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石倉 まみ 「Rose・Rose・Rose」 2007年
ステンドグラスパネル ガラス・ハンダ
90×70cm
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大関 博 「sigh of the earth」 2007年
モザイクパネル ガラス・モルタル・木製パネル
65×53cm |
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石倉まみ(いしくら まみ)
■新潟市生まれ。ステンドグラス作家。1983年上京後フレスコ画、モザイク、ステンドグラスを学ぶ。87年より展示会多数。90年「東京ガラスアート展」佳作受賞。新潟では99年個展(ギャラリー栞)、02年「あかり展」(新潟絵屋)。日本ステンドグラス協会会員。「未来工房」主宰。東京都在住。
大関博(おおぜき ひろし)
■東京都生まれ。モザイク作家。大型の壁画、公共施設のモザイク、ステンドグラス等の制作に数多く携わる。94年「あかりのオブジェ展」(岐阜市)入選。02年「あかり展」(新潟絵屋)。環境美術スタジオ「ARTLIUM」主宰。東京都在住。
前回、石倉は絵画的手法で、新潟の原風景をステンドグラスに表現した。大関は様々な石のタイルを用い、どこかユーモラスな作品で私たちを楽しませてくれた。あれから4年、二人はどのように変化し、そして何を守り続けているのだろう。
石倉の作品に対峙していつも思うことは、ステンドグラスは色彩あふれる光の窓であり、光を透過した時がもっとも美しいということだ。今回、彼女はボッティチェリの絵画からインスピレーションを得て、バラのモチィーフを作品の随所に配している。また、今回のタイトルから分かるように、大関の作品も全てガラスで作られている。フュージングの厚板色ガラスをカラフルに使ったガラスモザイクで、インダストリアルで人工的な印象を受ける。環境問題もそのテーマにあるようだ。
ガラスは自然界に存在しない人工物である。紀元前、行商のフェニキア人が焚き火の中に偶然発見したガラスは、金属のような規則性のある分子構造を持たないために固いが傷つきやすく脆い。その脆く壊れやすい儚さが、工芸としてのガラス素材の魅力になっているのだと思う。陶磁器の釉薬と同じ原理で多彩に発色され、石倉は透明を、大関は不透明を好んで使っている。
余談だが前回、売り切れてしまった小品を熱望された二人は、宿泊先のガレージに簡易工房を開設し製作していた。まさに「現場力」、自分と同じガテン系の血を感じてうれしくなった。二人はきっと否定するだろうけど・・・。(伊藤 信行)
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