2007年8月


2007年7月の絵屋

2007年9月の絵屋

  新潟絵屋あんない 作家INDEX Blog  


 
2007年8月2日〜8月10日 企画 伊藤信行
石倉 まみ 「Rose・Rose・Rose」 2007年
ステンドグラスパネル ガラス・ハンダ
90×70cm

大関 博 「sigh of the earth」 2007年
モザイクパネル ガラス・モルタル・木製パネル
65×53cm

石倉まみ(いしくら まみ)
■新潟市生まれ。ステンドグラス作家。1983年上京後フレスコ画、モザイク、ステンドグラスを学ぶ。87年より展示会多数。90年「東京ガラスアート展」佳作受賞。新潟では99年個展(ギャラリー栞)、02年「あかり展」(新潟絵屋)。日本ステンドグラス協会会員。「未来工房」主宰。東京都在住。

大関博(おおぜき ひろし)
■東京都生まれ。モザイク作家。大型の壁画、公共施設のモザイク、ステンドグラス等の制作に数多く携わる。94年「あかりのオブジェ展」(岐阜市)入選。02年「あかり展」(新潟絵屋)。環境美術スタジオ「ARTLIUM」主宰。東京都在住。

 

新潟絵屋 ●2003年 8月2日〜12日

 

前回、石倉は絵画的手法で、新潟の原風景をステンドグラスに表現した。大関は様々な石のタイルを用い、どこかユーモラスな作品で私たちを楽しませてくれた。あれから4年、二人はどのように変化し、そして何を守り続けているのだろう。
石倉の作品に対峙していつも思うことは、ステンドグラスは色彩あふれる光の窓であり、光を透過した時がもっとも美しいということだ。今回、彼女はボッティチェリの絵画からインスピレーションを得て、バラのモチィーフを作品の随所に配している。また、今回のタイトルから分かるように、大関の作品も全てガラスで作られている。フュージングの厚板色ガラスをカラフルに使ったガラスモザイクで、インダストリアルで人工的な印象を受ける。環境問題もそのテーマにあるようだ。
ガラスは自然界に存在しない人工物である。紀元前、行商のフェニキア人が焚き火の中に偶然発見したガラスは、金属のような規則性のある分子構造を持たないために固いが傷つきやすく脆い。その脆く壊れやすい儚さが、工芸としてのガラス素材の魅力になっているのだと思う。陶磁器の釉薬と同じ原理で多彩に発色され、石倉は透明を、大関は不透明を好んで使っている。
余談だが前回、売り切れてしまった小品を熱望された二人は、宿泊先のガレージに簡易工房を開設し製作していた。まさに「現場力」、自分と同じガテン系の血を感じてうれしくなった。二人はきっと否定するだろうけど・・・。(伊藤 信行)

 


 
2007年8月22日〜8月30日 企画 大倉宏

Madhat Kakei(マドハット・カケイ)
■1954年イラクのキルクーク生まれ。バグダッドとマドリードのサン・フェルナンドス美術学校に学ぶ。イラン・イラク戦争の最中、ユーゴ、スペインを経てスウェーデンに滞在し、同国市民権を獲得。86年の初来日後、千葉とストックホルムのアトリエで制作。アラビアンネームの「マドハット・M・アリ」名で発表していたが(洲之内徹『さらば気まぐれ美術館』にはモハメッド・M・アリで登場)、現在はクルド人の宗教であるカケイ(ゾロアスター教)名に変えている。2002年新潟絵屋で個展。近年の個展にThe Kurdish Library & The Kurdish Museum(05年、ニューヨーク)Gallery Maria Lund(05、07年、パリ)、Kungliga Konstakademien(06年、ストックホルム)など。現在フランス在住。

←「Kurdistan」1974年 木版、紙 45.5×41.5cm

新潟絵屋 ●2002年 6月12日〜20日
新潟絵屋での前回のマドハット展は、2002年の6月だった。日韓ワールドカップの開催中で、個展にあわせて新潟に来たマドハットさんとテレビ観戦した。見ているものに子供のようにのめりこんでいく彼の姿に、久しぶりに「人間らしさ」という言葉を感じた。
当時日本(千葉)とスウェーデンで制作していたマドハットさんは、その後パリでの個展を成功させ、北フランスの小さい村に3つ目のスタジオを持つようになった。その間に故郷イラクの状況は激変し、亡命イラク人(クルド人)であった彼も何度か国へ帰り、イラン・イラク戦争の頃身を隠していた山岳地帯を訪ねたりしたらしい。
この春、5年ぶりに日本に来た彼は、スペインのマドリッドで美術を学び始めた30年前の木版の作品を持ってきた。スペインでドイツの画家ノルデを知り、影響を受けたとのことだが、確かにノルデやキルヒナーなどドイツ表現派を思わせる画面だ。ドイツ表現派の「表現」にそれこそ子供のようにのめりこんだ、20歳のイラク人画家の生き生きした興奮が伝わってくる。見ていると、日本の版画で言えば昭和初期の藤牧義夫や谷中安規の頃、一刀一刀に自分の全存在の重みをかけることのできた時代を、思い出す。
今回はこの初期の版画と、アクリル絵具を幾層にも塗り込んで作られるモノクローム(単色)の近作を紹介する。モダンな外観のこれら近作にも、見つめていると初々しく、どこか繊細だけれど、荒々しい、感性の震える声が感じられる。 (大倉 宏)
  

 会員特典が変わりました

意外に知られていない絵屋会員特典、「コーヒーのサービス」が5杯までから無制限になりました。お気軽に受付にお申し出ください。(一般の方は1杯200円です。)


第2期の活動スタート

再オープン初日は多くの方で賑わい、お花やお祝い、電報の数々に心もほころびました。
再オープン記念展の「アンティエ・グメルス展 2007」ギャラリートークは、大勢のファンの方々で盛況に終了。また、「若槻菊枝展」では、故郷で初の個展に91歳の作家も駆けつけ、同じく91歳の歌手、渡辺参治さんの唄に三味線、踊りもあり…の、賑やかなレセプションになりました。


連載コラム2
新潟市内とはいえ、西は内野、東は大形本町までのエリアのタシロ便。交通手段は自転車のみです。なぜかといえば、免許とって3日目で道端に置いてあったアロエの鉢をひき殺してしまったから。たかが植物と笑うなかれ。今思い出してもイヤ〜な感触でした。それ以来もうペーパードライバー。
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)


   

2007年7月の絵屋

2007年9月の絵屋

  新潟絵屋あんない 作家INDEX Blog