2011年5月


2011年4月の絵屋

2011年6月の絵屋

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WAKKUN還暦少年+1「絵と字と言葉」展

2011年5月2日〜10日

企画 旗野秀人
 
WAKKUN・涌嶋克己「家来の一人もいない王様」

WAKKUN・涌嶋克己(わっくん・わくしま かつみ)
■ 1950年神戸生まれ。86年TAO(神戸)、87年PICTURE(大阪)にて個展、以降毎年、神戸、大阪、京都、東京等で個展開催。95年阪神大震災で被災した障害者を援助するボランティアTシャツ・ガッツ君の絵を描く。主な著書に、絵本「ほっ」(90年・星雲社)、「いただきます!」(97年・佼成出版社・共著)、「あっ」(2000年・解放出版社)、画集「友達がいてよかった」(98年・遊タイム出版社)、イラストエッセイ集「54才の絵日記」(05年・友月書房)などがある。00年、05年新潟絵屋で個展開催。

←「家来の一人もいない王様」2010年
  墨、鉛筆、パステル、紙 65.0×125.0cm

 去年の10月、大阪の山口平明さんが堂守りする天音堂ギャラリーで、絵屋より一足先にWAKKUNの「還暦少年・絵と字と言葉」展を企画した。60歳になっても少年よりも少年らしい感性で多様な活動を続けるWAKKUNこと涌嶋克己さん。6年前、新潟水俣病公表40年の節目に絵本つくりを依頼する。水俣病と言う重いテーマを震災にあった少年、たかし君をとおして、(実はWAKKUNも被災者)見事に軽やかに元気の出る絵本「阿賀のお地蔵さん」に仕上げてくれた。そして、還暦になった少年WAKKUNは漢字研究者の故白川静さんの世界と出会い、自身のこれまでの足跡に確信をもったのだと思う。今年の2月、新潟市主催の水俣病関連イベントで来県したWAKKUNは95歳になる参治さんが唄う民謡にあわせて、子どもたちと一緒にライブペンテングをやった。その仕事ぶりに、絵と文字と人との原始を見た気がする。白川静さんもあの世でほくそ笑むに違いない。(旗野秀人)

 


 
arara・大桃沙織展

2011年5月12日〜20日

企画 井上美雪
 
arara「化粧白磁小壺」「合子」 大桃沙織「香炉」

↑arara「化粧白磁小壺」「合子」2011年 陶器

arara(荒澤聡子)
■ 1978年新潟県三条市生まれ。長岡造形大学卒業後、新潟市(旧巻町)村木陶芸スタジオ・村木正廣氏に師事。atelier arara陶芸教室主宰(2003年7月〜08年4月)。08年新潟絵屋、09年天童木工PLY展示室で個展。制作活動の傍らカフェダイニングGIVE ME CHOCOLATE(新潟市中央区東掘)、ベトナム料理店FURUMACHI(同古町)、BON(同)にてフードディレクションを担当。

↑大桃沙織「香炉」2011年 銅、真鍮

大桃沙織(おおもも さおり)
■ 1979年新潟市生まれ。長岡造形大学造形学部工芸デザインコース鍛金卒業。2006・07年畑野恵子・平井沙織二人展「イカラカラ」(Fullmoon upstairs)、08年新潟絵屋で個展「凸柑」開催。07〜10年クラフトショップ「イカラカラ」(古町通4)オーナー。08・09年第24回松本クラフトフェア(松本市あがたの森)出展 。

 絵屋で大切にしているもののひとつに、araraさんの陶のカップがある。丸テーブルにお茶を出しながら木目の中の白い丸に惚れ惚れする。シンプルさと白の相性が抜群にいい。使用感も好評だ。カップの美しさには周囲を美しくする魔法がある。
 一方大桃さんは3年間営んだ上古町のクラフトショップを閉店後、制作に集中し、今は「玉」に熱中している。鍛金は金属を叩いて作る。私が愛用する大桃さんのアルミボタンや、真鍮のキーホルダーネックレス、銅のフックなども元は平たい金属だった。平らから作り出される「玉」にも魔法が宿っているようだ。
 玉の大桃さんと、色の冒険をした後また「白」に帰り、今回は化粧白磁の新作を発表するararaさん。二人の間に響き合うものを見たい。そして大切にしてくれる誰かに、優しい「白」や「玉」を送り出せたら幸せだ。(井上美雪)

 


