2006年7月


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2006年7月2日〜7月10日 企画 田代早苗 大倉宏

相田諒二(あいだりょうじ)
■写真家。1947年新潟市生まれ。75年フリーで写真活動を始める。95年個展「見慣れた街の光景より」(北陸ガス・ガスホール)を開催。2003年新潟日報文化欄連載「街はうたう」、04年同日曜企画連載「万代橋と私」写真掲載。

←「message」 六つ切り

相田さんの写真は鮮やかだ。新潟にもこんなに、はっとさせられる風景があったのかと思うぐらいに。みていると子供の頃の夏休みの感覚がふとよみがえる。それは甘いノスタルジーではないし、撮影された風景が熱気を感じさせるものが多いから、というだけではない。
夏休みも旧盆過ぎともなってくれば太陽は傾きはじめ、光の色もどこかセピア色を帯びてくる。そのくせ日光はますます熱く激しく肌を射す。時間は留まっているようにも、すさまじい速さで流れていくようにも思われて、自分はなんだか取り残された気分。そしてこの瞬間のこの時間はもう二度と訪れはしない。その確信に目に入るものすべてが愛しく、切なくみえてくる。そんな夏の白日夢のような感覚。
相田さんの写真はただ美しいだけでなく、そんな瞬間の持つはかなさやドラマをも写しとっているから、目が離せなくなるのだろう。(田代早苗)

 


 
2006年7月12日〜7月20日
企画 大倉宏

木下晋(きのした すすむ)
■1947年富山市生まれ。63年自由美術家協会展(東京都美術館)、83年現代のリアリズム展(埼玉県立近代美術館)、94年個展(KEENギャラリー、ニューヨーク)、97年個展(池田20世紀美術館、静岡)、2004年「六本木クロッシング展」(森美術館)。ほか69年以降各地で数多くの個展を開く。現在東京大学工学部、武蔵野美術大学、新潟薬科大学講師。名古屋芸術大学特別客員教授。新潟絵屋での個展は03年についで2回目。

←「在りし日の想い」 2006年

木下さんの鉛筆の仕事は、少しずつ変わってきている。
興味深いのは、外からの刺激と木下さんが中に抱えている何かが、時折偶然のように波長を合わせて、ずっしり重い絵の立ち位置を微妙にずらしていくように見える点だ。昨年木下さんは一册の絵本を制作した。取材で滞在した村を再訪した朝、突然トンボの群れが木下さんをすりぬけた。理由もなく涙があふれた。そこへ漁を終えた船を迎えに浜に降りてきた老婆の顔が菩薩に見えたと書いている。16歳の時師とあおいだ麻生三郎に教えられた京都広隆寺の弥勒菩薩を、木下さんは毎年欠かさず見てきたが、その菩薩のイメージが老婆をモデルにした昨年の絵に浮上していた。小林ハルさんを描いた一群の作品と、絵としては大きく変わったわけではないのに、伝わってくるイメージが違う。幸福という、これまでの木下さんの絵からは決して出てこなかった言葉が浮かぶのが不思議だった。
そんな変化の在り方が、私が木下さんに感じる信頼の根拠かも知れない。新作が中心となる今回の展示に興味が動く。(大倉 宏)
同時期開催●木下晋絵本原画展『ハルばあちゃんの手』(福音館書店刊)より
会場:砂丘館(旧日本銀行新潟支店長役宅) 新潟市西大畑町5218−1
会期:7月6日(木)〜26日(水)9:00〜19:00 ※入場無料
休館日:月曜日、18日(火)(17日(月・祝)は開館)
●7月16日に砂丘館でギャラリートークがあります(詳しくは▼)。

 


 
2006年7月22日〜7月30日
企画 井上朗子

中島和弘(なかしま かずひろ)
■造形美術作家。1947年名古屋市生まれ。加藤金一郎氏に師事。75〜87年中部新制作展(愛知県美術館・名古屋市博物館)、85年個展「AIR WORK」(ギャラリーはくぜん・名古屋)。87年造形美術スタジオA:WORK発足、88・91年A:WORK展(名古屋)、2000年〜韓・中・日現代美術祭(釜山・上海)、03年〜「私の主張展」(大阪現代美術画廊)、05年個展「痕跡」(ギャラリー象家・長久手町)、ほか個展多数。01〜04年トライデント雑貨デザイン科講師。現在「SIMA造形工房」主宰。

←「Breath」 Mixed media 22.5×25.0×250

大阪文学学校の通信教育講座で中島さんと知り合った。伝説の詩人、金時鐘氏が講座を持っている。中島さんは愛知から、私は新潟から、追っかけ仲間だ。
「現在、僕のモチーフは、自分の思考、判断、選択、行動の連鎖、つまりは僕の日常ですが、それを取り巻く空気そのものです。僕の日常とつくるものとに齟齬をきたすことのないように。」
中島さんの目指されていることは簡単なようでいて、ものすごく難しい。しかし、中島さんの作品や日常の断片に触れると、作家のこだわりを随所に見つけだすことができる。
長久手のご自宅では、食器や家具などほとんど中島さんの手作り。さらに、愛・地球博で立ち退きを余儀なくされ、新居まで窓枠のひとつひとつから手作りされていた。
山を愛する中島さん。今回の新潟初個展の機会に鳥海山に登り、チョウカイアザミを採取されたいとのこと。チョウカイアザミというと、ツウにはピピッとくるしろものらしい。そのあたりの情報に詳しい方も詳しくない方も、是非ぶらりとご来廊ください。(井上朗子)
  
 

「幸福のイメージ」ギャラリートークと朗読
●7月16日(日)15:00−16:30
●会場  砂丘館ギャラリー
●トーク 木下晋・大倉宏 
●朗読  高橋景子(劇団第二黎明期)
●参加費 1000円 ※定員50名
申し込み 電話で砂丘館(025-222-2676)まで


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現在新潟絵屋では絵屋と砂丘館の2会場で企画展を行っています。砂丘館ギャラリーは市の施設であるため作品販売はできません。そのため企業メセナと市民からの寄付等により展覧会を開催しています。砂丘館では絵屋を含む新潟の画廊が企画展を開催し、砂丘館のスペースに相応しい仕事を展開している作家の個展や、作品販売ができないため絵屋での展覧会が難しい遺作展などを中心に企画を構成しています。前者では市内の画廊と「同時開催」という形をとり、作家の全体像や一定期間にわたる制作と、新作とを同時に紹介する工夫も行っています。


新潟絵屋の移転先が決まりました!
前便でもお知らせしましたが、来年新潟絵屋は移転します。移転場所は上大川前10番町の、広小路に近い税務署の職員住宅跡地です。現在は更地になっています。絵屋の大家さんである幸田さんが、大正時代の町屋を生かした建物が、絵屋にとって大事であると理解して下さった結果、現在の建物を解体し、通りに面した場所に移築する方向で計画が進められることになりました。実現すれば今の雰囲気とほぼ変わらない空間での再スタートとなります。移築工事と準備のために来年1月から6月半ばまで絵屋での展覧会はお休みさせていただく予定です。移転については今後も随時お知らせしてゆきます。


5月の「渡部昭彦 暮らしの器展」では、ご好評いただき展示即売で作品の大半が完売となりました。絵屋へ久しぶりに来たとか、初めて来たとかの声をよく聞き、会員の方の中にはまたこういう企画をやってほしいとの言葉もあって、翌月の企画委員会に報告しました。店番はお客様からのご意見やご要望を理事や企画委員へ届ける役目もあります。どうぞいつでもお気軽にお聞かせくださいませ。(井上)


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