2012年9月


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ロバート・ワッツ陶芸展

2012年9月2日〜10日

企画 大倉宏
 
ロバート・ワッツ「Geometric Spiral」

ロバート・ワッツ(Robert Watts)
■ 1963年米ニュージャージー州、ウエストフィールド生まれ。86年ロチェスタ−芸術大学(ニューヨーク)卒。同年メモリアルアートギャラリーのロチェスターフィンガーレイク展でエクセレント賞受賞。ロチェスタ−芸術大学優秀生展に出品。87年来日、中条町の坂爪勝幸工房にて制作。88年第3回新潟陶芸展(新潟市美術館市民ギャラリー)に出品。91年焼き締め陶公募展(岡山県備前陶芸美術館)で記念賞受賞。2001年ホヴァフォードギャラリー展(フィラデルフィア)に出品。

←「Geometric Spiral」2012年 h30×w34×d15cm

 有機的で、機械風で、あたたかいロバート・ワッツの陶芸に、いつも新鮮に、目をもみほぐされる。
 桃山時代の茶陶に共感するアメリカの陶芸家ヴォーコスから現代美術に開眼した日本の陶芸家坂爪勝幸に新潟で学んだアメリカ人ワッツの作品には、坂爪とも、ヴォーコスとも、桃山茶陶ともまったく違う個性がある。桃山時代の茶人は、見なれない表現に強い好奇心を持ち、積極的に茶道具に吸収した。ワッツの陶器を桃山時代に届けることができたら、茶人らはさぞかし狂喜したのではないだろうか。
 昨年そのワッツさんから、いただいたコーヒーカップを、時々使っている。<機械動物>という風の奇妙な姿のカップは、けれど使ってみると、思いのほか使いやすく、愉しい。南蛮渡来の器で茶をすすり、驚き、ほくそ笑んだ戦国期、桃山の茶人の気分がよみがえる。(大倉 宏)

 


 
浅野紋子・打木二人展

2012年9月12日〜20日

企画 大倉宏
 
浅野紋子「ざわめきのあと」 打木「手もちゃんとしまって」

「ざわめきのあと」2012年
 顔料、メディウム/白亜地 パネル 22.0×27.4cm

浅野紋子(あさの あやこ)
■ 1978年千葉県生まれ。多摩美術大学絵画学科油学科卒業。ギャラリーテムズ、ギャラリーゴトウなどで個展。二人展は2011年ギャラリー島田とギャラリーKANIで開催。

■作家在廊日:浅野9/16-20(予定)

「手もちゃんとしまって」2012年
 油彩/キャンバス 45.5×38.0cm

打木(うちき)
■ 1978年千葉県生まれ。武蔵野美術大学短期学部美術科卒業。ギャラリーゴトウ2nd Roomにて個展。グループ展多数。 二人展は2011年ギャラリー島田とギャラリーKANIで開催。

■作家在廊日:打木9/12-16(予定)

 友人でもある2人の、ずいぶん違う作風に感じる類似を考えていたら、身体(からだ)という言葉が浮かんだ。
 くすみの底に深い陰影をひそませた浅野紋子の抽象は、筆を重ねて作られた絵肌が人の表皮を思わせる。滑らな、ぬれた、しわ立つ、めくれ、化膿し、かさぶたになった肌。痛みやよろこびの波が次々寄せる、人と人の、人と人でないものの接点である肌。揺れ動くその身体感覚が目を圧し、しみてくる。
 打木の絵は身体をじかに描く。細い骨張った若い四肢は、まとわれる麻や木綿の布に似た薄さ、折れやすさを感じさせる。平板な布が、ときに風をはらみ、衣装となって輝くように、微熱を帯びた画面に浮上する色の、艶めきとあざやかさに打たれる。
 若い身体は変化も早い。初めて見た2年前の絵が今は遠くに見える。動いて行く絵の現在を絵屋で感じたい。(大倉 宏)

 


 
村井勇写真展「傾斜10度の坂道」

2012年9月22日〜30日

企画 大倉宏
 

村井勇(むらい いさむ)
■ 1961年東京都生まれ。88年より製作開始された記録映画『阿賀に生きる』で撮影スタッフを務める。担当はスチール写真。93年、長野県南佐久郡にて記録映画『地域をつむぐ―佐久総合病院付属小海町診療所から』に撮影助手として参加。映画撮影終了後、単独で南佐久のお年寄りの姿を撮り続け、97年に新潟市万代リターナにて初個展「ぼちぼちいこか」。その後、98年長野、99年神戸、京都で巡回展を開催。新潟絵屋では2000年9月「泪目小路の猫」、04年12月「誰のせいでもない雨」、10年「ロオリング」を開催。02年創刊よりフリーペーパー「assh」(発行・新潟日報社)の表紙写真を担当する。

←2001年(撮影)モノクロ 22.0×33.0cm

 「水と土の芸術祭2012」のディレクターの堀川久子は、素晴らしい舞踏のダンサーだが、彼女が故郷新潟に戻ってほどない2000年代初頭に下(しも)の路地や町屋で踊った姿を、村井勇が撮った写真たち。すべてモノクロ。フィルムで撮られている。
 重層的に、ばらばらに、動いていくものや状況を、昆虫の複眼のように同時に視野に入れる目を、すぐれた写真家たちは持っている。この一連の写真でも、ダンサーの胸をつく顔や体の表情とともに、そこにあった土の壁、書棚、窓から差した光が見る者を揺する。堀川のダンスはダンターとともに場所が動き、呼吸する。無数の偶然が偶然の、思いがけない揺れが揺れのまま、印画紙に置かれてある。写真家村井勇の「揺れる力」の源流を垣間みる心地がする。(大倉 宏)

 

  



こんぴら通り・吉川酒店×新潟絵屋プレゼンツ
日本酒の会「君の井編」
9月22日(土)18:30〜20:30
「村井勇写真展」の展示室で、じっくりお酒を味わいます。
参加費 2,500円/限定12名/ゲスト:村井勇、蔵元
(要申込:新潟絵屋 025-222-6888まで)



絵屋宵ライブ・一期D会 in gt.moo.gallery
2012年9月16日(日)17:30〜21:30予定
新潟絵屋を会場に毎年8月に開催してきた音楽とアートのコラボレーションイベントを、
5回目の今回は規模を拡大して開催!
出演:茶柱、森田花壇、金滋光、MOMENTS、遠藤恵子、坂ノ下典正、イトウミオ
ヴィジュアルイメージ:カンダアキラ、斉藤愛、大岩智佳、尾崎美幸
前売り 1500円/当日 2000円(1drink)
会場:gt.moo.gallery(新潟市江南区旭2-4-1)
主催・問合:水戸静香 090-1379-7399
協力:新潟絵屋

タシロ便がゆく

絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代の12ヶ月
タシロ便がゆく ―草猫が詠む編 その21
落蝉のまだまだ生きる気でありぬ 草猫

夏の終わりになると、自転車の進む先によく蝉が落ちている。踏まないようによけて、念のために拾ってみる。もうピクリとも動かない事もあれば、さっきまで死んだようになっていたのがウソのようにビービー鳴きはじめる事も。もうひとがんばりしろよ、とそばの木にくっつけて、自転車をまた進める。
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)

俳句の会「紙とエンピツと」 案内人/田代草猫
10/31 各回10:30〜12:00(参加料500円/申込受付中)

   

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