 
佐藤裕一郎展

2011年5月22日〜30日

企画 大倉宏
 

佐藤裕一郎「ice fog 1011」

佐藤裕一郎(さとう ゆういちろう)
■ 1979年山形県生まれ。2003年東北芸術工科大学日本画コース卒業。卒業制作優秀賞受賞。05年 同大学院修了、同大学大学院修了制作選抜展(東和ギャラリー)に出品。02年第13回臥龍桜日本画大賞展で優秀賞。05年第3回トリエンナーレ豊橋星野眞吾賞―明日の日本画を求めて―で優秀賞受賞。09年川口市文化三賞芸術奨励賞受賞。個展は04年なびす画廊、05年ガレリア・グラフィカbis、07〜10年gallery―58、07年砂丘館、07・08年画廊Full Moon、09年新潟絵屋、川口市芝川鋳造「アートがまちに繰り出す 佐藤裕一郎展」など。07・09・10年METAU(神奈川県民ホールギャラリー、日本橋高島屋美術画廊X、他)、07年日本画滅亡論(中京大学アートギャラリーC・スクエア)、10年ガロン第1回展(瑞聖寺ZAPギャラリー)に出品。現在、多摩美術大学日本画非常勤講師、芸術による教育の会講師。

←「ice fog 1011」2010年
  岩絵具、顔料、パネルに和紙 227.0×273.0cm

 大きな会場の展覧会に、大きな絵が溢れている光景によく会う。画面が大きいだけでなく、どうして?と思うほどイメージの盛り込まれた絵が多い中、佐藤裕一郎の絵は、ひときわ巨大でありながら、その内容が、逆にシンプルであることで際立っている。
 土やモルタルや厚紙を塗り、張り込んだ初期作品から、物質感の突出を抑え、褐色から濃紺と白に変化してきた近作まで、彼の関心はひたすら自然の孕むエネルギーを、絵という感官に、全面で感受することに向けられてきた。そのまっすぐさに、私も引かれてきたのだ。
 自然力の信じがたい巨大さを、つい最近私たちは体験したばかりだが、その途方もないものに共振する絵を見ていると、自然の前に畏怖し、縮こまっていきそうな気持ちが、逆に奮い立たせられ、霊気を吹き込まれ、勇気づけられるのを感じる。(大倉宏)

 


 
東日本大震災で被災されたみなさまに、心よりお見舞い申し上げます。新潟絵屋では厚地富美子展の展示がほぼ終わったときに、大きな揺れが来ましたが、幸い破損や被害はありませんでした。次々と伝えられる悲惨な状況に、気持ちが落ち込みました。イベントも次々に中止に。そんな中だったからでしょうか、展覧会場で明るく大らかな厚地さんの絵を見て、気持ちが静まったと仰る方が何人もありました。(大)
 

月刊キャレル
雑誌『月刊キャレル』東北関東大地震誌上チャリティー企画に、厚地富美子さんのご好意で、厚地さんの版画作品「つぼ」を出品させていただきました。

4月2日〜10日に開催された「ドイツの青 インゴ・グメルスとスサンネ・イブラ」展でも、作家のお二人と企画をコーディネートしたアンティエ・グメルスさんからのお申し出により、作品売上の一部を震災被災者のための義援金として寄付させていただきました。

 

NPO法人新潟絵屋の総会が開かれます。

5月28日(土)13:00〜14:00、旧年度の事業・会計報告、新年度の事業・予算案ほかを審議します(場所:砂丘館/新潟市中央区西大畑町5218-1)。また、14:00〜15:00には同じ会場で「会員交流」を開きます(参加費500円)。お茶を飲みながら委員と会員が意見交換する貴重な時間。総会は正会員のみの参加となりますが、交流会は賛助会員、および絵屋にご興味ある一般の方々も参加できます。ご参加希望の方は電話、ファックス、Eメールにて新潟絵屋までお申し込み下さい。


笹祝

吉川酒店(こんぴら通り)×新潟絵屋 presents 日本酒の会 〜笹祝編〜

5月7日(土)18:30〜21:00
新潟絵屋(涌嶋克己・WAKKUN「絵と字と言葉」展会場)にて
参加費:2,500円 限定12名(要申込/新潟絵屋 TEL.025-222-6888)


タシロ便がゆく

絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代の12ヶ月
タシロ便がゆく ―草猫が詠む編 その5
船の名は露西亜の姫や夏鴎 草猫
最後のロシア皇帝一家と共に、皇女アナスタシアも森に埋葬されたらしい。最新のDNA鑑定では。でも国の名がソビエト連邦に変わり、また元に戻ったある日、孫たちに囲まれて市民としての一生を終える。そんな物語があったっていいんではないか。信濃川ウォーターシャトルを眺めながら、そんな事を思ってみる。
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)

   

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