2012年4月


2012年3月の絵屋

2012年5月の絵屋

  新潟絵屋あんない 作家INDEX Blog  

 
井田英夫展

2012年4月2日〜10日

企画 大倉宏
 
井田英夫「加藤千明」

井田英夫(いだ ひでお)
■ 1975年旧新津市生まれ。97年新潟デザイン専門学校卒。1999年モンセラート美術大学(アメリカ、マサチューセッツ州)卒業。ミンゴーギャラリー(マサチューセッツ州)で二人 展。02・04・06・07・09・10年新潟絵屋、05年ギャラリーEMU-st、11年久留米市一番街多目的ギャラリーで個展開催。

←2012年 木炭、紙 51.0×71.0cm

作家在廊日:会期中在廊
4月6日(金)のみ21:00まで開廊。
 夜しか時間のない方におすすめです。

 九州、久留米での4年の生活を終え、昨年7月井田英夫さんが新潟に戻ってきた。この冬、雪が積もると、どこからか井田さんが現れ、絵屋や砂丘館の雪かきをしてくれるのだった。下町に間借りして、秋頃から制作を始め、砂丘館で描いている姿もよく見た。そうして生まれてきた油絵の繊細な筆触には、対象を以前以上に細かく見つめようとする努力が見える、そして色がやはり美しい。澄んでいる。
 間借りした家に住むダンサー Nさん、Kさんを描いたスケッチもいい。飾らず臆しがちな人柄の巨漢の彼の前で、やはり飾らない姿でうつむいたり、寝転んだりしているふたりの姿に、「生きている」という言葉が浮かぶ。生きている――絵に、踊りに。そういう若い人たちがこの町にいることに、私もまた生かされている。人に新たに目を向け始めた井田さんの風景が、どう変わっていくのか、楽しみだ。(大倉宏)

 


 
松川孝子展

2012年4月12日〜20日

企画 大倉宏
 
松川孝子「森にて08-IV」

松川孝子(まつかわ たかこ)
■ 1945年新潟市生まれ。日本女子大国文科卒。73年渡仏。75年よりウィーンに在住。国立ウィーン応用美術大学卒。オーストリア芸術家協会会員。94年以降ウィーン、東京、大阪で個展。ヨーロッパ各地の展覧会に出品。アルベルティーナ美術館(ウィーン)、グラフィック美術館(ノルウェー)、Petit Format 美術館(ベルギー)ほかに作品収蔵。新潟では95、2001年大和アートサロン、04年、06年新潟絵屋、06年砂丘館で個展開催。

←「森にて08-IV」2008年
  31.5 x 58.5cm 油彩 木炭、紙

作家在廊日:会期中在廊(14:00―17:00)

 ウィーンの松川さんから送られてきた近作を見て、彼女の絵に以前からあった「日本画の肌ざわり」が、ずいぶんくっきりとしてきたと感じた。余白の広がり、隅の落款などもそうだが、もっと深い、微妙なところに、彼女がかつて新潟で師事した小島丹漾の絵の気配を感じるのだ。
 日本画が日本の外に出たらどうなるのか?と思ってきた。日本だけで評価される内向きの絵というイメージもどこかあった。太い棒状の色面が上方から突き出された横長の画面には、彼女が日本に、日本画の世界にいたら、決してこうはならなかったろうというものがある。しかし日本画は切り捨てられるのではなく、新しい空間で、生き直されているのだと思う。新潟の風景や人々を、太い線、重く、暖かい色で描いた小島丹漾の絵のエッセンスが、透明で硬質な風土のなかで組み直され、甦っている。
 長年の疑問に、ひとつの回答をもらった気がしている。(大倉宏)

 


 
森敬子展

2012年4月22日〜30日

企画 大倉宏
 
森敬子「ふくろうと白い花」

森敬子(もり けいこ)
■ 1947年兵庫県生まれ。70〜99年まで二科展出品、同千葉支部所属。二科会・藤井二郎氏、同・天野三郎氏師事。銀座プランタン、池袋三越、ギャラリー汲美、ギャラリーテムズ、ギャラリーゴトウ、ギャラリーアビアント他個展多数。2007年10月、08年10月、10年4月新潟絵屋で個展開催。千葉県市川市在住。

←「ふくろうと白い花」2011年 油彩、キャンバス F4

作家在廊日: 4月22日(日)、28日(土)

 森敬子さんの絵の、人の、どこに惹かれるのだろうと、森さんの絵の前で、よく考える。3月の東京での個展で近作を見たときも考えた。熱海の島を描いた風景の前で、「ゆげ…!」と小声で叫んでいた。はみでた下地の白い絵具がそう見えたのだが、そんなささいな意外や不思議が、どの絵にもあって面白い。
 震災後、長く絵を描けなかった森さんが「牛のいる絵を弄(いじ)っていたら<帰郷>という題が浮かんだ」という。優しそうな牛や鳥のいるその絵には、地震も津波も原発も描かれてはいない。動物も草も虫も道祖神も人も同じように在るらしい森さんの平和で素朴な世界に、けれどそれらは、続いている。そう感じさせる「ささい」の深さに、私は呼ばれ、声を上げてしまうのかもしれない。(大倉宏)

 


  

平成23年度(〜H24.3)で寄付会員70人を目標としていましたが、達成できそうです! ご入会いただいた方々に感謝申し上げます。新年度(H24.4〜)では130人を目標に、2年度で寄付会員平均100人を募り、認定NPO法人を目指します。引き続き、ご入会をお願いいたします。


  
東京中野区の住宅街の一画にあるギャラリーで、アンティエ・グメルス、蓮池もも、栗田宏という絵屋とも縁の深い3人を紹介した「新潟の画廊から」(2月24日〜3月4日)。美しい庭のあるマンション一階の一室という初めての展示空間で、3人の絵が新潟とはずいぶん違って見えたのが面白いことでした。初めて接する作家と絵に、東京の方々や、さらに遠くから来て下さった方々にも興味を感じていただくことができました。初日のオープニングには30人を越える人が集まり、絵の話で楽しい2時間があっという間に過ぎました。寒中お出でいただいた方々に感謝申し上げます。(大倉宏)

タシロ便がゆく

絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代の12ヶ月
タシロ便がゆく ―草猫が詠む編 その16
ささくれし桜のはだも母校かな 草猫

絵屋便配りのルート状に自分の通っていた高校がある。花の散った桜の幹は大小の瘤におおわれて荒々しい。自動車か何かがこすっていったのか、玄関の桜の幹に生々しい傷があった。
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)

俳句の会「紙とエンピツと」 案内人/田代草猫
5/31、7/31、10/31 各回10:30〜12:00(参加料500円/申込受付中)

   

2012年3月の絵屋

2012年5月の絵屋

  新潟絵屋あんない 作家INDEX Blog