2013年12月


2013年11月の絵屋

2014年1月の絵屋

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内田美代子展<Source de vie>

2013年12月2日〜10日

企画 伊藤純一
 

内田美代子<3,11をわすれない>「竹林のゆりかご」

内田美代子(うちだ みよこ)
■ 神戸市生まれ。武蔵野美術大学造形学部油絵科卒。在学中フランス、ブザンソンのエコール・デ・ボザールにて人体をテーマとして油彩を学ぶ。1991〜93年TEAFOLLIES(パリ)・ギャラリー砂翁(東京)・CHRISTIAN ALEXANDRE(ターンレイ)・エスパスLE MANS ASSURANCE(ブリュッセル)他各地で個展。96年〜99年MUSEUMNATIONAL D'HISTOIRE NATURELLEに出展他、パリを中心に個展。2001年新潟県弥彦村に移り住み、自然の中で創作をしながら、ギャラリー砂翁等で個展を続ける。新潟絵屋では05年「パリ・新潟の朝市から」、11年「Viva Degustation!」開催。

←<3,11をわすれない>「竹林のゆりかご」 2012年
  アクリル・岩絵の具・パステル・オイルパステル・
  色鉛筆・コラージュ/キャンバス 17.0×17.0cm

 内田さんが過去2回テーマにしてきた「食」。毎回作品として描かれている「食物(しょくもの)」に、くいしん坊の私の胃袋は小躍りしてきた。野菜など畑に有るときは生命を持った生き物であるが、収穫され調理を待つ時には「食材」といったいわゆる静物となる。しかし内田さんが描く物は間違いなく命を持った「食物」。素材に何かを感じた時、その一瞬を捉えパステルといった画材でサクサクと仕上げる。まさに鮮度が勝負の調理同様、生き物を捉えているのだ。それで揺れている、動いているような表現があるのか、と妙に納得。今回は加えて「生(せい)」が表現される作品も。ここ数年目にした災害や晩年共に過ごした母の姿から、「命の源は食」「生の力強さ」を再認識したと言う内田さん。「美味しい物を食べると身に付くよ」と小さい頃から聞かされたそうだが、内田さんの作品を見るだけで何かの源が身に付く様に感じるのは私だけではないだろう。(伊藤純一)

 


 
サンタ展 長尾玲子

2013年12月12日〜20日

企画 大倉宏
 

長尾玲子「いまいくよ」

長尾玲子(ながお れいこ)
■ 1963年東京都生まれ。専門学校東京YMCAデザイン研究所デザイン科卒業。デンマークSKALS手工芸学校終了。オーストラリアNMITイラストレーション科卒業。Diploma取得。絵本に『クリスマス・イブのおはなし』セット全3冊、『サンタさんありがとう』『サンタさんとこいぬ』『ざっそうの名前』(福音館書店)がある。個展多数。新潟絵屋では2008年「12ケ月のサンプラー」、09年「私的花言葉」、11年「市場のスケッチ」開催。2010年より新潟市在住。

←「いまいくよ」2013年 6.0×24.0cm 刺繍/布

 6年前、新潟で初めて長尾玲子さんに会い、小さい手作り絵本を渡された。開いて、なにより色の美しさに魅せられた。それはクリスマス・イブの夜を描いたもので、家の陰から飾られたもみの木と母子をサンタさんがのぞいている。同じ日に『クリスマス・イブのおはなし』(福音館書店)という長尾さんの絵本も知った。自分の子が小さかったら、きっと一緒にくり返し読んだだろうと思った。
 クリスマス・イブは夢想に開かれた日だ。見えない人「サンタさん」が自分のために、「私」の家にやってくる。眠りの世界の向こうから。昭和30年代の、私の家族の小さい日本の借家にも「サンタさん」は来た。長尾さんの絵本にその夢想の輝きが甦った。
 4回目の新潟絵屋での個展のテーマは、その「サンタ」。新作の数々に、同じ気分があふれだす。人生の最初期に人が経験する幸福感の光沢が、つやつやした、微妙な色合いを組み合わせた糸に宿っている。見つめていると不思議な奥行き感にとらえられる。色のとり合わせ、糸の方向や縫い方の違いが、空間の深さばかりでなく、子供の頃の夢想に宿っていた未知の深さを、見える世界と見えない世界が溶け合っていた場所の無限を思い出させる。それは長尾さんにとっての、刺繍の布の深さでもあるのだろう。(大倉 宏)

 


    
トピックス
「絵屋を出て」
 この秋は、画廊での展示に加えて、2つのアウトリーチ(外で)の企画展を開催。角田山妙光寺の客殿は築300年の古建築を現代建築(鞘堂)で包んだ空間。現代絵画でありつつ、日本の古い絵への親近性を現す渡辺隆次の近作を展示。新しく古い絵と、古く新しい場所がダイナミックに協和しました。会期中に行われた「ASYL」も現代と伝統、異ジャンルの競合した公演。障子に映し出された白描画「ふゆの花」が、都市の物語に「自然」という次元を加えました。岩室にオープンしたブックカフェ「室礼」では華雪展を開催。しっとりした和空間に置かれたソファに「人」の字が、くつろぐように置かれ、訪れる人を迎えました。新潟絵屋の活動は個性的な場所ともの(作品)をひとつにつなげることでもあることを、改めて確認できた催しでした。

室礼 ―シツライ― 角田山妙光寺 客殿


「絵屋便の2013年の表紙」絵:蓮池もも
お部屋の壁紙が変わるようにイメージで連載したシリーズは今号で最後となりますが、本原画から「一筆箋」を作ります。どうぞお楽しみに。

トピックス
絵を見る話の会    絵好きの案内人を通して、絵と生きる目を体験するようなひととき。  

今月の作品:片山 健「舟を浮かべる」
日 時: 2013年12月13日(金)19:15〜20:30
会 場: 砂丘館 居間・座敷
案内人: 大倉 宏
喫 茶: 浅川園
参加料: 700円(お茶とお菓子付き)(要申込み)
主 催: 砂丘館
共 催: 新潟絵屋

これからの予定 2014年02月28日(金) 野中光正「河」
2014年03月07日(金) 林哲夫「雲」

トピックス

■ 蓮池もも 2014年カレンダー
限定100部(¥500 / 通販可 別途送料80円 / 29.4×21.0cm)


■12月 
BOTTEGA GIRASOLE 
キャンドルホルダー、ランプ入荷予定

タシロ便がゆく

絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代の12ヶ月
タシロ便がゆく ―草猫が詠む編 その36
楽器屋にまだ灯りのともる聖夜かな 草猫

そろそろイヴの食卓を囲む頃だというのに、小さな楽器店は、忙しそうにトランペットやホルンを出し入れしている。これらの楽器は、にぎやかにクリスマスの曲を演奏して、今は調整を待っているのか。新年の音楽を奏でるための準備をしているのだろうか。
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員) 


   

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