2005年5月 | |
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2005年5月2日〜5月10日 | 企画 伊藤純一 | ||
篠原乃り子(しのはら のりこ) ←「Here is still------」
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篠原乃り子さんが歩んできた四半世紀はまさしく小説のようだ。1972年に渡米、翌春ボクシングペインティングやバイクのオブジェ作品でおなじみの篠原有司男氏に出会い、出産、後に両親からの仕送り停止で貧困の只中に。自伝的小説「ためいきの紐育」では、明日の食費やミルク代も無いという困窮の極みのような生活が綴られているが、悲惨というイメージは伝わらない。小説ということで少し脚色しているのだろうなあ、とご本人に伺ったところ、本当の生活は脚色どころか小説に表せないほど凄まじいものだったとの事。穏やかさから発せられるエネルギーはやはりなにかを卓越してきたからだろう。 現在住んでいる「D,U,M,B,O」地区はブルックリンブリッジの高架下周辺で、地価が高騰したソーホー地区からアーティストが多く移り住んでいるエリア。2001年9月11日、その地から見上げるブルックリンブリッジを、数え切れないほどの緊急車両がけたたましくサイレンを鳴らし走り続けていたという。アーティストでなくとも心に大きな衝撃を残す大事件。その事件後制作した作品はInternational Prints Center N.Y.のコンペテションで入選を果たした。今回絵屋にその入選作を含む繊細ながら大胆かつパワフルな銅版画作品20余点を展示する。生のニューヨークの空気を、日本の、この新潟絵屋で感じてもらいたい。ご本人もN,Yより訪日在廊予定、篠原さんご本人ともぜひ会っていただきたい。(伊藤純一) ●
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2005年5月22日〜5月30日 | 企画 大倉宏 |
パウル・クレー「川辺の風景」 |
Paul Klee(パウル・クレー:1879〜1940) Wols(ヴォルス:1913-51) 難波田史男(なんばた ふみお:1941〜74) |
新潟有数のコレクターの一人Nさんは、絵屋の展覧会もよく見に来られる。あるとき画廊にいた私に、表題の3人の絵を、ここに並べて見てみたいのだが――と切り出された。
後でいただいた過去のコレクション展の資料を見ると、Nさんの収集は20世紀の幅広い作家に及んでいる。そこからなぜ、この3人なのか。哲学者サルトルがクレーとヴォルスを比較し、史男の遺稿にはそのことへの言及がある、というようなこともNさんは語られるが、思いつきはもっと瞬間的、感覚的なものだったのだろう。 個性はそれぞれ違うが、内向的な自由を生きた共通点に加え、その絵、特に繊細で思索的で傷つきやすさを感じさせる線に呼び合うものがある。空き地とフェンスに囲まれ、木と紙と土でできた古い町家に作り込まれる絵屋の空気に、そのなにかがふれ、この不思議な三人展をNさんに思いつかせたのだろうか、と想像してうれしくなる。(大倉 宏) |
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