2013年10月


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2013年11月の絵屋

  新潟絵屋あんない 作家INDEX Blog  

 
橘三紀展

2013年10月2日〜10日

企画 大倉宏
 

橘 三紀「おんな」

橘 三紀(たちばな みき)
■ 1941年両津市生まれ。69年大橋広治先生の知遇を得、師事。72年光風会展に入選、76年光風会会員に挙げられる。99年光風会退会、現在に至る。個展、グループ展多数。

←「おんな」2013年 油彩・キャンバス 41.0×31.8cm

 赤いくるみのような唇の、目の大きな、橘三紀の絵の女たちは、自分が見つめられる美しい存在であることを意識しつつ、自分が、ほかの誰でもない、自分であることを意識している。ややこしい言い方だが、そんなふうに感じる。  モデルはほとんどいないという。彼女たちは白い画面からやってくる。それでいて一人一人個性的なのだ。描きながら「こうかなあ、だめだなあ」とぼやき、つぶやく画家に距離を置き、けれど冷たくはない目で、それぞれの個の視線で、見つめ返す。これらの絵の、美しい色は、彼女たちの個性からにじんでくる。  新潟絵屋での、ちょうど10年ぶりの個展。(大倉 宏)

 


 
渡辺隆次展

2013年10月12日〜20日

企画 大倉宏
 

渡辺隆次「秋へのまなざし」

渡辺隆次(わたなべ りゅうじ)
■ 1939年東京都八王子生まれ。武蔵野美術学校(現武蔵野美術大学)西洋画卒業、東京学芸大養護科修了。77年から八ヶ岳山麓長坂町(現北杜市)のアトリエで制作を続ける。92〜99年武蔵野美大学特別講師。エッセイストとしても活躍。主な著書に『きのこの絵本』『山のごちそう』『八ヶ岳 風のスケッチ』(ちくま文庫)がある。99〜2003年甲府の武田神社菱和殿天井画、04〜05年同神社能楽殿の鏡板絵を制作。その後画文集『花づくし実づくしー武田神社菱和殿天井画ー』 (木馬書館/全3巻)を上梓。2012年八ヶ岳美術館で「渡辺隆次 生命曼荼羅」開催。13年『山里に描き暮らす』(みすず書房)刊行。

←「秋へのまなざし」2012年
 ミクストメディア・胞子紋・紙  53.0×45.5cm

 渡辺隆次の新著『山里に描き暮らす』に「初恋」の題で新潟が登場する。山梨の山麓に長年独居してきた画家に、幾重にも縁のあった新潟の2会場での大個展。妙光寺ではきのこの写生を一曲に貼り交ぜた屏風、ほかこの展示のため準備してきた大作、絵巻が並ぶ。壮観だろう。絵屋の展示では、新作にあわせてリトグラフ(旧作)に胞子紋・手彩色、胞子紋の作品にコラージュなどを加えたものも展示される。  抽象旋風が吹き、政治の季節でもあった20代に、背を丸め「ちっぽけな内面」に向かい続け「空間恐怖の画家」と評されるほど細密濃密な画面を刻んだ人が、その背を延ばし、ひねり、歩いて来た側をふりむく姿が見える。喜びや悔恨、憧憬など、膨大な記憶の旅路を観望する目に、庭に集う野の草たちが寄り添う。(大倉 宏)


「この地に住まう者なら、獣とならび、刈っても伐ってもたちまち生えてくる草木の獰猛性に、一目も二目もおくはずだ。そんなことを身に滲みて感じるのも、三十六年余にわたって山麓の変遷を、日々目にしてきたことにもよるのだろう。寄る年波からつい来し方行く末に思いがゆく。その結果自らの、よって来たる源あたりまでをまさぐり、埒もない多くを書き連ねてきた。八ヶ岳山麓といえば、いまや観光公園化して広く喧伝されるが、それがイメージさせるのとはやや異にした、インドアライフといった向きで、このエッセイ集を編んでみた。」(あとがき)

画文集『きのこの絵本』『山のごちそう』などでエッセイストとしても人気の絵描きが、消費とも生産とも無縁な「居候」としての人生を書き下ろす自由な文集。

『山里に描き暮らす』渡辺隆次 ¥2,940   絵屋Shopにて販売中!

