2009年6月


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2009年7月の絵屋

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2009年6月2日〜6月10日

企画 大倉宏

華雪(かせつ)
■ 書家。1975年京都生まれ。92年より個展を中心に活動を続ける 。刊行物に『静物画』(2001 平凡社)『石の遊び』(03 平凡社)『書の棲処』(06 赤々舎)など。個展多数。新潟では新潟絵屋で04年「雲と仮面と、雨粒の鳥」、07年「上」、08年「刺心」、砂丘館で07年「足もとのこと」開催。ワークショップを定期的に開催し、現在東京、大阪、京都の3会場で行う。ロゴ、シンボルマーク等のデザインワークも手がける。現在東京都在住。 *砂丘館でワークショップを開催します。詳しくは表面の砂丘館情報をご覧ください。

←「颯颯」 2008年 51×60cm

一昨年の新潟でのパフォーマンスで、華雪は「看」を書いた。1時間。100枚近く書いただろうか。書かれてすぐほとんどは丸められ、残された数枚も、書きやめふっと立った華雪が襲いかかるように丸めてしまった。どうして残ったのか、4つの「看」が目のように、奇跡のように、展覧会の終わりまで壁にあった。思い、感じるより先に突いてくる何か―鋭かったり、柔らかかったり、斜めだったりする何かに刺される一瞬の体に、パフォーマーは耳を傾けていると感じた。残されたのは痛みに竦む体の方だったかも知れない。二宮家と新潟絵屋で開かれる今回の華雪展。前者では彼女が興味を深めてきた「新潟島」をめぐる書作品、絵屋では新潟島を「訪れ、歩き、書き留めた記録と習作」が展示される。新潟という場で揺れた彼女の体に、掌に、押されて私の、私たちの体はどんなふうに動くだろう。(大倉 宏)

 


 

2009年6月12日〜6月20日

企画 大倉宏

斎藤ゆう(さいとう ゆう)
■ 1962年秋田県鳥海山の麓に生まれる。多摩美術大学立体デザイン科クラフト専修ガラスコース卒業。88年高岡クラフト展入選。89年山梨県高根町に工房を構える。90年国際ガラス展金沢90入選。95年「ガラスのあかり展」(山梨銘醸酒蔵)。2000年朝日現代クラフト展優秀賞受賞。02年美術会館青羅にて「session2空間と素材展」に参加。02年フィリア美術館(小淵沢)で個展。03年「未来への礎5人展」(北鎌倉円覚寺白雲庵幽石軒)に参加。新潟絵屋では07年11月個展開催。

←「雫の花留め」 2009年 ガラス 直径35cm×高さ7cm

斎藤ゆうさんの手(?)から生まれるガラスの器やオブジェには、形はさまざまでも、共通する感じがある。ガラスに声があるとすれば、聞き違えようのない斎藤さんの声がある、と言えばいいだろうか。硬質で透明なガラスの底に沈む「ねばりけ」への感覚が深いのだと思う。
「ガラスの雫(しずく)」がテーマの新作では、ガラスの肌が鍛金のような縮れを見せたり、砕かれた水のように粒状に泡立ち、広がる。ハッとするほどそれらが美しいのは、熱され水のように融けたガラスが冷やされ透きとおる刹那、おのれの内なる重さ、ねばりを抱きよせ、夢想のように吸い込んだまま、止まった時間の淵に落下して在るからだろう。その重みに、通過する光は一瞬よどみ、夢に濡れて、ガラスをなめらかになでてゆく。きらびやかで内省的な、その声。(大倉 宏)

 


 

2009年6月22日〜6月30日

企画 大倉宏

緑川俊一(みどりかわ しゅんいち)
■ 1947年東京生まれ。67年絵を始める。71年小笠原諸島の父島、母島、72年小樽、77年東京、88〜91年ニューヨークに住む。現代画廊(東京)、マエダ画廊(名古屋)、たけうち画廊(新潟)、ギャラリー川船(東京)、空想・ガレリア(東京)、ギャラリー汲美(東京)、羽黒洞木村東介(東京)などで個展。ほかグループ展多数。新潟絵屋では2001年7月個展開催。千葉県船橋市在住。

