2009年4月


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2009年4月2日〜4月10日

企画 大倉宏

井田英夫(いだ ひでお)
■ 1975年新津市生まれ。97年新潟デザイン専門学校卒。1999年モンセラート美術大学(アメリカ、マサチューセッツ州)卒業。ミンゴーギャラリー(マサチューセッツ州)で二人展。02年3月、04年11月新潟絵屋、05年ギャラリーEMU-stで個展。

←「ガスコンロとフライパン」 2008年
  オイルパステル、パネル M20

東京の西洋美術館でいつだったか、スペインの静物画の、暗い影に目が吸い寄せられたことがあった。その色ともいえない色の美しさに、その絵の深い命を感じた。
絵屋での井田君の展覧会は5度目で、彼が新潟から福岡県の久留米市に移ってからは2回目になる。南の町に住むようになって、彼の絵の美しい色は明るさと暖かさを増した。近作を見ていて感じるのは明るいピンクや肌色や黄色や緑の間にそっと差し込まれる暗い−−色とも言えない色に、不安定ではまだあるが、強い生命が宿り始めたということだ。色の探究として井田君の絵を見ていると、色という世界の無限の奥行きを感じずにいられない。相変わらず描かれるのは部屋や街の一隅−−たまたま彼が身を置いた場所で切り取られる光景だが、日常を絵で生きる若い画家の純度の高い時間に心を揺すられる。(大倉 宏)

 


 

2009年4月12日〜4月20日

企画 大倉宏

隠岐安弘(おき やすひろ)
■ 1955年長野県東筑摩郡明科町(現安曇野市明科)生まれ。千代田デザイナー学院絵画科、新日本文学学校などを経て帰郷。98年第10回ソウル国際ミニアチュール版画ビエンナーレで佳作賞、99年第27回ルヴァン国際サロン展で抽象賞、04年第32回ルヴァン国際サロン展では版画部門賞など受賞多数。現在、養蜂業を行いながら東京と郷里長野の自宅で制作活動を行い、国内外で精力的に作品発表を続ける。新潟絵屋で05年10月個展開催。

←「宿る 2008-VI」 2008年 リノカット 45×30cm

 

■新作版画とアカシアの木彫像を展示 作家在廊日…4/18、19、20

2年前、東京のギャラリートモスから送られてきた隠岐安弘展の案内状の図版に惹かれた。4年前の絵屋での個展で並んだ作品とは違う感じが現れていた。
翼のある光る箱(?)をタンクトップの女が手を差し出し触れている。女は空を飛んでいるようでもあり、平らなところに立ち、浮く箱に触れているだけのようでもある。溢れんばかりの非日常的な光と動きが、一方で変化のない日常という地面にぺたりとついているという、不思議なその一点の印象から、私の企画で2度目の絵屋での個展を開かせてもらうことにした。
新作ではその魅力的な奇妙さは微妙にパワーアップし、描かれていない女の足下には高さ25cmの木の踏み台があるようだ。ほんのわずか日常から高まった場所で人が一瞬手にする、ささやかだけれど、深い何か。という言葉が見ている私に、届く。(大倉 宏)

 


 

2009年4月22日〜4月30日

企画 大倉宏

藤井芳則(ふじい よしのり)
■ 1962年新潟市生まれ。88年から新潟市を中心に飲食店・ブティック・アミューズメントなどの壁画、オブジェの制作を手がける。99年よりL−REXに参加し、作品の発表を続ける。2005年3月、07年9月新潟絵屋で個展開催。そのほか、08年よりgt.moo gallery(江南区旭)を経営する。。

←「earth watcher」 2009年
   アクリル、キャンバス 50×60.5cm

建築の内外装、店舗の装飾など注文主のさまざまな要望に応えて描き、作るアーティストであるチャックさん、こと藤井芳則さんには、美術学校で絵はあらかじめ自由だと教わる人々とは違う、微妙で、もっと現実的な自由への感情があるのかも知れない。
絵屋の個展で展開されてきた彼の<道>シリーズは、ガードレールも中央線もない不思議なハイウェイの風景。青い空間をめぐる起点も終点もない道の光景を流れる<動かない風>の感触に、シャイな藤井さんの底にある思いがけず強い感情の気配を感じる。それは繰り返し表れる波の絵にも見える。自由はどんなふうに描いてもよいことではなく、どう描いても動かない、見えにくい一点を見ることにある。そう告げだしたような彼の<自由な絵>に、ひそかな信頼を私は寄せている。(大倉 宏)

