2007年6月


2007年1月の絵屋

2007年7月の絵屋

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2007年6月12日〜6月27日

企画 大倉宏

Antje・Gummels(アンティエ・グメルス)
■1962年旧西ドイツ、レ−ゲンスブルグ生まれ。78年イタリア、サンレモへ移住し各国アーティストと交流。87年に来日し新潟県巻町(現新潟市)に住む。麻布工芸美術館(東京、92年)、創庫美術館(新潟、92、94年)、北方文化博物館(新潟、96年)ストライプハウス美術館(東京、98年)、新潟絵屋(01年、05年)、アートフロントギャラリー(東京、05年)、画廊Full Moon(新潟、05年)ギャラリーARKA(ウラジオストック、07年)で個展、絵本の仕事も多く手掛けている。

←「Transparent Self Portrait」
 2006年 ミクストメディア、紙、29.7×21.0cm

新潟絵屋 ●2001年12月12日〜20日
●2005年5月12日〜5月20日
●2005年12月12日〜2006年1月15日
砂丘館 ●2005年12月9日〜2006年1月15日

あーとぴっくす
「安心を誘う不思議な「変容」」大倉宏
上大川前通りで活動を再開する新潟絵屋の、最初の会場を、アンティエ・グメルスの絵で飾りたい。そう感じたのは、彼女が新潟の重要な画家の一人であり、またその絵に最近、注目すべき大きな変化が現れてきたからだ。
変化は、画家の心の宇宙における新星の出現と表現していいのかも知れない。その絵の劇的な変化の兆しを、一昨年の個展の時の文で私は「嵐」と書いた。嵐の原因は彼女の身体上の事件(手術)を契機に起こり、おそらく内面から差す強烈な「光輝が見える」体験として彼女を襲った。光は新星のように輝き続けた。自分にしか見えない光、という閉ざされた経験を、描くという行為で再視しようとし始めることで、不思議な破調が絵に現れ、彼女のこれまでの絵の言葉になじんだ私や私たちを驚かせた。驚きのレンズを通過して、新星の光は私たち外宇宙の人間の内面にも届きはじめたのだ。
光沢ある絵具、鏡や金属という、以前の絵画世界とは異質な素材群で、次々に描き出され始めたイメージ群は、息を飲むほどの強いエネルギーを帯びている。
これら新しい絵の空間は、現実の夜空に見る果てない宇宙に似ているが、そこには同時に輝く光輝の網目に、透明体となった人体のイメージが映し出される。闇と新星の光に満たされた宇宙という鏡、水晶体が映しだす、通過していく自己の像。
興味深いことに、現実の夜空に現れる新星は、新しい星の誕生ではなく、古い星の表面が近接する星から流れ込むエネルギーで爆発し、輝き出す現象なのだという。新しい「光の絵」は、仏画や民俗美術、あるいは神話のイメージに見る個以前の、自己イメージの古層に近づこうとしているように見える。そこに光輝をもたらしているのは、近接する、アンティエ・グメルスがこれまで紡ぎつづけてきた、個という星のエネルギーなのだ。
絵屋の古く新しい空間で、新潟の空に連星の姿を呈し始めた、美しい星辰の輝く夜空を見上げたい。(大倉 宏)

ギャラリートーク
■「TRANSPARENT SELF PORTRAITS(透明な自画像)をめぐって」
 2007年6月24日[日] 午後4時30分〜
 聞き手:大倉 宏  参加無料
 お申し込みは電話で新潟絵屋まで

 


 

2007年6月29日〜7月10日

企画 旗野秀人

若槻菊枝(わかつき きくえ)
■1916年新潟市(旧大形村)生まれ。26年木崎村無産農民小学校に入学するが1日だけの登校。35年上京。50年新宿にバー「ノアノア」を開店。画家、彫刻家の客が多く、自身も制作を開始。52年笠置季男氏(彫刻)の指導を得る。55年二科展彫刻部門、57年絵画部門へ出品、その後常連となる。98年に体調を崩すまで創作活動を続け、個展開催多数。日本美術家連盟会員。

←「赤い帽子」F号

35年前、私が水俣病事件に出会った頃、新宿のバー「ノアノア」のママの噂を耳にしたことがある。お客の請求書に「水俣カンパ代」を書き加えて、患者や支援者に何百万円も寄付を寄せ自宅まで開放している新潟出身の凄い女がいるらしいと。
まさかその「ノアノア」のママだった若槻菊枝さんの展覧会を絵屋でやれるとは・・・。
運命の赤い糸を感じつつ、嬉しい限りである。一昨年の夏、水俣の胎児性患者施設「ほっとはうす」を訪ねた時はじめて若槻さんの作品と出会った。魚をモチーフにした多彩な色使いで生命力溢れる油絵だった。
この春、共通の知人のお祝いの席でお会いした若槻さんは車椅子ではあったものの、まるでご自分の作品から抜け出てきたような真っ赤なジャケットに真っ赤な帽子をかぶり、その存在感は健在だった。せっかくのご縁、会期中には同じ91歳の新潟水俣病患者会の専属歌手、渡辺参治さんとのコラボレーションも考えているところ。
再生された絵屋の和風建築の空間で日本人離れしたその天衣無縫の作品たちに出会えることを今からドキドキして心まちにしている。(旗野 秀人)

オープニングレセプション
■2007年6月30日[土] 午後6時〜
 作家若槻菊枝さん、特別ゲストに渡辺参治さんを迎えます。
  


リニューアルオープンプレイベント情報 ご予約・お問合せは新潟絵屋まで

6月03日[日] 堀川久子舞踏「絵屋の風」 14時30分〜/18時30分〜(各回1時間予定)
参加料:一般 1,000円/絵屋会員 800円
6月09日[土] エヤライブ えやまつり 15時〜17時
出演者:金子まゆ(瞽女唄)、むーたらず(ディジュリドゥ、他)、リマック・パンパ(フォルクローレ)、渡辺参治(民謡)
参加料:一般 1,000円/絵屋会員 800円
6月10日[日] 建築対談「旗野×純一」 17時〜18時 参加無料(終了後は交流会)
絵屋設計・伊藤純一と施工・旗野秀人の対談です。司会:新潟絵屋代表・大倉 宏


約半年の長いお休みをいただきましたが、移築再建工事も無事終了。上大川前通で第2期の新潟絵屋の活動がスタートします。
ここは江戸初期、信濃川の川岸=波止場でした。新潟湊に多くの入船出船があったように、リニューアル絵屋も人で賑わいますように。素敵な絵たちと共に、ご来廊をお待ちしています。
                                大倉 宏(運営委員代表)




   

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