2月に、自身のこれまでの活動をまとめた資料がある。生まれ育った新津での事、絵を描き始めたきっかけ等から現在までが、その時々の作品と共に簡潔な文章で書かれたものだ。その中で、’98になると最愛のパートナーの病と死が記されている。
淡々と綴られてあるが故に、一層の哀しさが漂う。当初から絵画制作の“物質”と“自然”の環境を意識した作品を創ってきたが、何と言う切ない現実か。仕切り直し後の画面は、奥に込められたメッセージはより激しくなっているだろうに、かえって明るくなってきている。強靱な精神と誠実な制作意欲には感服させられる。エアーブラシを使った職人技が浮かび上がらせるものは、波や雲やボンベなどだけでなく、判っていても歯止めの利かない欲望がトンデモナイものを生み出してしまう、人間の業(ごう)だ。(中林二郎)

 


 
2006年4月22日〜4月30日
企画 佐藤滋

津田真帆(つだ まほ)
■1966年東京に生まれる。東京芸術大学卒業。子どもの絵画・造形教室に携わる。装丁・挿絵の作品に『デ・ラ・メア物語集』(全3巻・大日本図書)。挿絵の作品に『村野四郎詩集 遠いこえ 近いこえ』(かど創房)、絵本には『うずまき・うずまき・かたつむり』(大日本図書)『巨男/おおおとこの話』(大日本図書)『からすうり』(「がかくのとも」2005年7月号・福音館書店)。『わたしのあかちゃん』(福音館書店)。東京都在住。

←「しずかなたのしみ」2006年
 ミクストメディア、24×24cm

津田真帆という画家を知ったのは今から15年ほど前のことだった。
当時私は月刊「母の友」(福音館書店)の編集長。「津田さんの画は、おおらかでのびやかで、そしてなによりも品格があって……それがいい」という感想を持った。やがて1994年4月号から始まる連載エッセイの挿画をお願いし、その仕事は2年間続いた。今回、新潟絵屋に津田真帆展をお願いしたのは、その後の彼女の精進ぶり、それは何冊かの絵本として結実しているが、それをご覧いただきたい、ということと、同時に「絵本画家」という枠におさまりきらない彼女の表現のすべてを知っていただきたい、そんな想いからである。実生活では7歳をかしらに3歳、1歳と3人の子どものお母さん。てんてこまいの毎日の中で10年ぶりの個展開催に向けて、津田真帆は語る。「絵屋展に自分自身が触発され、これからいろいろな仕事に立ち向かっていきたい」。実に意欲的である。(佐藤 滋)
  
 

 
昨年7月に砂丘館がオープンして、新潟絵屋が砂丘館に移転したと思われた方もあったようですので、少し説明を。NPO法人新潟絵屋は定款で本来の「特定非営利活動に係わる」事業のほか「その他の事業」として「歴史的建造物などの建物の受託管理、売店、飲食店などの経営、イベントなどの開催」を行う(行ってもよい)と定めています。砂丘館は新潟市が所有する歴史的建造物。(株)新潟ビルサービスと共同で設立した、「新潟絵屋・新潟ビルサービス特定共同企業体」が「指定管理者」となり砂丘館の運営に携わるようになったことは、絵屋の活動としては、定款で言う「その他の事業」展開になります。実際に砂丘館で絵屋が担当する自主事業は、内容的には絵屋の本来の活動と一致しますが、砂丘館の絵屋スタッフ(大倉宏、越野泉、坪井蓉子)が絵屋の運営委員、企画委員とも協議しながら、絵屋の展示室での展覧会を中心とした活動とは別個の独立した事業として行っているものです。


 絵本が好きです。絵本は世界の切りとり方を教えてくれます。その日の空気の匂いや空の色によって今日の気分はどの絵本?と考えて、答えてくれる絵本のあることが嬉しいです。絵本には人格のような絵本格があるような気がします。品のある絵本、ゆったりとした絵本、真面目な絵本・・・絵本を選ぶように絵も選べたらなんと贅沢なことでしょう。そう思い、時々絵屋で小さな作品を求めます。今までなぜかカレンダーのあった場所に絵が掛けられます。思えば優れた絵本作家の作品を追って絵屋に通っているうちに企画委員になっていました。企画力のない企画委員ですが、枯れ木も山の賑わいとか、よろしくお願いします。(新潟絵屋企画委員 中山佳奈恵)


2月の井田英夫展では作家が毎日在廊し、共に接客にあたって下さった。そんな中、会期中3回も足を運ばれた常連のお客様がいた。ゆっくりしてしていかれるお客様がいらっしゃると、それだけでうれしいのに。またこんなことがあるといいなあと思う。(I)


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