2014年1月


2013年12月の絵屋

2014年2月の絵屋

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heya展

2014年1月12日〜20日

企画 大倉宏
 

■ 展示作家: 井田英夫
岡谷敦魚
小磯 稔
信田俊郎
下平竜矢
しんぞう
蓮池もも
長谷川徹
峰村リツ子

協力:MAISON BOTTEGA GIRASOLE(照明)、
   Nob Craft Homemade Furniture(家具)

←峰村リツ子 鉛筆・紙 19.5×25.5cm

 「買えなければ盗んでも自分のものにしたくなるような絵」なら「間違いなくいい絵」だと書いたのは、作家で現代画廊主の洲之内徹だ。2013年はその洲之内徹の生誕100年(亡くなられて26年)だったそうで、洲之内コレクションのある宮城県美術館で「洲之内徹と現代画廊」展が開かれた。同じ展覧会が2014年春に新潟市でも開かれる。
 洲之内さんは絵を、夜一人で見るのが好きだったらしい。現代画廊のマネージャーだった頃は、人が帰った画廊で絵と自分だけになるのが無上の楽しみだったと書いている。私はどうだろう。夜一人だけで絵を見ることはあまりない。私は絵を部屋に、自分なりに満足いくように掛け、その部屋の空気を呼吸するのが好きなのだと思う。一旦掛けてしまうと、その絵と正面から向き合うことはそうないけれど、見ていないのでもなく、ちらっと視線を合わせたり、視野の隅の方で感じている。そういう絵との付き合い方が、どうやら私流らしいと、久しぶりだった仙台から帰ってきて考えた。
 画廊の展示室もひとつの部屋で、だからそこに好きな絵を掛けるのが、私は楽しい。ただし画廊は絵を見てもらう場所なので、ライトをあてたり、引きや空間を広くとって絵を「主役」にする。今回はお正月の趣向ということで、その画廊を、あえて仮想の個人の部屋に見立て、画廊風ではなく絵を掛けてみる。絵は2013年の企画展に並んだものから、私がもう一度見たい絵を、作家たちに無理にお願いして、お借りしようと思う。さりげなく掛けられた絵と、ひっそり会っていただけたら、うれしい。(大倉 宏)

 


 
追悼 金田弘 詩画集「シムボルのない季節」坪田政彦展

2014年1月22日〜30日

企画 大倉宏
 
欲情のない色男は
横町へと迷い込み
はりまのマカロニィのように
蒼白となる
おお わたしだ

金田弘「タツノ衆の春」より

    ↑「山陰道は雨」2008年 リトグラフ シルクスクリーン・紙 23.2×16.8cm

坪田政彦(つぼた まさひこ)
■ 1947年兵庫県姫路市生まれ。70年大阪芸術大学美術学科卒業。73年ギャラリープリントアート(東京)、85・2005・07年山木美術(大阪)、01年森画廊(姫路)、04年養清堂画廊(東京)、05・09年ナイアガラギャラリー(メルボルン)、13年ギャラリールネッサンス・スクエア(姫路)などで個展。08年「点と面の詩情・上前・山中・坪田展」(和歌山県立近代美術館)、11年「スピリットグラフィック国際版画ビエンナーレ」(クロアチア)、12年釜山アートフェア出品など。現在大阪芸術大学芸術学部美術学科教授。
金田弘(かなだ ひろし)
■ 1921年兵庫県龍野市(現・たつの市(生まれ。早稲田大学文学部で會津八一に師事。西脇順三郎、高橋新吉とも交友する。87年第23回姫路文化賞受賞。2009年『虎擲龍拏』にて第20回富田砕花賞受賞。2013年8月17日逝去。92歳。著書に『旅人つひにかへらず ニシワキ宇宙の一星雲から』(87年 筑摩書房 )、『会津八一の眼光』(92年 春秋社 )。詩集に『旅人は待てよ 金田弘詩集』(06年 湯川書房)、『青衣の女人 金田弘詩集』(07年 同)、『シムボルのない季節(詩画集)』(08年 山木美術)など。
 2013年の夏、久しぶりに坪田政彦さんに会った。龍野での金田弘さんの葬儀の会場でだった。
 坪田さんに最初に会ったのは1989年の春、新潟市美術館で「永遠の旅人 西脇順三郎 詩・絵画・その周辺」展が開かれた時だった。私は担当学芸員で、西脇順三郎と親交のあった詩人の金田弘さんには、準備中にひと方ならずお世話になった。坪田さんは金田さんの友人だった。私と金田さんとの交流は、それから思いがけず20年以上も続いた。金田さんの親友で、狷介の詩人羊歯三郎さんの書を山田敏昌さんの表具で新潟絵屋に展示させてもらったことがあり、羊歯さんの没後、金田さんからの依頼でそれらを竜野でも展示した。私は行けなかったが、その時に亡き羊歯さんを偲びながら、金田さんが「これは自分の追悼展や」と仰られていたということを、やはり葬儀の日に竹廣龍三さんから聞いた。
 葬儀のあと、坪田さんから2008年に金田さんと作られた詩画集『シムボルのない季節』が送られてきた。冒頭の引用句、井原西鶴の「花ぞ雲動きいでたる龍野衆」にまずざわざわ。シンプルでユニークな造本のページをめくると、西脇順三郎の諧謔を金田流に血肉化したコトバが、ゆったり動き出すのに、たちまち引きこまれた。相方のページには坪田さんの版画があって、モノのように置かれた形のなかに、まさに満開の桜が突如雲になって動きだすかのかのような、「不動が動く」パラドキシカル感覚を立ち上がらせ、浪曲の三味線や間の手のように、見事に金田さんの詩を揺らし、弾ませている。
 92歳で亡くなられた金田さんは、會津八一の教え子でもあり、学徒動員時に奈良で八一に「生きて帰れ」とはげしい激励を受けた記憶を、著書『會津八一の眼光』に書いていた。新潟市とも浅からぬ縁があった方だ。坪田さんの版画を並べて、新潟でのささやかな追悼展を開かせてもらおうと思う。(大倉 宏)

