2013年2月


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2013年3月の絵屋

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泉谷真知子展

2013年2月2日〜11日

企画 小見秀男
 
泉谷真知子「2012.11.2 ゼロゼロ」

泉谷真知子(いずみや まちこ)
■ 1950年新潟市生まれ。制作と並行して30年にわたり絵画教室を続け、絵を通して子供から大人までの教え子たちと向き合ってきた。97・2001年アトリエ我廊、05年たけうち画廊で個展開催。

←「2012.11.2 ゼロゼロ」2012年 色鉛筆・紙
 40.5×32.0cm

 泉谷さんが描き出すイメージにはいつも音楽的感興をもよおしてきた。丹念にハッチングされた色の線は長短、強弱、濃淡、明度のアクセントで、さながら四分音符から十六分音符のように配されメロディ、リズム、ハーモニーを生んでいるよう。
そして、色の線で織るように紡がれたイメージは収縮、拡散を繰り返し、まるで「遁走」するように空間を自在に走る。
 作品名で分かるように出品作は泉谷さんが日々の自己との対話から生まれた絵日誌風の記録だが、饒舌にならず、表現への抑制が効いていて明るく済んだ「絵画」に昇華している。
 泉谷さんが奏でた旋律を心澄まして鑑賞したいと思う。(小見秀男)

 


 
大高正嗣展

2013年2月15日〜24日

企画 井上美雪
 

大高正嗣「鮭」

大高正嗣(おおたか まさつぐ)
■ 1973年青森県弘前市生まれ。旅行の途中で新潟に住み着き、仕事も転々と十余年。写真は小林茂氏と村井勇氏に手ほどきを受け、絵は独学。酒食にこだわり無。2008・10年新潟絵屋で個展。水と土の芸術祭2012では市民プロジェクトで写真展「水辺の顔」(12月万代島旧水揚場・小かまぼこ)を開催。

←「鮭」(完成前)2012年 ペン・紙 42.0×59.4cm 

 大高さんの2年ぶりの絵画での個展。前回の大高さんは段ボールのひだが気に入っていた。紙質を生かした竹林の虎や、暗い面持ちの女の怒りの姿が残る。入口の暖簾「居酒屋 大虎」が、なぜかとても絵屋に似合い、間違って入ってしまったお客さまも絵を楽しんでくださった。自分で描いた女を、大高さんは長く見ていられない風だったのも忘れられない。前々回は、等身大・紋付袴姿の人形のインパクトが強い。その作品、現在はこんぴら通りの酒屋さんの店先に、ニットキャップ姿でドカンと座っている。
 今回は、版画の手法を取り入れたそうだ。いろいろな手法を試してみたいという気持ちがすきだ。定まらなさや分からなさにとても惹かれる。そこに、大高さんの深さがある。制作途中の新作を見て、「なぜ鮭」「なぜトイレ」、と疑問は浮かんだが、次第に答えを求めて考えることから放たれた。
 完成前を見て、期待は膨らむ。(井上美雪)

 

 


2月2日(土)〜24日(日)(2/12-14休)

 子供の頃、祖父のイチョウに登るのが好きだった。かなりの太さで、抱きかかえるようにしてよじ登った。二階の屋根より高い空間で風に揺れていると木に抱かれているようだった。
 10年ほど前、その木が伐られる時には帰省して立ち会った。切り刻まれた木は廃棄物として処分された。ある個展で手にとった木の器が私を驚かせた「手が歓ぶ」感覚はそんな身体記憶につながっていたのか。突き動かされるように翌春には木曽の職業訓練校にいた。
 かねて縁のあった山裾の家に住み始めると、路傍で伐採され処分を待つイチョウに出会った。今私には生木を加工する轆轤の技術がある。伐採処分される木を活かすことができる。
 そんな風に私の木工はスタートした。いつか手が歓ぶ器が生まれることを願いながら制作を続けています。(山崎修)

山崎修(やまざき おさむ)
1964年新潟市生まれ。
2007年長野県上松職業訓練校木材工芸科卒業、大阪工芸展産業工芸品部門会長賞受賞。同年、工房るるの小屋(旧三川村)を開設。
http://rurunokoya.web.fc2.com/


こんぴら通り・吉川酒店×新潟絵屋プレゼンツ
日本酒の会「春寒の候・越の鶴 編」
2月23日(土)18:30〜20:30
「大高正嗣展」の展示室で、じっくりお酒を味わいます。
参加費 2,500円 /限定12名/ゲスト:大高正嗣、山崎修、蔵元
(要申込:新潟絵屋 Tel. Fax.025-222-6888 info@niigata-eya.jp)


新潟島とその周辺 ギャラリーミュージアムマップ
創刊から5年2008年以来、画廊や美術館を巡るお伴をめざし、随時、リニューアルを加えながら月刊で制作をしてきました。もともとは、本紙を新潟島で手に取った方が活用するのに役立つ情報ということで編集を始めましたが、次第に掲載範囲が広がりつつあります。発行部数も設置店舗が増えたのに従い、昨年12月より1000から1500部に増刷しました。制作は、ご愛用の個人の方や情報提供画廊・美術館および設置店舗によるカンパと15枠の広告(1枠1回2,000円/年間契約22,000円)収入に支えられています。
広告枠のご利用、カンパ、設置のご希望、使い心地についてのご意見、どれも随時募集しております。
■マップ送付は新潟絵屋会員特典でもあります/寄付会員は希望制
【編集室】井上美雪 齋藤美香 【制作】本間航 山田ナツミ


タシロ便がゆく

絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代の12ヶ月
タシロ便がゆく ―草猫が詠む編 その26
我が向かふ方より人や雪激し 草猫

雪の中に細く道が出来る。傘をさしてうつ向き勝ちにとぼとぼ歩いていると、前の方から人が来る。二人すれ違うことが出来ない細い道。ああ、道をゆずって自分はずぼりと雪の中に踏み込んでしばし待つべきか、道を譲られて、誰とも知らない人に感謝の会釈をして、そのまま歩いてゆくべきか。自分の呼吸だけが聞こえる。
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)

   

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