2011年8月
 

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吉田正俊展

2011年8月2日〜10日

企画 小見秀男
 
吉田正俊「鏡中魚図」

吉田正俊(よしだ まさとし)
■ 1966年旧新津市生まれ。92年新潟大学大学院終了。93年人間讃歌大賞展奨励賞(96年優秀賞・02年佳作賞)97年ギャラリー千石賞展大賞受賞。2002年環境と都市の美術展(主催・福田組)優秀賞。04年三人の具象展(ギャラリー dotONE/長岡)。05年昭和会展招待出品(06年、07年)。07年雪梁舎フィレンツェ賞展。08年羊画廊にて個展。

←「鏡中魚図」2006年 油彩、板 S50

 吉田さんの作品を最初に見たのは1993年のこと。開館間もない近代美術館のギャラリーで開かれた大学の同窓会で彼の描く「河豚」の絵に出会ったのだ。
 「河豚」は食通にとって「美味」を代表する海魚ようだが、まさか油絵のモチーフにもなるとは不明にしてそれまで知らなかった。茶褐色の色調で精緻に描かれた魚体に先ず驚かされて、そして魅せられた。そしてまた、このような絵描きが身近にいることがうれしかった。
 吉田さんにとってその後も魚体は主要なモチーフだが、「鏡の中に写った魚の形、雰囲気の面白さ」から画面に鏡が配置され、そこに幾重にも写る魚体の虚実の定まらない世界が描かれるようになった。モノトーンのマチエールを多層化するため絵具を厚く塗り、櫛で梳いてリズミカルな波線を刻む技法上の工夫が画面に静かだが、豊かな表情をうみだしている。ここでは、イメージもマチエールも謎にみちた魚体と鏡の「迷宮」を創りだすために奉仕しているのだ。
 さあ、ラビリンスの入口に立って中をのぞき込んで見よう。(小見秀男)

 


 
田中正弘展

2011年8月22日〜30日

企画 大倉宏
 

田中正弘「昆虫記・アゲハチョウ」

田中正弘(たなか まさひろ)
■ 1946年、新潟市生まれ。76年の初個展以後、東京銀座を中心に個展グループ展多数。90年「四季の径・彫刻大賞展」大賞受賞(古河市)。91年新潟市寄居浜に「夕日モニュメント」を製作。2003年8月、06年8月、09年8月新潟絵屋で個展。
*会期中作家在廊

←「昆虫記・アゲハチョウ」2011年 硬質石膏、黒鉛ほか 44.0×32.0cm

 田中正弘の前回の「植物誌」は鉛色のレリーフの枠の中にいろいろな植物の種があった。種はレリーフの一部と化し、背景に同化した標本箱に見えた。同化は自立性の解体、消滅を意味するので「死」を喚起させる。種という生命の起点の死、というおそろしいイメージをはらみつつ、そのレリーフには、不思議なあたたかみがあった。
 今回は種が昆虫の羽になった。生き物からむしられた断片。死のイメージは続く。標本箱のイメージも。
 小学生の頃、理科の準備室で見た標本箱。人体の解剖模型などもあり、子供の声が響く学校で、異質な空気を漂わせ、準備室はひっそりしていた。針にさされ、整然と並んだ昆虫は生きているように鮮やかだった。けれどそれらはどこまでもひっそりして、やはり死んでいるのだった。標本箱はそのようにして、死を伝える。と同時に、死を丁寧に扱うという行為を伝えていたように思う。
 「昆虫記」へと変わってきたシリーズは、長く田中の感情を捉えてきた死のイメージを、どこか静かな視線で丁寧に見つめている。そのやわらかい目が、あたたかい。(大倉宏)

 


 
  

新絵屋宵ライヴ・一期C会

2011年8月13日(土)
  18:00open/18:30start
1000円(1drink付き)
定員:30名(新潟絵屋へ要申込)
主催:新潟絵屋
企画:みと
協力:あわ
新絵屋宵ライヴ・一期C会

出演者
茶柱 新潟県内を中心にレストランやギャラリーなど、様々な場所でゆったりまったり活動中。
金滋光 神奈川県在住。お化けとお酒が好きな中年。ゆるゆると音楽活動もやっている。
conte 中村りゅうによるソロユニット。日々の出来事を暖かい音楽にのせてゆったりと展開中。
森田花壇 子煩悩なシンガーソングライター。2011年2月絵屋でソロライブ「森田花壇の日」開催。
映像提供
山田裕喜 2004年にいがた映画塾9期講座卒。
(担当アーティスト:茶柱、conte)
大岩智佳 2009年にいがた映画塾14期講座卒。
(担当アーティスト:森田花壇、金滋光)

片山健「山犬」

まちの本屋さんで展示を企画しています。
片山健展 2011年8月1日(月)〜31日(水)
「新しい皿」「船を浮かべる」「山犬」
3つのイメージの絵画8点を展示します。

北書店 (新潟市中央区医学町通2番町10-1-101)


BABY-GRAND
かみのけTシャツ、大ボタン、ストラップ
葉書セット入荷

BABY-GRAND
 

タシロ便がゆく

絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代の12ヶ月
タシロ便がゆく ―草猫が詠む編 その8
巨き船還つて来たる炎暑かな 草猫
新潟港に新日本海フェリーが入って来た。いつみても大きい。旅客機だってジャンボジェットなどは大きいのだけど、船は豊かな容量を感じさせられる。海の底にはタイタニックに戦艦大和。あまたの美しく巨大な船が眠る。暑さで地上がかげろうめくこの季節、海底の船もゆらりと入港してくるのではないか。
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)

   

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