2006年5月


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2006年5月2日〜5月10日 準企画

chinap(チナップ)
■NCAD国際ファインアート科を卒業した有志により2000年結成。その後ライブペイント、グループ展、各自の作品発表と現在も活動を続ける。
高橋トオル(たかはし とおる):創作集団chinap主宰。グループ展開催の傍ら各アートイベントに参加。1977年生まれ。
高橋由樹(たかはし ゆき):主に立体造形を中心に、イラスト、コンピューターグラフィックを制作。1978年味方村生まれ。

皆さんこんにちは。創作集団チナップです。2003年の11月に絵屋で作品展をやらせて頂いてから、早3年。この度2度目の機会を頂きました。チナップとしては丁度10回目の作品展になります。
創作集団? チナップうう? ってお思いの方、私達チナップはNCAD国際ファインアート科卒業生を中心に結成された集団です。チナップは乗り物のようなもの。無免許搭乗員を乗せ、その窓からどんな景色を見れるのか? 何を残していけるのか? 羅針盤を持たぬ男気溢れる船出から早6年。常に原動力は創作意欲。時に激しく、時に儚げな一面を見せながら、涙を振り切り続ける毎日。その中から生まれてくるもの…。『倒れるなら前へ!』そんな幻聴をちらつかせながら、受け身を知らずに向かえる、10回目のチナップ展。丁度良い機会なので、過去の整理も兼ねて今までのストーリーをまとめつつ、最新のチナップを感じてもらえる内容になると思います。ご期待ください。(chinap代表 高橋トオル)

 


 
2006年5月12日〜5月20日
企画 大倉宏

菅野くに子(かんの くにこ)
■東京生まれ。武蔵野美術大学油画科卒業後、リトグラフ、エッチングの制作を続ける。1998年より手漉き和紙による制作を始める。2001年ガレリアグラフィカ(東京)、02、04年新潟絵屋、05年ギャラリー舫(東京)で個展。

←「ジャンプ ステップ」2006年
ミクストメディア 48×35cm

菅野さんの今回の絵は、今年の長く重かった冬の中で制作されたせいか、ちょっと暗い。というか、これまでになく黒い色が目を引く。そして、その黒がなかなかいい。仄かな孤独感のようなものが、描く楽しさにまじって、苦いチョコレートみたいな大人な味がすると言ったらいいだろうか。描かれた人も、みなひとりだ。
黒の表情が強まった分、画面に緊張感のあるコントラストが生まれ、手漉き和紙を貼り重ねた画面は時に油彩画のような、時にステンドグラスのような表情を見せる。見つめていると、その重厚な質感の奥に目が誘い込まれていくよう。そしてその場所は、菅野さんの世界らしく暖かい。
以前の絵が人が人といる楽しさに弾んでいたとすれば、今回は人が自分とだけいる時間の、どこかに寂しさも含んだ幸福を奏でているようだ。(大倉 宏)

 


 
2006年5月22日〜5月30日
企画 敷村良子

渡部昭彦(わたなべ あきひこ)
■1960年山形県酒田市生まれ。立教大学経済学部在学中、陶芸部に入ったことをきっかけに、焼物の世界へ。大学卒業後、常滑市立陶芸研究所で学び、栃木県の益子町古木陶房で修行。92年に築窯、独立する。90年から東京・飯田橋ギャラリーでグループ展、神奈川、埼玉、福島などで個展およびグループ展。93年から2006年まで、毎年、益子陶芸館で個展。

←「焼きしめ ビヤマグ」
 小:直径8cm×9.5cm 中:直径8cm×12.5cm
 大:直径10cm×15cm

私は渡部昭彦の焼きしめのビアマグを愛用している。私の掌にすんなりおさまる、ほどよい大きさ。陶器なのにグラスのように薄く軽い。冷蔵庫できりきりに冷やすと、注がれるビールは味わいを何倍にも増す。しみじみ眺めてみると、上から下へやや細くなる良い姿で、明るい茶色から灰色を帯びた茶色へグラデーションが降りている。形も色も美しい。

  陶器は、家の中で生きる‘自然’です。
  指でふれるたび、口をつけるたび、安らぎをあたえてくれる温かさ。
  静かに佇み、沸々とエネルギーを醸しだす力強さ。
  そんな素朴な風合いを大切にしながら、
  使いやすく、飽きのこない、機能美を極めていきたいと想っています。
                          渡部昭彦

この文章にこめられたとおり、渡部昭彦の器は、恰好よく、しかも、使いやすい。肩の力の抜けた、シンプルで、控えめな佇まいなのだけれど、食卓の空気を華やかにはずませる。そのさりげない存在感は、暮らしの器にふさわしい。今回が新潟で初の個展。鉢、皿、飯碗、湯呑み、花生、壺など、生活をさりげなくドレスアップする約100点の器たち。ぜひ、触れて、感じてください。(敷村良子)
  
 
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砂丘館の管理運営はNPO法人新潟絵屋と(株)新潟ビルサービスが共同して設立した「新潟絵屋・新潟ビルサービス特定共同企業体」です。NPOと民間企業の珍しいジョイントということで、よく取材を受けます。
砂丘館の運営には施設管理と自主事業の実行という2つの面があり、建物の管理に実績ある企業と企画展を積み重ねてきた絵屋が、それぞれ得意な分野で協力して安心感と活気ある管理運営を行いたいという提案が評価され、同館の管理運営を任せられることになりました。実際に運営してみると、古い建物では様々なトラブルや修理を要する事態が起こり、ビル管理会社と一緒であることで助かったことが一再ならずでした。両者の分業は、日中の施設維持管理と受付が新潟ビルサービス、自主事業と夜間の受付が新潟絵屋です。砂丘館では私たちが管理を始めてから、4室の日本間と蔵を一般にも貸し出すようになりました。部屋を借りる市民の用途も様々で、その対応も重要な仕事のひとつです。


 絵屋の入り口にある看板には、墨で展覧会名を記した和紙が貼られている。
意外と知られていないのかもしれないが、この書は展示作家自身の手によるもの。毎回、搬入展示作業時に即興で書いてもらっている。画家、彫刻家、工芸作家、写真家など、ふだんの制作とは違った「書」が掲げられるので、この部分、注目して毎回見ていると実に面白い。各作家ともおそらく慣れていない「書」なのだが、逆にそこに面白さが滲むようだ。
そうした即興制作現場に立ち会えることは企画者の特権であるが、搬入時に作家が来られない場合は企画者自身が書くはめになる。今年刷新された絵屋HPをよくみると、画像中の看板には「五十嵐祥一展」とあるが、実はこれ、企画者だった私が書いたもの。自分で書いたとなると、どうも面白くない代物に見えてしまうから不思議だ。 (新潟絵屋企画委員 外山文彦)


「ネコがいる」「人がふたり」「コアラだ」……本能の為せる技か、抽象画の中に生物の姿を見つける人の多いこと。感想をお客様から伺うのはスタッフの楽しみのひとつですが、感化されやすい私は耳にした言葉で作品の見え方が一変する事もしばしば。皆さん、画面に怖いものが潜んでいても私には教えないで下さいね。(C)


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