2008年10月


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2008年10月2日〜10月10日

企画 大倉宏

森敬子(もり けいこ)
■1947年兵庫県生まれ。1970〜99年まで二科展出品、同千葉支部所属。二科会・藤井二郎氏、同・天野三郎氏師事。93年銀座プランタン、95年池袋三越、ギャラリー汲美、ギャラリーテムズ、柏わたくし美術館他個展多数。2007年新潟絵屋、08年ギャラリーゴトウで個展。千葉県市川市在住。

 

←「サンポの道」 2008年 水彩、紙 F8

森さんの絵はいつも現実から始まる。その現実はでも森さんにしか見えない。ひょっこり現れた小さい島や、鳥や、時には具合が悪く吐いた吐瀉物だったりする、そのような現実の何かが突然、なぜかしら森さんを撃つ。森さんにしか見えない、というのは撃つ、あるいはその撃たれるという経験である。島を、木を、山を、吐瀉物を描きながら見ようとするのはその、森さんにも何であるか分らない「経験」なのだ、と絵を見て感じる。話を森さんに実際に聞いたわけではないのだが。
経験は、大袈裟に言えば「啓示」と言い換えていいのだろう。プリミティブな時期の宗教画に森さんの絵が似て見えることがある。今年描かれた「あたらしい舟」という絵では、水に浮く赤い舟に人が寝て、空から三日月や星が埃のように降っている。どのような現実かは分らない。けれど森さんはこれを見たのだ、と思う。見て撃たれた、そのことが伝わってきて、絵を見る私もなぜか撃たれる。(大倉 宏)


 

2008年10月12日〜10月20日

企画 大倉宏

迫 一成(さこ かずなり)
■1978年福岡県生まれ。新潟大学人文学部卒業。2001年クリエイト集団hickory03travelers結成。コンセプトは「日常を楽しもう」。新潟市上古町でシルクスクリーンを使って制作したT-shirts、雑貨等の販売を行う。新潟を中心にグループ展、個展、企画展など多数開催。商店街での個性的なイベント企画からデザイン・イラスト・ライブペイントなど、幅広くそして柔らかく活動中。 http://www.h03tr.com

 

←「ten」 2008年 水性顔料(for T-shirts)
 、シルクスクリーン、ベニヤ板

普段、イラストやデザインのお仕事をさせてもらっているありがたい現在の日常は、10年前に夢のように漠然と想い描いていたよりも、ずっと楽しくて、広い意味で刺激的だと思う。
ワクワクするような出会いもあるし、ふと浮かんだアイデアをある程度自由な形で表現をしている。でも、そんな精神的にも平和な日常を支えているのは、いうまでもなく大切な家族や仲間。それは、10年前には全く想像できなかった関係だと、たまに、お風呂で考える。
今回はちょっとだけ、そんなありがたい日常を数えるように振り返り、シルクスクリーンもつかって、ゆったりとした気持ちで制作した作品を展示しようと思います。

 


 

2008年10月22日〜10月30日

企画 大倉宏

伊津野雄二(いづの ゆうじ)
■1948年兵庫県生まれ 69年愛知県立芸術大学美術学部彫刻科中退。75年知多工房を設立し、木彫、家具木工芸を手がける 80年代からは建築、装飾美術も手がける(テラコッタ・ブロンズ・木彫)。75〜88年知多工房として作品発表。個展は96年ギャラリーアルテ、97年豊田市美術館ギャラリー、98年煥乎堂ギャラリー、99年、2007年名古屋画廊、2001年ギャラリー椿など。

 

←「West Gate」 2008年 はこやなぎ 17×16×h30cm

あーとぴっくす
「命満ちる清らかな女性像」大倉宏
伊津野雄二の作る女性像は美しく、清潔で、そして――とても色っぽいので、見つめているとなんだか抱かれたくなる。それはきっと、母に抱かれるようであり、彼女に抱かれるようであり、大地に抱かれるようでもあるだろう。
昨秋、愛知県岡崎の山ふところの古い民家を年月をかけて改装したアトリエを訪ねた時、アトリエ(兼住まい)も美しかったけれど、なにより家の前のゆるやかな斜面に広がる庭に、私は魅せられた。どこまでも手作りで、繊細で、気品があり、西洋の庭のようなのに、日本の土の匂いがする。津波みたいに裏山の木々が迫っていた。春の芽吹きの時期が素晴らしいのです、という彫刻家の言葉に、それはまるで新しい命に抱きしめられるような感じなのだろう、と思った。
遠いものへの憧れが、雨のように地にしみて、瑞々しくやわらかな、躍動的な命の鼓動を呼び覚ます。まるで瓜二つのふたごのような庭と美しい女性像に、恋をしてしまいそうだった。(大倉 宏)

 


 


<絵屋宵ライブ 8/16 夜>
若手ミュージシャン4組の生演奏と、沖縄ロケの映像作品上映を交えたライブ。来場者約30人の熱気の中、ふたつのコラボレーションが独自の世界観へと導き、ライブ後のレセプションまでも大盛況でした。(水戸静香)
<太陽燦燦オンガク会 8/17 昼>
琉球音楽、フォルクローレ、アフリカンドラムスを演奏する3組によるオンガク会が開催されました。思わず体が動き出す陽気な民族音楽と、大迫力の生演奏で、いつもは静かな絵屋がとてもアツく、まさに太陽燦燦なひとときでした。(ハチ)


10月15日〜17日(迫一成展)は亀田西中学校、11月18日〜20(華雪展)は木戸中学校から3、4人の生徒が、3日間連続の職場体験で画廊の業務を体験します。また、10月31日は下山中学校の生徒と「出射茂展」の展示作業を作家と共に行います。出射さんも中学生との交流を楽しみにしているようです。(井上美雪)(*全て新潟市内の中学校)


絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代のはみだし連載コラム
タシロ便がゆく ―来る人、いない人編 その4―

幽霊?でも、そう呼ぶにはあまりにも健全な足音だった。恨みや心残りがこの世にさまよっている、というより普通にここで生活しているものが、突然の来訪者に驚いて2階に駆け上がってきた、そんな感じの足音。
だいたい、現代の人間で、この急な階段を急いで登れるなんてのは稀だ。いや――むしろ、この場合、私自身が幽霊だったかもしれない。(つづく)
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)


   

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