2013年4月


2013年3月の絵屋

2013年5月の絵屋

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しんぞう展「ときどき原始人」

2013年4月2日〜10日

企画 大倉 宏
 

しんぞう「ふたり」

しんぞう
■ 1974年横浜市生まれ。武蔵野美術大学油絵科卒業。日本と韓国で個展・グループ展多数。2009年大地の芸術祭・越後妻有トリエンナーレ(小沢剛氏企画)に参加している。近年では廃墟や古い町屋など、建物とのコラボレーションも行っている。主な賞歴は村上隆氏主催のGEISAIにて銀賞受賞、第44回神奈川美術展入選。新潟県での活動は、美術雑誌「美術手帖」2010年7月号にてインタビュー、2011年韓国アリランTVにてインタビューと展覧会の様子が放映される。そのほか「臨床の詩学」(春日武彦・著/医学書院)の装画も行うなど、幅広く活動している。新潟市在住。
http://www.sinzow.com/

←「ふたり」2010年 アクリル・キャンバス
  97.0×130.0cm

 しんぞうの名は自分の命名で、聞いたとき、心臓を思ったのは、その絵が見えない血を吸い込み、吐き出している気配をもっていたせいだ。12年前の祖父の顔を描いた絵がすごかった。祖父の、そして祖父を見る孫の、むきだしの感情の刺が、目からじかに心臓をつき刺した。
 去年の春の砂丘館での展示のあと、しばらくたって、ユング関係の本で「心像」という字に行き当たった。砂丘館に並んだ絵をあざやかに思い出した。
 しんぞうが描くのは人の心の世界、その「像」だ。いつも、人の姿をしていて、その「人」は心を象(かたど)る臓器だ。心という身体、という言葉では上品すぎる、もっと生々しいものから血を吸い、吐く絵筆を、この人はにぎっている。
 描く絵とこんなふうに響き、人を揺する言葉をあらかじめ名乗ってしまう感性は、並々ならない。絵屋の小空間が、いつになく大きく動くだろう。「ときどき原始人」にドキドキするー心臓が。(大倉 宏)

 


 
菅野くに子展

2013年4月12日〜20日

企画 大倉 宏
 

菅野くに子「迷い鳥」

菅野くに子(かんの くにこ)
■ 東京都生まれ。武蔵野美術大学油画科卒業後、リトグラフ、エッチングの制作を続ける。1998年より手漉き和紙による制作を始める。2001年ガレリアグラフィカ(東京)、05、07年ギャラリー舫(東京)、09年アートスペースエリコーナ(いわき)、11年新発田市市民ギャラリー(新発田/第1回アート・ナウしばた)、mu-an(長岡)、12年ギャラリーゴトウ(銀座)、02・04・06・08・10年新潟絵屋で個展。

←「迷い鳥」2013年 ミクストメディア・紙
  50.0×35.0cm

 菅野くに子さんの3年ぶり6回目の新潟絵屋での個展。
 版画から和紙を使って描く(作る)絵に制作の重点を移して15年。時間を重ねるほど絵は自然に生まれてくるのでは、と想像するのだが、そうでもないらしい。昨年はいくら描いても「楽しく」なく、制作が滞ったという。経験は結果を容易にし、その分、困難や未知と出会う楽しさから遠ざかってしまうということかもしれない。
 この鳥の絵は、上下逆に描いていたものを、反対にしてみたら、そこに鳥がいた。描く方も、描かれた方も、思いがけない出会いにどぎまぎしているよう。緑という色も、これまでの菅野さんの絵にはあまりなかった。みどりにとりが隠れているように、この鳥も描く菅野さんの中に眠っていて、色の名に呼ばれ、顔を上げ、嘴で壁を喰い破り、絵に下り立ったという風情。壁のかけらが生き物の体温を残し、やわらかいもやに変じてただよっている。
 経験や時間を重ねることは、ときに行き当たる壁を崩す力を持つ、こうした生き物たちを育むことでもあるのだろう。(大倉 宏)

 


 
平田達哉展

2013年4月22日〜30日

企画 山下 透
 

平田達哉「記憶」

平田達哉(ひらた たつや)
■ 1961年北海道遠軽町生まれ。83〜84年金沢美術工芸大学美術科油画専攻中退、スペイン渡航。
91〜93年イタリアのピアチェンツァにてウィリアム キセラ氏に師事。2008年第17回青木繁記念大賞展優秀賞受賞、第3回大黒屋現代アート展(板室温泉)出品。11年ART FOR THOUGHT(銀座)にて個展。