←「人」 2008年 木炭、紙 36.3×25.7cm

あーとぴっくす
「不思議な線は人の声のよう」河田拓
久しぶりに訪ねた緑川さんの仕事場で、絵を見ていたら、ひとを呼吸している自分に気づいた。人間や人と共にいるけれど、もっと控えめな「ひと」。人間は説明し行動し約束などし、人は語りかけるが、ひとはなにもせずそこにいる。
緑川さんの不思議な線は、ひとがそんな人や人間に届く手前に立ち止まり、踵を返し、引き返す。その「ひと」はだから語りかけず、説明せず、泣いたり笑ったりせず、生き生きとさえしない。だが、その「ひと」こそ人間や人の豊かさの本体なのではないか。ぶっきらぼうで、愛想も、喜怒哀楽もないそんなひと達の絵を見ていたら、現実の人や人間といるとなぜだか閉ざされがちな心の穴が開き、何かが満たされていく心地を感じた。
8年ぶりの絵屋での展覧会。無言の彼らに見る人たちのなかの孤独が同じように、静かに揺すられるといい。(大倉 宏)

 


この6月16日で開廊からちょうど9年。昭和39年の新潟地震からは35年。35年前の6月16日、私は新発田の外ヶ輪小学校2年生。
校庭で待機すること数時間。帰途道の先に黒煙の太い柱が見えました。一方9年前のその日のことがよく思い出せないのは、きっと夢中だったからでしょう。35年も9年も、なんだかあっという間でした。そして来年は開廊10周年!…ということで、今後とも新潟絵屋をよろしくお願いいたします。(O)

09年5月より新企画委員に小見秀男さんが加わりました。


レセプションパーティで、パール・アレキサンダーさんをゲストに迎えコントラバスを演奏していただきました。パールさんは、藤井さんが今回出品した中で一番大きな作品「静かなるエナジー」を見つめながら、それをイメージして即興の演奏を繰り広げました。約15分間、音楽と絵と空間が融合した不思議なひとときでした。( I )  

◎5月2日(土)「だれも知らないイランの絵本展」
ペルシャ語絵本翻訳家・愛甲恵子さんと俳優・まんたのりおさんによる絵本「ごきぶりねえさん、どこいくの」朗読では、息が合った2人の掛け合いで物語に引き寄せられ、ペルシャ語での朗読は原作の言葉のリズムが好評でした。20人以上の方が参加され、和やかで活気あるひとときでした。続いて開催したお茶会は、めずらしいイランの綿菓子やドライフルーツと紅茶を楽しみながら、イランの話に花が咲きました。( I )

ツパイ工房(山梨県)の斎藤美樹さんによる金工作品を期間限定で取り扱います。写真はその一例。ほかにもいろいろあります。どうぞお楽しみに。(発売開始:6月12日)
5連フック(銅・真鍮/約13cm)…2,100円
渦巻きスプーン(銅・真鍮)各…1,680円
斎藤美樹(さいとう みき)1964年神奈川県生まれ。多摩美術大学立体デザイン科クラフト専修金工コース卒業。90年より山梨県高根町に移住、ツパイ工房を斎藤ゆう(ガラス)と共にはじめる。


絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代のはみだし連載コラム
タシロ便がゆく ―入観無料編その6―

それで、ふと思った。玄関先で死んでいた三匹のネズミは、この猫が入館料のつもりで置いていったのではないか。きっと一匹じゃ足りない、三匹くらい置いていかなきゃ入れないんじゃないかって。大丈夫。新潟絵屋は入館無料なんだよ。
でも、あれ以来、ネズミは玄関で死んでることはない。 ― 終 ―
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)

   

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