 



トピックス

内田美代子展レセプション
12月7日 内田さんが新潟の自然や食材にひかれ弥彦移住を考えたのが2000年。新潟絵屋オープンと同じ年でした。新潟絵屋を知ったのは雑誌『銀花』だったとか。作品を眺めながら美味しいものを囲み、賑やかな夜でした。

2014年の絵屋便
表紙は新潟市在住の画家・蓮池ももさんの「切手シリーズ」新連載が始まりました。
36篇の俳句を連載した「タシロ便がゆく 草猫が詠む編」は前号で終了しました。田代草猫さんは歩きと自転車で、絵屋便とともに「新潟島とその周辺ギャラリーミュージアムマップ」の配布を担当しています。俳句エッセイは、ギャラリーミュージアムマップ(2013年12月17日号〜)にて連載が始まりました。

トピックス
松本健宏 干支人形 華雪篆刻「木馬嘶風」 峰村リツ子2014年カレンダー
松本健宏 干支人形
¥10,000
華雪篆刻「木馬嘶風」特製額付
¥13,500
峰村リツ子2014年カレンダー
¥1,000

新潟絵屋サポーター、募集
新潟絵屋について・・・
1 .新潟絵屋の展覧会は、美術家の作品に共感し、それを紹介したいと思う「見る人」が企画しています。複数の運営メンバーで、より多様で、幅のある視点から、新潟の人々に質の高い美術に触れてもらえる場作りをめざしています。
2. 画廊は絵を売る商店であると同時に、無料の小さい美術館とも言われるように、公的な文化性を兼ね備えています。新潟絵屋は会員制度による会費や寄付金で経営の一部を支えられることで、販売の見込みに制限されすぎず、個の目からより自由に構想される企画展を実現できる場になりたいと願っています。
3. 作品販売は画廊の重要な経営基盤ですが、作品が「買われる」ことは、美術が直接個人の生活に入っていくことでもあります。その意味で作品販売も、美術を人々に広げていく活動の一面と考えています。
4. 展示室は、大正期の町屋を改装したもの。柱や欄間や土壁や格子戸もあります。日本の家と美術がもっと親密になることをも期待してのデザインです。
5. 近年、新潟絵屋以外での空間を会場に展覧会を企画開催し、個性的な場所ともの(作品)をつなげる活動も行っています。

種別は4種類。 寄付会員:  年会費03,000円
個人賛助会員:年会費05,000円 特典あり
正会員:   年会費05,000円 特典あり
法人賛助会員:年会費10,000円 特典あり

特典 ■作品1割引(各展覧会1作品)
■ご入会、ご更新にて有効期間中1回に限り作品1,000円割引
■有効期間中に更新でさらに1,000円割引
■新潟絵屋が主催する有料イベント2割引
■珈琲サービス
■絵屋オリジナルアイテム割引…たとえば「絵屋椅子」30,000円→25,000円
※作品1割引・1,000円オフ(併用可)のご利用は、展覧会作品の購入時に有効

   

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