←「記憶」2013年 油彩・キャンバス 60.0×45.5cm

 構成力ある抽象を得意とする作家である。プリミティブな形にこだわりながら、センシティビティーある世界を追求する姿勢から生まれる作品は、見る者を異次元に引きずり込む。この数年、家をテーマにした立体にも取り組んでいる。きっかけは大震災で崩壊して行く家、跡継ぎのない故郷の家への思いだ。家族が集う場としての“家”、その記憶を未来に繋がんと、蝋燭の炎で鉛の素材に明かりを灯そうとする。ここにあるのは作家の祈りだ。(山下 透)

 その家を平田達哉さんが新潟に来られた折りに持参され、見せていただいた。蝋燭の火が揺らぐと家々の灯も揺れる。そういう仕掛けと知って見ても、見つめていると心が揺れ、騒ぐのだった。家にも絵にも、平田さんの〈もの作り〉への寡黙で熱い気持ちがにじんでいた。家の灯は多くを感じつつ多くを語らない人の、心の火に見えた。(大倉 宏)

 


 
2000年以来、月に3つの展覧会開催をベースに活動してきました。基盤には趣旨に賛同し、会員として支えて下さる市民の存在があります。このほど、経営基盤を強化するべく、税制上での優遇がある「認定NPO法人」への認定を目指して、一口3,000円の寄付会員制度を設けました。

「認定NPO法人」認定へのハードルのひとつ、<3,000円以上の寄付者が2年度で平均100人>をクリアするために、2013年3月まで寄付会員をあと55人を目標に募集しています。

※認定NPO…非営利で活動するNPOのなかで、より公益性が高いと「認定」するもの
※購入時の割引等、特典の利用をお求めでない場合は、寄付会員への入会およびお切り替えがおすすめです。
※前年度寄付会員でこのたび更新の場合、前年度で1、今年度で1カウントされます。
 
    
  入会金はいずれも不要。正会員は新潟絵屋の総会に参加でき議決権を有します。

入会方法
■直接絵屋でお申し込みください。郵便振込もご利用になれます。その場合は、郵便振替口座〈新潟絵屋00510-6-61917〉へ住所・氏名・電話番号・入会希望・会員の種類をご記入のうえ、会費をご入金ください。
■会員には1年間有効の会員証を発行します。この会員証の提示により1企画1作品に限り購入が1割引、絵屋で行われる有料の催しが2割引になります。また、コーヒーも無料サービスいたします。どうぞご利用ください。
■更新期間内に継続手続きをされた「継続会員」の方は、会員証の提示により作品購入時に1000円割引(1回のみ)いたします。
■これまでの会員は、引き続き個人賛助会員とさせていただきます。
■常時カンパ(運営協力費)も受け付けています。
※郵便振込でご入金の方には、次回の絵屋便と一緒に新会員証を送付させていただきますが、手続き確認時に会員証を作成しますので、直接絵屋でもお渡しできます。

ニュース

これから
昨年1月に創設した寄付会員は、昨年度と今年度(〜2013. 3. 31)の2年度で、年度平均100人を超える見通しです。ご支援いただいた方々に感謝申し上げます。実際に認定されるまでにはほかにもさまざまなハードルがあり、申請には時間がかかります。新潟県でもまだ数団体しかない認定を得られるよう、がんばります。

2013年3月 代表・大倉宏 

トピックス

2月にショップスペースで開催した「山崎修展」では、誰かの日常にさまざまな器をお届けすることができました。会期中、古びた3つのお椀を持って相談に来られた方がいらっしゃいました。使う気持ちになれなかった器を、使いたいものにできるだろうか、と。素朴な木目のお椀は前よりも薄くなり、拭き漆で新しい表情になりました。


イベント 「絵を見る話の会」

日 時 4月27日(土)19:15〜20:30
会 場 砂丘館
案内人 大倉 宏
喫 茶 カトレア草舎
ゲスト ギターと紙芝居・田村 佑
参加料 700円(要申込)

一枚の絵を見ながら、その絵のなかを、あっちを、むこうを、
反対側を、話しながらゆっくり歩きます。
今回の一枚は青山美野子「風景」
ブレンド紅茶の香りに包まれて、夜の座敷でよいひとときを。


タシロ便がゆく

絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代の12ヶ月
タシロ便がゆく ―草猫が詠む編 その28
看護師を「おかあさあん」と呼び遅春 草猫

ある総合病院の休憩スペースで行われた作品展を、観に行った時の事。一人の老婆が、ナースに付き添われながら向いの椅子に座った。自販機の飲み物を買おうと、ナースがそばを離れると「おかあさあん」と呼ぶ。聞き覚えのある声のトーン。子どもがまだ2.3才だった頃。
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員) 
俳句の会「みんな違ってみんなヘン」(参加料500円/申込受付中)

   

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