2013年9月


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岡谷敦魚展版画展

2013年9月2日〜10日

企画 立見迪子・大倉宏
 

岡谷敦魚(おかのや あつお)
■ 1971年東京都生まれ。94年武蔵野美術大学油絵学科版画コース銅版画専攻卒。94〜2002年明星大学青梅キャンパス造形芸術学科版画コース嘱託実習指導員。04年東京芸術大学大学院美術研究科造形学美術教育修了。99年〜ギャラリー21+葉(銀座)、Switch Point(国分寺)、画廊 編(大阪)、mu-an(長岡)などで個展。近年のグループ展出品に2010年「この界隈のビジュツ」(ギャルリー炎舎)、11年「かかわりに距離を経て」(mu-an)、12年第10回NET WORK 21c展(韓国)などがある。現在、長岡造形大学美術工芸学科絵画コース准教授。長岡市在住。

←「遠方の丁字路」2013年
 銅版画・リトグラフ・シルクスクリーン
 44.0cm×59.0cm

 岡谷敦魚は新潟絵屋での初個展にあたり、これまでと大きく作風を転換するシリーズの制作を始めた。
 〈遠方の丁字路〉をモチーフにした、最初の作品を見て、薄闇の中をゆるやかにうねっていく道に誘われた。誰に、何に、どこへと「誘われる」のかわからぬまま誘われる、さらわれる。不思議な宙吊り感と、やわらかく強い牽引力に、内田百フの幻想的な短編を読む浮遊感を思い出す。
 道は遠方に目を引き込みながら、見えない指につまみあげられるように持ち上がり、左右に分かれる。消えていく先は百フの『冥途』に明滅する土手か。冥(くら)い彼方の周縁を延々とめぐり続ける終わりのない壁、道を、堂々めぐりし続けることに開かれる感情世界の予感が、ゆるくざらついた、闇を呼吸する銅版画のテクスチュアに揺れている。(大倉 宏)

 


 
長谷川徹展

2013年9月12日〜20日

企画 大倉宏
 

長谷川徹(はせがわ とおる)
■ 1948年新潟市生まれ。69年武蔵野美術大学油絵科中退。以後、新潟で創作活動に入る。77年アトリエ我廊、81〜84年羊画廊、94年たけうち画廊、近年は新潟絵屋にて個展。そのほか、個展多数。92・94 年安井賞候補。96年感動創造美術展グランプリ受賞。新潟市在住。

←「WORKS」2013年
 アクリル/パネル 84.0×59.3cm

たけうち画廊/蔵織/新潟絵屋 3店舗同時開催

長年抽象画を描き続けている長谷川徹の世界を、最新作から過去の作品まで、3会場で変遷を辿りながらお楽しみいただけます。

 長谷川徹が新潟市の学校町の自宅二階に隠棲生活に入って数年がたつ。年一度の新潟絵屋での個展に数点の新作を描き、その時だけ非日常を生きる部屋から出てくる。
 今年の絵は去年より地がフラットになったが青い筆跡には動きが止まったような面白さがある。変わらないとも、変わったとも見える絵と絵の間に、彼のこの一年のぜんぶがある。数年を除き古い商店街学校町が人生の空間だったこの画家のこれまでを紹介すべく、今年は長年のパートナーの貞子さんの尽力で3会場に絵が展示される。画集もまとめたいと貞子さんは意気込んでいる。台風の目のように静かな画家の周りをめぐる風に吹かれて、私の気持ちもなにやら動きだす。(大倉 宏)

 


 
マドハット・カケイ展

2013年9月22日〜30日

企画 大倉宏
 

Madhat Kakei(マドハット・カケイ)
■ 1954年イラク・キルクーク生まれ。バグダッドとマドリードのサン・フェルナンドス美術学校に学ぶ。イラン・イラク戦争の最中、ユーゴ、スペインを経てスウェーデンに滞在し、同国市民権を獲得。86年の初来日後、千葉とストックホルムのアトリエで制作。アラビアンネームの「マドハット・M・アリ」名で発表していたが(洲之内徹『さらば気まぐれ美術館』にはモハメッド・M・アリで登場)、現在はクルド人の宗教であるカケイ(ゾロアスター教)名に変えている。近年はニューヨーク、パリ、ストックホルムなどで、2013年菊川画廊(山口県)で個展開催。

 昨年夏、新潟に来たマドハット・カケイさんは、水と土の芸術祭のメイン会場(万代島旧水揚場)に感嘆の声をあげ、持参のビデオカメラを2時間ほども回していた。「きれい!」と感じるものに、子供みたいに夢中になる。反応がストレートだ。
 イラクのクルド人として生まれ、フセイン時代に亡命。今はスウェーデンに住みもっぱらミニマルな抽象の仕事をしている彼が、以前日本にいた頃に描いた絵と、版画を中心に、今回は展示する。描かれた女たちはどこの国の人々か?紙は破れたり、柄がプリントされている。廃材にあふれた水揚場を一瞬にして「きれい」と見た感性が、人によっては捨ててしまいかねぬ紙に美しさを看取し、一瞬の感興から、美しい、どこか気高くもある女たちが現れたという気配だ。清潔の意味ではない、人の心にもっともストレートにつながる「きれい」が、美しいが、ここにある。(大倉宏)

 


    
トピックス

会場: 角田山妙光寺 客殿(新潟市西蒲区角田浜1056)
(公財)新潟県文化振興財団助成事業

■展覧会 渡辺隆次展 山里に広がる生命の宇宙
2013年10月10日(木)〜11月4日(月・祝)
ただし会期中の祝日以外の月火・10/18休(11/4は開場)
10:00〜17:00(10/20は〜16:00まで)

渡辺隆次さんと歩く角田山麓
10月13日(日)10:00〜13:00/参加無料(要申込・定員15名)
※雨天の場合は14日(月・祝)に延期実施

渡辺隆次 ギャラリートーク
10月14日(月・祝) 15:00〜16:30
参加料500円(申込不要)

■幻想の舞台作品上演 ASYL アジール
2013年10月19日(土)18:30〜/20日(日)17:30〜
西松布咏(三味線・唄)、寺田みさこ(振付・ダンス)、飯名尚人(作・演出・映像)、渡辺隆次(絵画)
料金:3,000円(ワークショップとのセット券 4,,500円あり)/チケット発売:8月下旬
取扱店:新潟絵屋、妙光寺、砂丘館・売店、北書店、和田屋・ウインズ(岩室温泉)
アフタートーク…両日とも開催。渡辺隆次さんの参加は19日のみ。
寺田みさこワークショップ(経験者対象)…10月20日(日)12:30〜14:30 巻農村環境改善センターにて
企画・共催:NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)、Groovism Company



タシロ便がゆく

絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代の12ヶ月
タシロ便がゆく ―草猫が詠む編 その33
秋簾越しに見送る気配かな 草猫

うすうすは皆、Mさんの病気を知っていた。秋とはいえまだ暑いある日、Mさんのお見舞いへ行く。見違えるほどMさんは痩せていたが、まだ店番をされていた。しばらく近況や世間話をしてから別れを告げ、自転車に。ふと振り向くと簾の向こうに深々と頭を下げているMさんが見えた。
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員) 
俳句の会「みんな違って、みんなヘン」
毎回テーマを変え、お茶を飲みながら俳句の解説と実作をしていきます。
10月31日(木)10:30〜12:00 会場:新潟絵屋展示室/各回500円
案内人:田代草猫(たしろ そうびょう)2000年より俳句同人誌「童子」にて句作。05年日本伝統俳句協会入会。


   

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