2007年11月


2007年10月の絵屋

2007年12月の絵屋

  新潟絵屋あんない 作家INDEX Blog  
 

 

2007年11月2日〜11月10日

企画 大倉宏

斎藤ゆう(さいとうゆう)
■1962年秋田県鳥海山の麓に生まれる。多摩美術大学立体デザイン科クラフト専修ガラスコース卒業。88年高岡クラフト展入選。89年山梨県高根町に工房を構える。90年国際ガラス展金沢90入選。95年「ガラスのあかり展」(山梨銘醸酒蔵)。2000年朝日現代クラフト展優秀賞受賞。02年美術会館青羅にて「session2空間と素材展」に参加。02年フィリア美術館(小淵沢)で個展。03年「未来への礎5人展」(北鎌倉円覚寺白雲庵幽石軒)に参加。

 

←「生まれ出たかたち」 2007年
  ガラス W:22×D:12×H:23cm

ガラスは光を透(とお)す物質だが、斎藤ゆうさんのガラスを通過すると、光は光のまま、光より美しくなる。なぜだろう。
多分、ゆうさんのガラスの透明には不思議な粘度があって、ガラスに入った光はその粘り気に押し返され、そこに少し、とどまってしまう。通ることしか知らなかった光が、とどまって、とまどって、少し、すごく、うれしくなる。透る光の、とどまるうれしさが、ゆうさんのガラスをふくらませるのだ。
閉ざされた気泡はとどまる光をまとい、重く、弾むようなリズムでガラスを打つ。心地よいほど冷たく、凭(よ)りかかってくる光の圧(あつ)に私はうっとりする。不透明を抱いた透明。ガラスをガラスのまま、ガラスよりガラスらしくする、斎藤ゆうさんのようなガラス作家は、そういない。(大倉 宏)
 
渡辺隆次「ぬくもり伝わる親しげな顔」


 

2007年11月12日〜11月20日

企画 伊藤純一

Andoche Praudel(アンドシュ・プローデル)
■1950年キュブラック(フランス)生まれ。パリ・ナンテール大学で美術・哲学を専攻。80年から作家活動開始。86年からルーブル美術館のアトリエ講座担当。メキシコ・サンミゲル美術大学で陶芸制作を開始。89年陶芸家・谷川章三氏と出会い、93・95・97各年数ヶ月日本に滞在し制作と発表をする。86年からパリ・メキシコ・東京・京都・大阪他にて個展多数開催。99年フランス外務省の奨学金で京都日仏会館分館でアーティストレジデンスにて4ヶ月滞在、日本の陶芸を研究し「日本の陶芸-起源から2000年mで」を執筆出版。以来毎年日本での展覧会を継続。パリ在住。

 

←「paysage ―風景―」
  2007年 ミクストメディア 和紙 21×29.7cm

アンドシュ・プローデル氏の生まれはパリから南西に550キロ離れたキュブラック。ラスコーの洞窟から15キロのところで、小学生の頃その壁画を見たことが後の作家活動の原点だという。美術と哲学を専攻していた氏はその後日本の茶道に出会い、その精神性に魅せられ陶芸を始めた。しかし私が見せていただいた作品は茶道の型にはまった物ではなく、むしろ茶道の根底にある美意識と侘びの精神性を解釈した自由で美しい作品だった。色味は、日本人の表現とはひと味違う美しさが有る。土の活かし方はラスコーに通じるのだろうか。今回絵屋では陶芸作品数点と、キュブラックの風景を撮り和紙にプリントした作品を展示する。どこか懐かしくもあり、そして新鮮なアンドシュ氏の作品が絵屋の空間にどんな風を感じさせてくれるかとても楽しみである。(伊藤 純一)

同時期開催
■陶と平面
 画廊Full Moon
 2007年11月13日[火]〜25[日]11:00〜18:00
 入場無料 

 ●
ギャラリートーク
 ●
2007年11月18日[日]14:00〜
 ●会場:画廊Full Moon
 ●料金:無料(申し込み不要・直接会場へ)

■陶と絵の三人展
 ギャラリー陌(はく)
 2007年11月3日[土・祝]―12月2日[日]8:00〜20:00
 入場無料

 


 

2007年11月22日〜11月30日

企画 大倉宏

藤原祥(ふじわら しょう)
■1950年島根県松江市生まれ。サン・フェルナンド国立美術学校(スペイン/マドリード)卒。77年タラベラ・デ・ラ・レイナ賞受賞。グループ展に95、2002年「21+∞展」(O美術館、東京都美術館)、91-97年「アジア交流展」(ソウル、香港ほか)等。個展は80年島根県博物館、82年ギャラリー檜(東京)、92年ギャラリーHera(ストックホルム)、93年ギャラリー睦(千葉)、03年ニッチギャラリー(東京)等。

 

←「光の花」 2007年 ミクストメディア 紙 45.5×37.0cm

今年6月千葉で初対面の藤原祥さんに、近作を見せてもらい、興奮している自分に驚いた。絵の抱える不思議な興奮が、抵抗なくすーっと体に入ってきて、そのまま自分の興奮になっている。そんな感じに驚いたのだ。
秋になって訪ねた仕事場で、藤原さんの画家としての質の高さを再認識した。どうしても自分の絵は粗い感じに落ち着いてしまう、と藤原さんは言うのだが、しっくりくるところまでいかずにすまない、という追求感が、どの旧作にもある。少し乾いて、少し湿った土に似たマチエールと、拮抗するタッチを探っていくことが、藤原さんの描くという作業なのだろう。
近作では、けれど絵がその「しっくり」から少し、浮き上がってきた。そして隙間に光が差し、風が流れだしたように見える。何が起こったのか、分からないが、藤原さんの絵が藤原さんの絵から放たれ、開きはじめたような解放感に、私は衝かれたのだ。(大倉 宏)
  

 新商品のご紹介

■山田修也ポストカード 1枚…100円/5枚セット…450円
■ステンドグラス(石倉まみ)、木工(青松ワークス)のオーナメントを11月中旬〜発売予定です。


絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代のはみだし連載コラム 5

気象予報士は他人事のように言う。いや実際他人の事だからいともカンタンに口にする「ところによってはニワカ雨」って。でもその問題の“ところ”に居た人間はどうするの。しかも降水確率10%とかいってたくせに。気がつけば内野の喫茶店でぼーーっとしている私の耳に激しい雨音が…。(つづく)
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)




   

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