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相田諒二写真展 A SCENE OF NIIGATA-color collection20

2013年7月2日〜10日

企画 大倉 宏
 

相田諒二「」

相田諒二(あいだ りょうじ)
■ 写真家。1947年新潟市生まれ。75年フリーで写真活動を始める。95年北陸ガス・ガスホールで「見慣れた街の光景より」、2006・09年7月新潟絵屋で「A SCENE OF NIIGATA―message 20」個展開催。03年新潟日報文化欄連載「街はうたう」、04年同日曜企画連載「万代橋と私」写真掲載。

←「collor collection」2013年 カラーポジフィルム

 晩春の藤棚にマルハナバチが群れているのをぼんやり眺めて「錬金術師・相田諒二は新潟のハチである」と思ったことがある。この花からあの花へ、ハチはせわしなく飛ぶ。一瞬で蜜を吸う。
 相田諒二も新潟を走り回り、レンズという吸い口で一瞬をすくう。鉄の板と格子が飴色に、マンションのタイル壁が銀色に、溶けてぎらめく写真は、世界が黄金に、純銀に変わろうとする瞬間か。錬金術師がけれどついに金も銀も生み出せなかったように、世界は金にはなりきれない。都市新潟が新潟以外のものになろうとして、ついに変わりきれない苛立ちに発光するとき、そこに湧き出す蜜を、カメラを手にしたハチが襲う。
 かくして集められた、多様な一瞬という蜜が、今回の個展では<色>として並ぶ。(大倉 宏)

 


 
渡邊博・久松温子展

2013年7月12日〜20日

企画 大倉 宏
 
渡邊博「」 久松温子「」
「連鎖の流れ」2011年 水彩・紙 53.0×44.0cm 「水女魚」2013年
ミクストメディア・キャンバス 51.5×37.0cm

渡邊博(わたなべ ひろし)
■ 1938年新潟市生まれ。熊谷喜代治にデッサンを学び、後笹岡了一に師事。日展、光風会に出品し66年光風会会員となるが、68年退会。以後は紀伊国屋画廊、美術ジャーナル画廊、現代画廊、ギャラリーXepia、ギャラリー汲美、(株)東京現像所、K'sギャラリー(いずれも東京)、ギャラリーDEN(ドイツ・ベルリン)などで個展により発表。新潟での個展は91年新潟伊勢丹、2002・05・08・12年新潟絵屋で個展開催。

久松温子(ひさまつ あつこ)
■ 1972年岡山県生まれ。97年創形美術学校研究科版画過程終了。97年よりOギャラリー、自由が丘もみの木画廊、ギャラリーゴトウ、朝日新聞東京本社コンコース、セッションハウス(いずれも東京)、エスプリ・ヌーボー・ギャラリー(岡山)などで個展により発表。グループ展多数。2009・11年新潟絵屋で個展。岡山県在住。

 久松温子を識ったのは、渡邊博の紹介だった。
 30数歳の年の違いのあるふたりは、東京あたりの画廊のどちらかの個展で会い、それぞれ絵を知り、画家として尊敬したり、評価したりするようになったらしい。この春の渡邊の東京での回顧展風の個展を、私は行けなかったが、岡山に住む久松は見に行き、強く心を揺さぶられたという。そのふたりの絵を、初めて、同じ会場に並べる。
 闇を呼吸する渡邊の絵と、清冽で感じやすい皮膚のような白が印象的な久松の画面は一見対照的だけれど、知覚や感覚の閾(いき)――「見える/見えない」「聞こえる/聞こえない」の「/」に目を向け、耳を澄ます姿勢が共通する。ふたりの「/」がつながって、何が見え、聞こえるのか。口を閉ざし、感覚の孔を開いてたたずもう。(大倉 宏)

 


 
フジタヨウコ展

2013年7月22日〜30日

企画 大倉 宏
 

フジタヨウコ「不思議の国のアリスの街」

フジタヨウコ(藤田陽子)
■ 1995年女子美術短期大学卒。96年同専攻科修了。同年坂爪勝幸氏に師事。2000年新潟現代美術リレー展、08年越後の花鳥画展(農舞台/十日町市)、11年女子美術大学アートミュージアム「予期せざる出発」出品。03、04年ギャルリー炎舎(新潟市)、05・06・07・08・09・11年新潟絵屋、09年ギャラリーいなば(東京)、10年ギャラリーさやけで個展。09年長三賞、2013年日本陶芸展入選。

←「不思議の国のアリスの街」2013年 陶 h 45.5cm

 すっかり日の長くなった5月の夕方、胎内市の工房にフジタヨウコの新作を見に行った。いつも新しいテーマを展開してきた個展の前回は。鏡面に立つように上下の合体した不思議な家だった。2年たって鏡に灰色の川が流れだし、下の家はモノクロームになった。
 画廊は出来上がったものを展示する場所だ。けれど工房では、それらがひとつひとつ変容し、作られていく時間を感じる。仕事台には、これから焼く器や小さい家が陶土の寡黙な色で並んでいた。灰色の川は画廊では見えない工房の時間だろうか。浮上した町の壁の、瞳のような窓に目を寄せると、異風景があらわれた。山のふもとの静かな工房につむがれている、ひそかな夢想の時空に誘われる。(大倉 宏)

 


   
トピックス

約70人が集い大変賑わいました。これまでの生い立ちや、現在計画中の誰もが集える拠点づくりについての構想や思い、新潟で出会った青年との交流から「コロボックル」の絵本を作りたいとのお話もありました。


6月2日 未刊行の絵本の原画を展示した北書店にて
(左・宇梶静江さん)


タシロ便がゆく

絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代の12ヶ月
タシロ便がゆく ―草猫が詠む編 その31
日曜より土曜日うれし浮いてこい 草猫

「浮いてこい」とは水に沈めたり浮かべたりして遊ぶオモチャのこと。子どもの頃、日曜日より土曜日の方が好きだった。当時、午前中は学校の授業があったけれど、明日はお休みのワクワク感は休み当日より嬉しく、夜はお茶の間でドリフターズの「8時だヨ!全員集合」を観ながら、笑いころげていた。
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員) 
俳句の会「みんな違って、みんなヘン」

毎回テーマを変え、お茶を飲みながら俳句の解説と実作をしていきます。5月は「家の中の亡命者」をテーマに俳句の解説をし、後半には「旅」をキーワードに実作しました。

7月31日(水)10:30〜12:00 
会場:新潟絵屋展示室/各回500円

毎回テーマを変え、お茶を飲みながら俳句の解説と実作をしていきます。折々の季節に、自分の言葉を探してみましょう。7月のテーマは「音は何色」です。

案内人:田代草猫(たしろ そうびょう)2000年より俳句同人誌「童子」にて句作。05年日本伝統俳句協会入会。
今後の予定:10月31日(木)「キッパリ」
(単回での参加可能/経験問わず/要予約)



   

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