2007年10月


2007年9月の絵屋

2007年11月の絵屋

  新潟絵屋あんない 作家INDEX Blog  
 

 

2007年10月2日〜10月10日

企画 大倉宏

森敬子(もり けいこ)
■1947年兵庫県生まれ。1970〜99年まで二科展出品、同千葉支部所属。二科会・藤井二郎氏(故)、同・天野三郎氏(故)師事。93年銀座プランタン、95年池袋三越、ギャラリー汲美、ギャラリーテムズ、柏わたくし美術館他個展多数。千葉県市川市在住。

 

←「鉄塔のある道」 2007年 油彩 F8

新潟に来た森敬子さんから、はじめて素描のファイルを見せられた時、ページをめくる度に「あれっ」とか「おやっ」という言葉が心に浮かんで、可笑しくなった。
森さんの絵はけっして上手くはなく、そして自由である。その2点で今の若い、どちらかと言えばデザインやイラストの延長で描く人たちの絵に似ているが、若い人の絵が主に憧れや感情を描いているとすれば、森さんが描くのは現実だ。道に二匹のいもりがいたり、雑草の種が飛んだり、畑がまがっていたり。日々の暮らしの中で「あれっ」とか「おやっ」と感じる一瞬。その一瞬の「あれ」や「おや」の上に森さんは絵(素描や油絵)を置く。「あれ」や「おや」から出発して絵を作るのではなく、「あれ」や「おや」が絵の重みでつぶれないよう、つりあうように置く。すると絵を見る私の心に、「あれ」や「おや」が「っ」と弾かれ、現実がさまざま浮かんでくるのが面白い。 (大倉 宏)

 


 

2007年10月12日〜10月20日

企画 伊藤純一

松本健宏(まつもと たけひろ)
■1967年生まれ。京都精華大学テキスタイル科卒業後インテリアデザイナー経験を経て、6年間丹後伊根の舟屋へ通い染色作品の連作を続ける。1999年京展工芸部門京都市長賞、99年、2000年、06年日本新工芸展NHK会長賞・日本新工芸賞。04年〜京都を中心に個展活動、07年金沢市指定保存建造物「高木糀商店」で個展。京都工芸美術作家協会、日本新工芸家連盟等所属。京都市在住。

 

←「夜の猫」 2006年 蝋纈染め 21×29.7cm

私と松本さんの出会いは、京都で開催された、伝統建築を保存活用するための連続講座。建築関係者以外にも受講者はいたが、染色作家さんがいるということに驚きながらも、作品を見せていただき「なるほど」と腑に落ち納得。
作風は大きく分けると2パターンあって、ひとつは蝋纈染めによる絵画作品。そこには縄文から続く日本人の精神性、感性が繰り広げられている。なにか心の故郷にたどり着いたような安らぎ感。もうひとつは土人形。日本古来の生物をはじめ想像の生き物や、猫といった身近な生き物を作り出す。これら作品から伝わる感じは、まさに古い建物を感じ癒される感覚と同じだった。その後金沢の歴史的建造物での個展も拝見したが、まさに時間を経てきた空間と松本作品が呼応したとても気持ちが安らぐ良い展覧会であった。
今回築後80年を経て移築した絵屋の新空間での展示になるわけだが、新潟を取材し新潟を感じ表現した作品を含め、「日本人の魂の深いところに刻まれた記憶が蘇る作品を創りたい」という松本作品がこの絵屋空間とどのように呼応するのか楽しみである。(伊藤 純一)

 


 

2007年10月22日〜10月30日

企画 越野泉

平野照子(ひらの しょうこ)
■1972年宮城県生まれ。1997年〜坂爪勝幸氏に師事。ギャルリー炎舎(新潟市)で2001年グループ展、03年個展。fullmoon upstairs(新潟市)で05年、06年個展。新発田市在住。

 

←2004年 27×25×18cm

小さい時からずっと自然に育まれて暮らしてきた平野さん。山の精霊や自然の力をイメージして、何年も前から作りためている山主(ヤマヌシ)を初めて展示する。
不気味でユーモラスでかわいらしくて少しグロテスクで素朴な山主たち。
会いに来て下さい。きっとびっくりしたり微笑んだりしてしまうことでしょう。
「あしひきの」は山の枕詞。深い山中の祠や木立や沢にひっそりと息づく精霊や木霊を、平野さんはいつも見ていたのかもしれない。
豊かな感受性の中で広がるイメージは、言葉としても溢れてくる。
陶作品制作のほかに、物語も執筆中とのこと。どんなお話なのか、まだ見ぬ山主たちと共に楽しみにしたい。(越野 泉)
  

■本 …画集「栗田宏」(1,000円)
■CD…藤しんいちろう「別撰 越乃味歌」(2,000円)
■ほか…工房 天の邪鬼「木版・手摺りおり紙」(4,500円)


「栗田 宏」/発行:画廊Full Moon/編集:大倉宏・越野泉 ・・・→


絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代のはみだし連載コラム 4

25才がお肌の曲がり角とするならば、そろそろ次のターンが見えてきてるタシロにとって曇り空はむしろ快適。内野までのペダルも軽く無事R屋に絵屋便を届け、そのまま帰れば良かったものをよせばいいのに「ちょっとよっていこーかな」と内野駅付近の珈琲屋でひと息。それがまずかった・・・。(つづく)
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)




   

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