 


 
長嶋頼子 菓子型 飾り筥展

2013年10月22日〜30日

企画 伊藤純一
 

長嶋頼子「丸鶴」

長嶋頼子(ながしま よりこ)
■ 1953年新潟市生まれ。77年滝康子先生に師事、人形制作を始める。2000年人形教室主宰。01年画廊イタリア軒、05年浅川園ギャラリー、11年自宅アトリエにて個展開催。

←「丸鶴」2013年 石塑粘土・絹ちりめん・帯地
  10.0×6.0×h8.0cm

 長嶋頼子さんは本来人形作家で、その創作に使用する布地を求めに古布市場に出かけ、縮緬や古い帯布を新しい人形作品で蘇らせる。長嶋さんから、最近見なくなった和菓子の型を利用した作品を考えている、と聞かされたのが約2年前の事。細かい細工と日本的な造形美を持つこの和菓子の型を使い、古布で筥に仕上げるという。見せていただいた作品は和菓子の型とは思えない、造形と布地の美しさが見事にマッチした物。蓋部分と対になる筥の口部分の仕上げも見事。自由曲線である蓋部分とコンマ数ミリ小さく相似形に仕上げた口との合わせは指物仕事的な技術だ。日本古来の和菓子造形と古布が長嶋さんの創作で新たな息吹をもたらす。蓋も筥の内部も見て美しいうえ、蓋を開けた瞬間言葉で表現できない感動を生む。生まれ変わった日本古来の美しさを是非会場にて接していただきたい。(伊藤純一)

 


    
トピックス

会場: 角田山妙光寺 客殿(新潟市西蒲区角田浜1056)
(公財)新潟県文化振興財団助成事業

■展覧会 渡辺隆次展 山里に広がる生命の宇宙
2013年10月10日(木)〜11月4日(月・祝)
ただし会期中の祝日以外の月火・10/18休(11/4は開場)
10:00〜17:00(10/20は〜16:00まで)

渡辺隆次さんと歩く角田山麓
10月13日(日)10:00〜13:00
参加無料(要申込・定員15名)
※雨天の場合は14日(月・祝)に延期実施

渡辺隆次 ギャラリートーク
10月14日(月・祝) 15:00〜16:30
参加料500円(申込不要)

■幻想の舞台作品上演 ASYL アジール
2013年10月19日(土)18:30〜/20日(日)17:30〜
西松布咏(三味線・唄)、寺田みさこ(振付・ダンス)、
飯名尚人(作・演出・映像)、渡辺隆次(絵画)
料金:3,000円(ワークショップとのセット券 4,,500円あり)/
チケット発売:8月下旬
取扱店:新潟絵屋、妙光寺、砂丘館・売店、北書店、和田屋・ウインズ(岩室温泉)

アフタートーク…両日とも開催。渡辺隆次さんの参加は19日のみ。

寺田みさこワークショップ(経験者対象)…
10月20日(日)12:30〜14:30 巻農村環境改善センターにて

企画・共催:NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)、
Groovism Company
(公財)新潟県文化振興財団助成事業
(公財)アサヒグループ芸術文化財団助成事業
協賛:アサヒビール株式会社

タシロ便がゆく

絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代の12ヶ月
タシロ便がゆく ―草猫が詠む編 その34
長き夜を君パックでもしてゐるか 草猫

「これからボクと出会うオンナの子が、そんな運命も知らないで、今ノンビリとパックでもしているかも知れないじゃないですか」。深夜のTVから、そんな科白が流れた。
そうだね。皆、今は他人の誰かと、出会う運命を知らぬまま、お肌の手入れをしていたり、もうぐっすり眠っていたり、ああ、いい月だ、なんて夜空を見上げていたりするんだろうな。
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員) 
俳句の会「みんな違って、みんなヘン」
毎回テーマを変え、お茶を飲みながら俳句の解説と実作をしていきます。
10月31日(木)10:30〜12:00 会場:新潟絵屋展示室/各回500円
案内人:田代草猫(たしろ そうびょう)2000年より俳句同人誌「童子」にて句作。05年日本伝統俳句協会入会。


   

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