2011年7月
 

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かんなくずの歌 渡辺幸夫展

2011年7月2日〜10日

準企画
 

渡辺幸夫(わたなべ さちお)
■ 1952年新潟県山北町生まれ。84年北海道帯広市でパステル画を描き始める。新潟市美術展市長賞・協会長賞、新潟県芸術美術展奨励賞・会員賞、行動美術展奨励賞など受賞。

←「現(うつつ)」 2011年 パステル、発砲パネル

 

■作家在廊日 7月2、3、9、10日

 渡辺幸夫さんは大工さんで、長年絵も描いてきた。ではなく、絵を、と言うべきだろう。その本気度が見せてもらった絵から伝わってきた。素材はパステル。大きな絵も小品もみなパステルで描く。絵を始めたきっかけがパステル画に感激したことだったらしい。
 魅せられた絵から、個展はかんなくずの絵でしましょうと勧めた。大工さんの渡辺さんには見慣れたかんなくず。それが、あるとき「光って」見えて始めたというシリーズだ。
 パステルのかんなくずは削り出された瞬間の、小気味よい回転の気配を残しながら、自分の薄さに自分を支え切れず、倒れ、伸び、反転し、ほつれ、折り重なって、歌声になり切れない声で、けれど歌っている。歌おうとしている。その声が、光が、渡辺さんに届いたのだということが、絵から伝わってくる。(大倉宏)

 


 
長谷川徹展

2011年7月12日〜20日

企画 大倉宏
 

長谷川徹(はせがわ とおる)
■ 1948年新潟市生まれ。69年武蔵野美術大学中退。92、94 年安井賞候補。96年感動創造美術展グランプリ受賞。2010年7月新潟絵屋にて個展。そのほか、個展多数。新潟市在住。

←「Works」2011年 アクリル、板 84.0×60.0cm

 一年ぶりに学校町通りの家を訪ねると、長谷川徹が絵を手に現れ「写真を」と言った。見た一瞬、いいなと思った。その一瞬の感じを私は信じている。時刻は6時ちかく、雨が落ち始めた家の前で持参のデジタルカメラで絵を撮った。
 それから、また一年前と同じように、穴蔵のようなアトリエ兼住まいで缶コーヒーを飲み、絵を見た。たっぷりの絵具を筆で押し付け、動かす、その痕跡が二つ、四つ。筆の独特のふるえは昔からのものだが、そのふるえが変わってきたように思う。繰り返しのように見える絵が、生きているということだ。ほとんどもう外出することがないという長谷川は、こうして学校町通りの一点に定まりつつある、彼の生きる場所の痕跡を、板に静かに刻んでいるのだと思う。
 絵を語り始めればはてしのない彼が、黙って絵を眺め、下塗りのむらを気にする。言われて気付いたそのむらに目をとめた私は、なぜか「学校町」をそこに感じた。そのことで絵に、自分が、ひと目盛り近づけたような気がした。(大倉宏)

 


 
フジタヨウコ展

2011年7月22日〜30日

企画 大倉宏
 

フジタヨウコ「逆さまな街」

フジタ ヨウコ(藤田陽子)
■ 1995年女子美術短期大学卒。96年同専攻科修了。同年坂爪勝幸氏に師事。2000年新潟現代美術リレー展、08年越後の花鳥画展(農舞台/十日町市)、11年女子美術大学アートミュージアム「予期せざる出発」出品。03、04年ギャルリー炎舎(新潟市)、05、06、07、08、09年新潟絵屋、09年ギャラリーいなば(東京)、10年ギャラリーさやけで個展。。09年長三賞入選。

←「逆さまな街」2010年 50.0×42.0×h39.0cm

 雲、家、樹木、窓、鳥や船…とめぐってきたフジタヨウコの個展。7回目の今年のテーマは家。そもそも陶器で「家」を作り始めて制作が楽しくなったという、彼女の原点的モチーフだ。
 フジタの家は現実のそれではなく、「家」の心の像(メンタルイメージ)的な家だったが、今回はさらに上下の反転した家が融合し、街と水に映る街がひとつになった形があらわれてきた。
 川や湖に映る街に、人は似ているけれど違う街を感じ、夢想することがある。フジタの上下の街も、鏡像みたいで違っているのがいいなあ。鈍く光る銀色や黒の壁、どんより曇った空、大気が石のように沈黙した午後の、現実が非現実に溶けていく時間に口を開く路地の向こう側。重く、魅力的な夢想の手触りが陶の肌から匂ってくる。(大倉宏)

 



8月の
新潟絵屋
 02日(火)〜10日(水) 吉田正俊展
 22日(月)〜30日(火) 田中正弘展

INFORMATION
新潟絵屋の企画について

 

NPO法人化に伴い、会員が3種類になります。
     正会員     年会費 5,000円
     個人賛助会員  年会費 5,000円
     法人賛助会員  年会費10,000円
  
入会金はいずれも不要。正会員は新潟絵屋の総会に参加でき議決権を有します。

入会方法
■直接絵屋でお申し込みください。郵便振込もご利用になれます。その場合は、郵便振替口座〈新潟絵屋00510-6-61917〉へ住所・氏名・電話番号・入会希望・会員の種類をご記入のうえ、会費をご入金ください。
■会員には1年間有効の会員証を発行します。この会員証の提示により1企画1作品に限り購入が1割引、絵屋で行われる有料の催しが2割引になります。また、コーヒーも無料サービスいたします。どうぞご利用ください。
■更新期間内に継続手続きをされた「継続会員」の方は、会員証の提示により作品購入時に1000円割引(1回のみ)いたします。
■これまでの会員は、引き続き個人賛助会員とさせていただきます。
■常時カンパ(運営協力費)も受け付けています。
※郵便振込でご入金の方には、次回の絵屋便と一緒に新会員証を送付させていただきますが、手続き確認時に会員証を作成しますので、直接絵屋でもお渡しできます。

  

11周年記念片山健講演会「わが愛する絵本」

6月12日 新潟絵屋11周年記念 片山健講演会「わが愛する絵本」
(クロスパルにいがたにて)

片山さんが大切に思われているいくつかの絵本を紹介しながら、子供時代や子育て中に遡ったりの貴重なお話しをお聞きしました。手にしているのは最後に紹介された『おじいさんの口笛』です。
新潟絵屋の11周年を記念しての今回の展覧会、展示作業の6月11日夕方、4間の格子戸に青と黒の絵の具で直に描いた大きな作品ができました。建物はくすぐったくて大笑いしていたかもしれません。片山さんの素晴らしい絵とお話に、わたしたちは勇気をもらいました。(I)

 

タシロ便がゆく

絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代の12ヶ月
タシロ便がゆく ―草猫が詠む編 その7
薔薇垣の奥へ奥へと郵便夫 草猫
絵屋の近所には謎の家が多い。普通の家なのに、一本で森のような木が生えていたり、表は新しいのに、奥が古色蒼然たるお屋敷だったり。よく前を通る板塀の家に郵便配達が来ていた。木戸が開いて、はじめてその奥がみえる。素っ気ない塀の向こうは白昼夢のような薔薇の花ざかりで、郵便配達の制服がその奥へ消えていく。
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)

   

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