 



◎3月1日はちょうど日曜日であるし、珍しく「1」のつく日に営業することにしていた。この日は「五十田順子 自作自詠の書」初日。ところが、2月下旬のある日、北海道の鈴木翁二さんから電話があり、新潟に行くのでどうしても3月1日に歌いたいと唐突に言う。
鈴木さんは2004年に絵屋で個展を開催したご縁。偶然が重なり、ことがうまく運んで「パンク歌謡曲。鈴木翁二ライブ。地球へおりていこう。」は開催することができた。五十田さんの言葉と鈴木さんの歌は、異世界ながら、妙に響き合ってもいるような・・・不思議な空間だった。( I )

◎2月は読売新聞『時の余白に』(09.2.28)と、新潟日報社発行のフリーペーパー「assh」(vol.164 09.2.12号)表紙に絵屋が登場しました。記事をご覧になり、初めて絵屋に来てくださったお客様もたくさんいらっしゃいました。


春からのショップは韓国の民画に注目し、2ヶ月毎に小品数点を入れ替え紹介していきます。

民画とは何かというならば「韓国の、民による民のための絵画」と言えるでしょう。あまりに庶民の生活の近くにあったため長くその価値が認められず、最初にその素晴らしさを見つけたのは日本人柳宗悦氏でした。民画という呼び名も氏によって命名されたものです。民画の題材は生活に密着しています。文房具(多くは買うことのできない高価なもの)、家族の繁栄や長寿を願って描かれた果物や動物、科挙の合格や男子の立身出世を願うものなど、現実的な願いを事物に託してストレートに表現する魅力を感じます。ほかにも儒教思想を表す文字に故事や吉兆を表現した絵文字。風景画、土着的な宗教画など、その表現はたいへん多様です。その中のほんの一部ですが皆様にご紹介し、隣国韓国ののびやかな魅力を少しでも感じていただければ、幸いに思います。   石原奈穂子 

虎図

民画で多く取り上げられる題材に虎がある。かつて朝鮮半島には多くの虎が生息しており、虎は人々に恐れられる存在であると同時に親しまれ愛される存在だった。韓国の昔話の冒頭が「むかしむかし、まだ虎がたばこ(キセル)を吸っていた頃…」と始まることからも、人々と虎の親密さがうかがえる。
この図に描かれた黒い鳥は「カチ」といい、幸運の便りをもたらす吉鳥として愛されている。亀・鶴ともに長寿を表し尊ばれることは日本と同じで、縁起の良いものや親しい動物が描かれている。

文字図

文字図は、その文字に合った故事を象徴的に描き出すためのものだが、字の意味よりも図画的装飾性と形象表現に重点を置き、ときには文字を変形し描かれる場合もあった。
「信」は口に手紙を加えた二匹の鳥を描く。一羽は白い雁であり、もう一羽は四王母(中国の神話の仙女)説話の青い鳥。この鳥がくわえている手紙は誓いや信じる心・信頼を象徴しているところから「信」の意味を表現するために描いている。

←「信」2009年 25×20cm ¥7,000


石原奈穂子(いしはら なおこ)
兵庫県生まれ。1995〜98年、2002〜07年韓国に居住。韓国伝統工芸建築学校、丹青科卒。壇国大学生涯教育院講師 呉慶淑氏に師事。韓国民画研究会所属。韓国語の習得と韓国絵画の勉強がほぼ同時に進行した。2007年ソウルインサドンにてグループ展に参加。新潟市在住。

●2月のイベント「まちの日々てん」(2/11−15)で販売された、フリーペーパー「まちの日々」の別冊、「まちの日々180」を引き続きショップコーナーで取り扱っています。
まちの日々180 A5変形版 ¥500
*「まちの日々」本紙は絵屋で毎号配布しています。


絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代のはみだし連載コラム
タシロ便がゆく ―入観無料編その4―

それから2、3日したある日。絵屋へ行くと、堂々たる体躯のトラ猫が一匹、玄関でウロウロしているではないか。その体躯に似合わぬオドオドした態度。立派なしっぽも神経質に揺れているけれど、何がしたいか何となく解った。ー絵屋の中に入ってみたいらしい。(つづく)
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)

   

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