2008年7月


2008年6月の絵屋

2008年8月の絵屋

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2008年7月2日〜7月10日

企画 大倉宏

森本秀樹(もりもと ひでき)
■1951年愛媛県宇和島市生まれ。71年武蔵野美術短大油絵専攻科卒。団体展、コンクール等に出品のほか、東京、愛媛、千葉、静岡、神戸、横浜などで個展多数。コレクターのファンも多い。2003年故郷宇和島の原風景を描いた『森本秀樹画集宇和島』(三好企画)を刊行。05、06年新潟絵屋で個展。07年梅野記念絵画館(東御市)で回顧展を開催。

 

←「眠る街」 2008年 油彩、キャンバス F10号

絵屋の個展が3度めになる森本さんは抽象も描くが、大半は故郷の宇和島をモチーフにした風景画だ。千葉の船橋に住み、宇和島を描き続ける。それだけ宇和島が森本さんの体の一部になっているのだろう。
この春四国へ行き、その宇和島に足を伸ばした。前晩松山でひどく飲み、二日酔い状態で電車に乗りこみ寝てしまった。ふと目が覚めると、列車はトンネルを抜けたところで、一瞬すり鉢のような急斜面の下に海らしきものが見えた。あ、森本さんの絵、と思った。絵が私の体にもしみ込んでいたらしい。
入り組んだ入り江の奥の港町は、背後にいきなり千メートル級の山がせり上がり、半島と見まがう島がいたるところにある。湖のような海と島、漁村と段々畑と城山と古い街。百メートル移動すると景色が変わる町は、出口のない魅惑的な迷路だった。
心地よい単調な音を響かせる、どこかさびしく、そして明るい森本さんの絵の不思議な歩調は、小宇宙のようなこの宇和島の風景の声なのだと実感した。(大倉 宏)


 

2008年7月12日〜7月20日

企画 井上美雪

外山文彦(とやま ふみひこ)
■1964年長岡市生まれ。ギャルリ伝・FLOOR2(東京・世田谷)、カフェ&ギャラリーZen(長岡)、ウィリアムモリス(東京・渋谷)などで個展7回。出品した主な展覧会に、新潟・いま・表現「マグニチュード」展(89年/新潟市美術館)、発作魔偶名野外美術展(95〜98年/糸魚川市・日光寺観音堂境内)、原風景展(2002、04年/東京都美術館)、弥彦野外アート展(03、05年)、gartenインスタレーション(06年/見附市・今井美術館)など。長岡市在住。アトリエZen主宰。

 

←アサヌノシリーズ 麻布、アクリル絵具
 Gallery-EASE(長岡市)にて/2007年

新潟日報あーとぴっくす
 佐藤秀治「虚と実のカンバス間を往来」

■初日の7/12にオープニングライブを予定しています。また市内別会場で同時期開催の4人展「1950-2005/Exhibition from 点」(7/12-8/2)に、外山文彦も油彩画で出展します。併せてご覧ください。

外山文彦は独自の作品制作と平行して、アートイベントの企画やコーディネートにも携わっている。そういった現在の活動と共通するものを、作品自体からも感じるのが興味深い。
今回は、90年頃からかれこれ20年近くも続けているシリーズで、キャンバスの裏地を使った作品で構成する。これらの作品には新たな視点があり、「場」への好奇心が溢れている。そして見るものをその「場」へと誘う、そんな雰囲気が何とも彼ならでは。そもそもこのシリーズの発端は、アルバイト先の画材店でひたすらキャンバスを張り続けていた学生時代に、ふとその裏側の美しさを発見したことだという。
それぞれの作品が絵屋の空間とどのようにコラボレートするのか、外山の好奇心の目を感じながら楽しんでほしい。(井上 美雪)

 


 

2008年7月22日〜7月30日

企画 大倉宏

フジタヨウコ(藤田 陽子)
■1995年女子美術短期大学卒。96年同専攻科修了。同年坂爪勝幸氏に師事。2000年新潟現代美術リレー展、08年越後の花鳥画展(農舞台 十日町市)出品。03、04年ギャルリー炎舎(新潟市)、05、06、07年新潟絵屋で個展。

 

←27×27×h38cm 2008年

フジタ ヨウコの作品のどこに私は引かれるのだろう。陶で雲や樹を作ってしまう発想も面白いが、それ以上に作品が発する<野>の気配がいいのだと思う。
一昨年の雲の連作ではクリーム色の雲を支える太い筒に線条が刻まれ、丸が刻されていた。雨であり、雲なのだった。雲から雨や雪が降るのが「自然」なら、雨や雪が逆に雲を支える世界を<原初の想像力と交わる自然=野>と私は呼びたい。
一見メルヘンチックに見えるフジタの陶器は、現実の自然に埋もれたそんな野の空気を指先でつかみ出してくる。
昨年のモチーフの樹から一転して、今年は「椅子」である。といってもただの椅子ではない。お尻を乗せる板が木々の葉群や、波頭に浮かぶ大きな月になっている。座る体の下で枝が広がり、鳥がさえずり、高波の砕ける不思議な<野>の椅子のすわり心地は?(大倉 宏)

 



盛況だった6月のこども月間。「いまきみち・西村繁男・にしむらあつこトークライブ」(6/2)は、いまきさんの「とちのき」、西村さんの「チータカスーイ」のオリジナル音付スライド上映もあり、盛り上がりました。
左写真:中央・いまきみちさん 右・西村繁男さん(あいにくあつこさんは欠席でした)
右写真:展覧会場の様子



外山文彦展関連情報
オータムジェラートバンド オープニングライブ
7/12(土) 午後6:30分開演 入場料:700円
演奏:エベヨシタカ(ギター、ボーカル)&ジュン若月(ウッドベース)&豊崎鈴雪(ドラムス)


同時期開催 「1950-2005/Exhibition from 点」
7/12日(土)〜8/2(土) ※7/26休
・・・「今」とは作風の異なる「作家それぞれのある時代(点)」を取り上げた展覧会。外山文彦も大学生時代(1983年)の油彩画で出展します。出展はほかに舟見倹二(1950年代の油絵)、佐藤秀治(1990年の版画)、佐藤郷子(2005年頃の素描)。
会場:Sクィント2階ギャラリー&ティルーム 11:00-18:00
新潟市東区大形本町6-1-5 電話:025-279-1271


絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代のはみだし連載コラム
タシロ便がゆく ―来る人、いない人編 その1―

すこし前、センサーが正常に作動しないエレベーターが話題になった。しかしそれとは関係なく、私はよくエレベーターのドアに挟まれる。私に対しては、なぜか、どこのメーカーだろうが新しかろうがセンサーが反応しない事があるのだ。
ついでにいえば、自動ドアが開かないこともたまにあるな。入口の前で立ち位置をちょこちょこ変えてみたり、足踏みする様を、人に見られてしまうのは、けっこう恥ずかしい。(つづく)
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)

   

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