2005年6月


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2005年6月2日〜6月10日 企画 大倉宏 越野泉

藤田陽子(ふじた ようこ)
■1995年女子美術短期大学卒。96年同専攻科修了。同年坂爪勝幸氏に師事。2000年新潟現代美術リレー展出品。03、04年ギャルリー炎舎(新潟市)で個展。

←「三日月の夜に雨が降る」2005年 h41cm

あーとぴっくす
「嵐の中から天空へ、また嵐へ」坂爪勝幸

温泉の町、村上市の瀬波に生まれ育った藤田さんが、中条町の坂爪勝幸工房で作陶するようになって9年。一昨年の新潟での初個展では、陶の肌にねじりこまれたような生気が、私の印象に残った。
今回の個展では、昨年あたりから姿を見せていた雲が主役である。
雲の上に木や家がたち、月がある。童話風の挿画かオブジェにあるようなイメージで、そんな夢めいた雰囲気も漂うのだが、同時にその夢のオブラートを蹴破る、野太いものの気配がある。
雲を支えるずんぐりした台はよく見ると雨である。あるいは雪や雹だ。雨はどう見ても豪雨、雪は豪雪、雹は豪雹だろう。稲妻が走り、突風が吹く。当の主役の雲も、まるで地中でむくむく膨れる根菜のよう。
そんな<豪>や<突>や<膨>たちを、穴のあいた夢の布に包んで、雲は行く。 (大倉宏) 

 


 
2005年6月12日〜6月20日
企画 大倉宏

片山 健(かたやま けん)
■1940年東京生まれ。武蔵野美術学校商業デザイン科卒。絵本に上記の他『たのしいふゆごもり』(片山令子文)『ぼくからみると』(高木仁三郎文)『おなかのすくさんぽ』(以上福音館書店)、画集に『いる子ども』(パルコ出版)『夜の水 朝の水』(架空社)などがある。新潟絵屋での水彩画展は2001年に次いで2回目。

←「八月の海」 水彩、紙
  20.8×25.9cm 2004年

東京で佐藤哲三展とマチス展を見たとのお手紙を、去年片山健さんからいただいた。どちらも欲しい絵があったが、どちらがほしいか考えたらどちらも欲しいと思ったとのこと。
佐藤の絵に顔を寄せると、いたるところに爆発を感じる。送られてきた片山さんの水彩画に同じ、と思う。小さい画面のどの部分でも、何かが何かに衝突し、はじけている。顔を離すと、でもその絵が何とも言えず美しい。わけても色に、マチスとは違うけど、同じように心に触れる輝きがある。
女性の絵本作家たちが戦後創りだした、解放された明るい詩の青空に、漫画雑誌『ガロ』のリアリズムと幻視の荒らぶる闇力を注いで生まれたのが、片山さんの絵本だった。『タンゲくん』『どんどん どんどん』「コッコさん」シリーズ、『きつねにょうぼう』。これらに子とともに会えたのは、私の人生の、とてつもなく大きい喜びだ。
記念すべき展覧会で、また片山さんの絵に、ご本人に会える。ドキドキするのは、これはもうファンの心理に違いない。     (大倉 宏)
 
新潟絵屋5周年記念イベント 「美しいとありのままの間」
●トーク:片山健(画家・絵本作家)
     戦後を代表する絵本作家の一人片山健さんに、
     
絵について、子供や絵本について語っていただきます。
●日時:6月18日(土曜日)14:00〜15:30
●会場:新潟市美術館 2階講堂
    
(新潟市西大畑町5191-9)
●参加費:500円(資料代)
●定員:120名
●お問い合わせ・申込み:新潟絵屋(tel.025-222-6888)

 


 
2005年6月22日〜6月30日
企画 中林二郎

佐々木玲子(ささき れいこ)
■1981年多摩美術大学絵画科日本画専攻卒業。東京ガラス工芸研究所に助手として勤務。83年佐渡市旧羽茂町にアトリエを開設。98年朝日現代クラフト展(阪急百貨店 梅田/数寄屋橋)に招待出品。04年個展(新潟大和デパート)。

←「クレマチスのガラス鉢」
 ガラス 11.7×15cm 

「ミスティ」という美旋律のジャズの名曲がある。多くの演奏家が取り上げるのだが、そのあまりに甘美なメロディを前にして、気恥ずかしさからひねり過ぎるか、降伏して甘さに寄りかかり過ぎるか、原曲の持つリズムとメロディの融合の妙を表したモノがあまりない。
ガラスの世界でも、透明でつるつるでひんやりして、割れたら大変、扱い辛いが平板均一キレイな物質というあたりが、ガラスと聞いて思い浮かべることだが、そのイメージ通りのモノを作るのはプライドが許さん、とでもいうのか、ひねり過ぎた作品を時折見かける。
その点、佐々木作品は、素材の特質を見極めた上でのガラスまかせの自然体。謎解きもどきの思わせぶりな文様に、頭を悩まされるようなことはない。飾っておこうか、使おうか、それを悩むくらい。分かりやすくて素直な作品です。(中林二郎)
 

 

新潟絵屋が満5歳になりました!

2000年6月16日、新潟市並木町の一角に新潟絵屋が誕生して、5年がたちます。月3回の自主企画展を続けるとの公約(?)を果たすことに専心する間に、周囲の様子は様変わり。古い町並みの中の画廊は、空き地の一軒家になりました。この5年間、作家や会員の方々をはじめ、さまざまな方々のご支援をいただき、また多くの方に足を運んでいただきました。心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
 当初の目標のひとつ、NPO法人化も果たすことができました。新潟に画廊も増えてきました。今後は企画展開催のほか、新潟唯一のNPO画廊として、画廊同士の連携への働きかけや、絵や画廊に親しんでもらう取り組みなどを、新たに模索していきたいと考えています。次の5年間へ向けて、引き続きご支援をよろしくお願いします。

 
 
絵 屋 と ぴ っ く す

4月9日岩本勝展個人映像上映会(岩本さんの作品、映画初期の映像を見るような不思議な感覚が魅力的でした)、23日夜は五十嵐祥一展追悼ライブ(ギター、ウッドベース、ドラムスのトリオで全10曲演奏、会場いっぱいのお客さんに楽しんでもらいました)、5月3日はNYから来られた篠原乃り子さんのsep.11th体験と自作を語る講演会があり(観客42名)、それぞれにぎわいました。

五十嵐祥一追悼ライブ
(演奏/エベヨシタカ&ヒズバンド)
篠原乃り子さん講演

企画展開催中は作家さんが在廊されることもしばしば。ともに来場者を待つ間は人々の反応を待つ緊張のひとときです。直にお話できる又とない機会、作家在廊日のお問い合わせもお気軽にどうぞ。(I)


   

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