2007年12月


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2007年12月2日〜12月10日

企画 大倉宏

井田英夫(いだ ひでお)
■1975年新津市生まれ。97年新潟デザイン専門学校卒。1999年モンセラート美術大学(アメリカ、マサチューセッツ州)卒業。ミンゴーギャラリー(マサチューセッツ州)で二人展。02年3月、04年11月新潟絵屋、05年ギャラリーEMU-stで個展。

 

←「ビル」 2007年 オイルパステル、木炭、紙 39.0×29.5cm

この数年、新潟の下町に住み絵を描いていた井田さんは、この春、九州福岡の久留米に引っ越した。去年山陽から九州を一人で旅して、久留米が気に入り、住みたいと思ったのだという。その久留米で描いた絵を持って、この個展のため新潟に帰ってきた。
外国みたいでどこを見ても描きたいと思う、と彼のいう久留米の絵の色が美しい。レモンイエローに震える、明るい空と地平線の上の大気の階調がまぶしいようだ。
井田さんの中にある色が、明るい久留米の光に引き出され、しみ出してきたように見える。場所や土地というものが、こんなにも人の内面と相応じるものなのかと、目を開かせられる思いがする。
塗装替えのためか、鉄パイプの枠をめぐらせた灰色のビルと、曇り空を描いた絵がいい。建物の前に立ち、知る人のいない町で黙って見上げている井田さんの明るい孤独が、コンクリートの壁、ほっそりした鉄パイプの線、空の襞(ひだ)に映っている。ひとつだけ窓に鈍い紅色の灯が見えるのも、心にしみる。
どの風景にも人影がないか、はるか遠くにぽつんと小さく見えるのも、井田さんと新しい町との今の距離なのだろう。
不満がないわけではない。風景の中景の人家など描く線が形をなぞって、筆のリズムが失速している。その律儀さが井田さんらしくもあるが、井田さんのアメリカ時代の絵にあった大きなスケール感を思うと、日本の風景のちまちまに負けるな、頑張れと声援したくなる。
始まったばかりの、井田さんの南の町の風景を、初冬の新潟でゆっくり眺めたい。(大倉 宏)


 

2007年12月12日〜12月20日

企画 大倉宏

←布川勝三 「大野亀」 1968年 油彩、キャンバス
  45.2×37.8cm

長年、絵に関係する仕事をしていると、いろいろな絵の人生ならぬ絵生(えせい)について感慨を抱かせられる場面に遭遇します。大概、絵は描いた人よりも、また絵を求めた人よりも長く生きます。そこから絵と、描いた人でも、求めた人でもない人との関係が始まります。両者の関係が良好に行く場合もあれば、そうでないことも時にあります。
絵は見られることを好みます。絵は好んで見られて、絵になる。その絵をより見たい人のところに移動させる場としての、オークションの機能について考えてきました。競売・競り売りと訳されるオークションは、モノを安く買える場としての面が強調されますが、そればかりでなく人とモノの新しい出会い、関係を作り出すという意味のある役割もあります。
絵は新たに新鮮な目で見られることで、その都度新しく生まれることのできる不思議なモノ。そのような絵を、より生かす場としてのオークションの在り方を、今後時間をかけ、新潟絵屋的に模索していきたいと思います。試行的に行われる第1回では、主に会員の方々に呼びかけて出品していただいた作品でオークションを行います。絵との新しい出会いを探しに、年の瀬の一時、ぜひ新潟絵屋にお立ち寄り下さい。  (大倉 宏)
 
< 第1回 新潟絵屋オークションは「二枚札」方式で行います。 >
二枚札方式では、作品希望者が入札用紙に2通りの価格(上限価格と下限価格)を記入し「入札」します。上限価格と下限価格ともに他の入札者より高い場合は、下限価格で頒布されます。上限価格と下限価格の中間に他の入札者の上限価格が入った場合には、自分の上限価格で頒布されます。他の入札者のない場合は下限価格で頒布されます。
お問い合わせ・出品受付は新潟絵屋(TEL&FAX 025・222・6888)まで

 

  

クリスマス、新春のイベントを開催します。 *要申し込み(絵屋まで電話にて)
◆12月22日[土]|歌と絵本の夕べ「うたうだけ ―武満徹 songsより―」
 時間:18:00〜19:30 歌:「小さな空」「死んだ男の残したものは」ほか
 出演:歌…奥部千織(04年新潟大学室内合唱団メンバーで結成。男女4人の混声
 合唱グループ)/企画・伴奏…浅井美香/絵本読み手…中山佳奈恵
 参加料:会員…1,200円、一般…1,500円
◆12月23日[日・祝]|絵屋でクリスマス
 ●絵本読み聞かせ 11:00〜、16:00〜の2回
 読み手:11:00〜 豊島京子/16:00〜 中山佳奈恵 参加料:無料 
 ●青松ワークス製の木工オーナメントを絵付け 13:00-15:00
 参加料:500円
 (オーナメント1個含む・
  約10種類からお好きなものを選べます)
 持ち物:絵筆(貸出し可)
 塗料:アクリル絵の具(ご用意します)
 *12/22・23は石倉まみ
  (ステンドグラスオーナメント・即売)、
  相田諒二(写真1点)の作品を展示します。
◆2008年1月6日[日] |新春ライブ 「ね!」
 時間:14:00-16:00 参加料:会員…1,600円、一般…2,000円
 出演:リマック・パンパ、藤しんいちろう&たっつあん&本沢あきよし、二本柳茂


絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代のはみだし連載コラム 6

年をくうと記憶力、瞬発力はめいっぱい落ちるものの経験値は上がる。四十数年の、まあ大した事ない人生だけどこれぐらいはわかる。にわか雨は15分もすればやむって事ぐらい。いくら何でもこれは集中豪雨じゃない、そう思いながら内野の喫茶店を出れば雨はやんでいる。ところが――それが甘かった。(つづく)
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)




   

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