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2004年8月2日〜8月10日

鈴木佳尚(すずき よしひさ)
■1967年岩手県盛岡市生まれ。92年映画「阿賀に生きる」東京上映委員会参加。その後、新潟との縁が深まり、新潟・文化批評誌「風だるま」月刊「ウインド」などにイラストを描くようになる。95年セツ・モードセミナー在学、98年ARTBOXイラスト準新人賞受賞、01年新潟絵屋「絵屋ニ居リマス展」、03年盛岡市ちいさな野菜畑「丘をこえて、ゆこうよ展」、04年盛岡市以沙美屋市民ギャラリー「サイレンス・バード展」。

←「海辺の残香」 2004年

昨年の秋、盛岡で鈴木さんの個展があって私たちは二台の車に分乗して新潟から駆けつけた。会場は「ちいさな野菜畑」という八百屋さん。「丘をこえて、ゆこうよ」というタイトルどおり、お店の駐車場脇の丘の松林に作品がぶら下げてあったり、陳列された野菜の間にかけてあったりというユニークなものだった。
鈴木さんは東京で絵の勉強をしている頃に映画「阿賀に生きる」と出会い、上映委員会に加わった。あれから10年あまり、いまでも時々は鹿瀬のミヤエさんを訪ねたり、絵屋での個展開催など、新潟との縁を深めているひとである。三年ぶりとなる「越後一画展」に、鈴木さんは次のようなメッセージを寄せてくれた。(旗野秀人)

絵と見にきてくださる人との出会い、夏の新潟の下(しも)との出会い、絵と映像との出会い、音(参治さんの唄など)と絵と映像との出会い、そこに集うものたちの出会い・・・。
出会いの「あいだ」にある何ものかを探して、一緒に揺れてもらえたら、という思いはあります。それまで「わたし」がもっていた既存の「映像」「絵」「新潟」「わたし」と「他人」のワクぐみが、少しでもほつれ、新たな揺れの関係のなかでむすばれはじめる。いのちのつながりというものは、今の自分にとってはそんなイメージに近いのです。楽に、楽しんで、ワクワクしてもらえたら。
そんなリラックス感がだせたらいいなって思います。 (鈴木佳尚)
●■8月7日(土)15:30〜 映像と唄と絵の夕べ(参加自由) ●映像・井上朗子「骨に(仮題)」●映像・大高正嗣「ぶらぶら小路」●映像・鈴木佳尚「間景」●唄・渡辺参治 CD「うたは百薬の長」から●映像・田中大嗣「さつまいもの唄」●映像・長谷川健「愛の人イーグ」●映像・高橋美香「するめ」●映像・旗野秀人「ともちゃんとキミイさんの夏休み」

 


  
2004年8月12日〜8月20日

「自画像」 油彩、サムホール
串田良方(くしだ よしかた)
■1917年上越市生まれ。小学生の時御大典記念絵画展で秩父宮杯を獲得。40年東京美術学校油画科卒。44年徴兵され中国で発病、上海病院で靉光(1906−46)と同室となり、その最後を看取る。復員後46年から佐渡高校に赴任。50年から柏崎高校に約25年間美術教師として勤務。


「作品」 油彩、板 F4

串田良方さんの遺作展がこの春、柏崎で開かれ大きな反響を呼んだ。
会場で感じたのは、どこか暗くて重い、それでいて透明な緑の感触だった。
串田さんはすでに10代のころから目の覚めるようないい絵を描いたが、緑の気配はこの時期に現れ、美校時代の絵につながっていく。上野の博物館あたりを描いたと思われる風景の、印象的なペパーミントグリーンは、関東の濃い緑に、新潟の空の澄んだ青がとけ込んだよう。
この緑は串田さんの個性の色であり、瞼を、その個性があけた時、絵という窓から吹き込んだ風土の色だったのではないだろうか。内面だけで培養されるのではなく、内と外の世界の交流によって育まれるのが個性なのだという、当然のことを、改めて思う。
戦争末期に応召、中国で発病し上海の病院で偶然画家の靉光と同室になり、彼の死を看取るということがあった。その経緯は洲之内徹『きまぐれ美術館』(新潮社)に詳しいが、復員後は佐渡、ついで柏崎の高校で美術教師となる。この時代は画家としては、やや本意でない時期でもあったらしい。
水彩やグアッシュで、小さい抽象を描きだしたのはいつ頃だろう。57年の生涯の、最後の時期に描かれたこの作品群は素敵だ。初期の絵に輝いていた描くことへの熱狂が甦り、エネルギッシュに爆発する。華やかな、強い色彩の背後に、あの緑の気配を感じる。破天荒な画法が、串田さんを長く苦しめた何かのこだわりを、壁を破ったのだろうか。個性の深呼吸が聞こえる。 (大倉 宏)
   
 
絵 屋 I n f o r m a t i o n

●NEWS 1● 
「新潟絵屋記録2002−2003」発行
新潟絵屋の記録2冊目ができました。2年間63回の企画展の紹介(企画者ほかによる感想も記載)とその間に行われたイベントの記録です。これまで絵屋で作品を紹介した150人以上の作家たちの索引も新しく加わりました。絵屋店頭にて販売しています(100円)。

●NEWS 2● 
6月より映画監督の井上朗子さんが企画委員に加わりました。企画委員は4人になりました。10人の運営委員とともにこれからの企画を考えていきます。お楽しみに。


絵 屋 と ぴ っ く す

「新潟まち遺産の会」発足会
 6月26日、新潟市歴史博物館の旧第四銀行住吉町支店の二階会議室で「新潟まち遺産の会」の発足会が開かれました。
 同会は絵屋の裏にかつてあった「東厩島町の町屋」の移築支援活動を機に2002年4月に発足した「新潟の町屋を生かす会」の活動を引き継ぎ、より広い視点で新潟に残る建造物を中心とした歴史的遺産の継承と活用を、市民の立場で支援することを目的に発足したものです(初代の世話人代表を絵屋代表でもある大倉がつとめます)。発足会の最後に同会副代表でもある岡崎篤行さん(新潟大学助教授)が映像を交え、新潟にのこるさまざまな「まち遺産」を紹介。改めて新潟の歴史の奥行きを実感しました。
 会では再建の目処のたっていない町屋の解体部材の有効活用を模索していくとともに、新潟の「まち遺産」の価値を広く訴える活動を展開していく予定で、第1弾として、来春までに町屋を活用した新潟の店舗マップを作成予定とのこと。
 なお同会は正会員(年会費3000円)と賛助会員(同1000円)を募集しています。入会希望の方は下記までご連絡下さい。
●新潟まち遺産の会
(事務所 伊藤純一アトリエ内) 
 TEL025-228-2536


  
 
6月の櫻井展の会場は、中の格子戸を外し、展示台も撤去して、外が見えて明るく広々。お客様も「すっきりしたね」と言われる方が多く、いつもと少し違う絵屋でした。(K)

   

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