2006年9月


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2006年9月2日〜9月10日 企画 大倉宏

森本秀樹(もりもと ひでき)
■1951年愛媛県宇和島市生まれ。71年武蔵野美術短大油絵専攻科卒。団体展、コンクール等に出品のほか、東京、愛媛、千葉、静岡、神戸、横浜などで個展多数。コレクターのファンも多く、2002年「コレクターによる『ぼくらの森本秀樹展』」が東京で開かれた。03年故郷宇和島の原風景を描いた『森本秀樹画集宇和島』(三好企画)を刊行。05年新潟絵屋で個展。

←「歩く視線」2006年、油彩、キャンバス、F8

愛媛県宇和島生まれで、千葉に住む森本さんは、今も年に数回宇和島に帰る。戻るとひたすら町中や郊外を歩くという。いきあたりばったりに、ぶらぶら歩いて、疲れるとバスで町に戻って銭湯に行く。
森本さんの宇和島シリーズは、千葉のアトリエで、そんな歩いた時間の記憶から、自然に現れてくる影像を、筆ですくいあげるようにして生まれてきた。風景を見ようとするとき、人は止まる。歩く人の目はざるのようになっていて、風景は目から目でない場所にこぼれ、飛散していくからだ。宇和島では立ち止まらない森本さんの描く宇和島は、そんなふうに目からこぼれて、体のあちこちに散ったものを拾って作られたように見える。
ぽさぽさした筆のリズムに目をひたすと、私の目もなんだかざるのようにほぐされて、南のどこか懐かしい町外れを歩いている気分になってくる。(大倉 宏)

 


 
2006年9月12日〜9月20日 企画 敷村良子

細川文未昌(ほそかわ ふみまさ)
■1963年12月新潟市生まれ。立正大学文学部哲学科卒業、オハイオ大学芸術学部写真学科修士号取得。1999年「アノニマスケイプ行旅死亡人の風景」で2002年フィリップモリスアートアワード大賞受賞。この作品は2003年NYのP.S.1コンテンポラリー・アート・センターで展示、2005年平成写真文庫より出版された。1996年「EIGHT PHOTOGRAPHS」(Promenade Gallery、東京市ヶ谷)以降個展、グループ展多数。著書多数。

←「コノハナノサクヨル」カラー 35×35cm

細川さんの作品のおもしろさは、視点。特別な意味のある場所を淡々とらえるまなざしだ。NYのPS1のグループ展で「アノニマスケイプ こんにちは二十世紀」(平成写真文庫)を見たとき、それぞれの場面が私小説になると思った。それは、行旅死亡人、いわゆる行き倒れになった人の、最期の場所と死亡公告を百年分撮影したもの。このシリーズは2002年フィリップモリスアートアワード大賞を受賞した。
その視点は、聖なる存在に移った。日本各地に祀られる八百萬の神々、寺、道端のお地蔵さん、これら信仰の対象がどういう風景を見ているか、信仰の対象である彫刻などの視線の先にある風景を撮影した作品だ。17世紀スペインの宮廷画家ベラスケスが絵画「ラス・メニーナス(侍女たち)」で王の肖像ではなく王が見ている侍女たちを描いたように、私たちの神々への視線ではなく、神々の見ている風景を描写することはできないかと細川さんは考えた。
そういえば、仏像や神像はよく被写体となって、私も数多く見てきたが、その逆の風景は肉眼以外では見たことがない。その写真に囲まれたとき、どんな気分になるのだろう。それが今回の見どころといえるかもしれない。(敷村良子)
 
2006年9月22日〜9月30日 準企画

目黒由賀利(めぐろ ゆかり)
■1962年愛知県生まれ。77年三条市に転居。三条市内印刷会社企画部勤務を経て93年独立。有限会社 M'sグラフィックを主宰。現在三条市下田郷在住18年。家族は夫1人、子ども3人、猫2匹。日本商業書道作家協会(JCCA)会員。デザインリンク新潟県央会員。

←2005年 165×48.5cm

アートカリグラフィって?墨象って?と自分でも思う時があります。仕事として日常書いている「書」と自分のためだけに書くものの違いがそう言った呼び方になるのではないかと思います。
素の自分に戻った時に湧き出てくる何かを、墨と筆を使って表現する時に現れてくるものは、古典書道の持つ格式や決め事からは遠く離れたもので、ある意味稚拙なのかもしれません。ましてや思い描いたものがそのままカタチとして現れてくるかどうかは、筆と紙と自分自身の葛藤の結果でしかありません。・・・けれど今回、絵屋の暖かい土壁や古い柱の空間の中に漂うモノトーンの作品に心地よい空気を共有して頂ければ、とてもうれしく思います。(目黒由賀利)
  
 

総会と交流会
 7月17日(海の日)の午後、砂丘館の居間、座敷を会場にNPO法人新潟絵屋の総会と会員との交流会が開かれました。総会では昨年度の事業報告と決算、今年度の事業計画と予算、また新しい理事に井上美雪さんを迎えることが承認されました。また来年の移転休廊にともなう賛助会員の有効期間の延長も決まりました。
 交流会は賛助会員として事前に申し込まれたのは竹村城之介さんお一人でしたが、偶然上越から砂丘館を訪れていた阿部美恵子さんも、交流会のあることを知って、飛び入りで参加。雨の庭を眺めながら楽しい懇談の一時間を過ごしました。絵屋ができて絵が身近になったという話、絵を買った時の気持ちなど、いいお話が聞けたことは今後の活動へむけての大きなはげみになりました。阿部さんからはとても楽しかったとお便りも後日いただきました(ありがとうございます)。これからもこのような催しを考えていきたいと思います。(O)


● 来年1〜5月の休廊にともない賛助会員の有効期間が5か月延長されます(正会員は絵屋の構成員であるため、延長はありません)。
● 7月17日よりスタッフの井上美雪さんが、新しい理事(運営委員)になりました。


いつか絵にまつわるおまじないを聞きました−部屋に女の子の絵を掛けると女の子を授かる−どこで誰に聞いたのか忘れてしまいましたが、ふと長女が生まれる前の自宅には牛腸茂雄さんの幼女の写真が掛けてあったことを思い出しました。それを今年になって掛け替えて、今は西村繁男さんの版画「市松くん犬に乗る」を掛けています。このたび産休・育休のためしばらくお休みすることになりました。また店番に立つのは来年移転後のこととなります。お腹が大きかったのでお客様にも身体のことを気遣っていただき、とてもありがたいことでした。今後は新・運営委員としても絵屋に関わりますのでどうぞよろしくお願いします。(井上美雪)


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