2009年10月


2009年9月の絵屋

2009年11月の絵屋

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2009年10月2日〜10月10日

企画 大倉宏

久松温子(ひさまつ あつこ)
■ 1972年岡山県生まれ。97年創形美術学校研究科版画過程終了。97、98、2000年OギャラリーUP・S(東京)、98年ギャラリー吉兆(岡山)、99、01年自由が丘もみの木画廊(東京)、02年画廊るたん(東京)、02年ギャラリーゴトウ(東京)、03年コート・ギャラリー国立(東京)、06、08年Oギャラリー(東京)、09年朝日新聞東京本社コンコース(東京)で個展。グループ展多数。

■在廊日:10/2(金)、3(土)、4(日)。

←「夜明けー玉響ー」 2009年
  銀箔、練込みテンペラ、色鉛筆、和紙 65.0×65.0cm

久松温子さんのこれまでの絵を見せていただいたとき、2008年の個展の、水のイメージが現われてきた絵の、大きな白に引き込まれている自分に気づいた。舟のイメージの描かれた画面の半分以上を白が占めている。その意味でも「大きい」が、けれど面積に関わりなく、白そのものが不思議に大きい。それは色彩の初々しいそれまでの絵から流れ出した白のようでありながら、それまでの絵を消して広がろうとするようにも見える。そういう一つの力、作用に還元できないものがあり、それが大きさを感じさせる。
萩尾望都や大島弓子が登場したとき、10代の少女の憧れや願望の素朴な反映だったものがそのままの外貌で、思いがけないほど人の心の広く、深いなにかを抱え始めた。その仕草がふっと浮かび「少女漫画を思い出します」とぽつりと言ってしまったのだが、久松さんはきっと何を私が言っているのか分からなかっただろう。(大倉 宏)

 


 

2009年10月12日〜10月20日

企画 大倉宏

「雪原」 1995年 油彩、キャンバス 41.0×60.6cm

四竈公子(しかま きみこ)
■ 1935年茨城県生まれ。18歳でキリスト教の信仰に入り医療伝導の手伝いをする。明治学院大学で社会福祉を学ぶ。30代初めより油絵を始め42歳で武蔵野美術短期大学美術科卒。84年に銀座のギャラリータカノで個展を開催。以後毎年の個展のみで作品を発表する。98年、2005年フィリア美術館(山梨県北杜市)で個展開催。明治学院時代に詩人西脇順三郎に会い、87年テレビで見た佐藤哲三の画業にひかれ良寛に関心を持つなど関わりの深い新潟での発表は今回が初。

◆同時期開催 「特別展示 四竈公子」 10月12日〜24日
 会場:砂丘館ギャラリー1F

あーとぴっくす
「引き込まれる不思議な暗さ」大倉宏
四竈公子さんとの出会いは20年以上も前、彼女が佐藤哲三に興味を持ち、新潟を訪ねてきた時だった。西脇順三郎の故郷を見たいという彼女を小千谷にご案内したこともある。けれどその絵を本当にじっくり見せてもらったのは、この個展を決め、夏に狭山の自宅にお訪ねしたとき。夜中までかかって百点近い油絵を見終え、私は感動した。そう言うしかない、不思議な波動が身中にわき起こった。
いくつかの風景に四周がぼんやり暗く霞んでいるものがある。彼女のこれが視覚なのだと思う。風景が呼ぶ。呼ばれて見上げる瞬間、見る彼女と見られる風景以外の一切は四周の無限遠に遠ざかる。人と風景を貫く細く深い井戸を流れるもの。それが彼女の絵の始点と終点であり、すべてなのだ。きわめて個人的なその井戸が見る側の心の井戸とつながるとき、それはもうひとりのまったく個人的な記憶や感情を、驚くべき力で動かす。その夜私に起こったのはそれだった。 (大倉 宏)

 


 

2009年10月22日〜10月30日

企画 大倉宏

小林久子(こばやし ひさこ)
■ 東京生まれ、ニューヨーク在住。ニューヨークを拠点にフィラデルフィア、パリ他で個展多数。日本ではニッチ・ギャラリー(東京)を中心に各地で個展。新潟では2005、07年画廊Full Moonで個展。

←「The Akari in October」 2007年
  油彩、キャンバス 56.0×43.0cm

絵を描くこと―――自分の心の奥底にある、一種のリズムを捜し求め、それをビジュアライズして実体として表現する、それが私にとって絵を描くということです。(小林久子 2009年)

この夏山梨の八ヶ岳の麓で3日ほど過ごし、改めて空間というものは人と同じように千差万別なのだと思った。
小林久子さんの新潟でのこれまでの2度の展覧会で、私は本当にどきどきし、うっとりして絵を見つめた。まるで美しい泥水が無数の白い枯葦の茎を押し流しながら動いていくような画面に、不思議な異空間の感触を感じる。彼女が日本人として長年身を置くニューヨーク。すさまじい量のコンクリートの山が峨々と聳え谷底を雑多な人々が交わらずに交錯していく。けれどその上空には9月11日にわれわれがテレビで見たような抜けるような青空があり、傍らを彼方から来た膨大な水が海に注いでいく。行ったことのない、全く違う空間と、そこを動いて行く広大で深遠で無情な自然の息が、その絵を見ているとまるでそこに身を置くように想像されてくる。 (大倉宏)

 



 参加希望の方は新潟絵屋までお申し込み下さい

◎四竈公子のトークと村井祐児のクラリネットソロ
 10月17日(土)17:00〜18:00 会場:新潟絵屋 参加料:1,000円 定員:20名
 *演奏終了後お二人を囲んでささやかなパーティを予定しています。
 村井祐児(むらい ゆうじ)1988〜2007年東京芸大音楽学部教授。日本を代表するクラリネット奏者のひとり。

◎華雪展「刺心」
  10月22日(木)〜11月3日(火・祝) 10:00〜16:00
 新潟島をテーマに制作した華雪さんの展覧会。今年5、6月の公開から季節は巡って、再び開きます。
 会場:二宮家米蔵(聖籠町蓮野)
 主催:新潟絵屋 協力:水と土の芸術祭実行委員会、新潟まち遺産の会
 観覧料:一般 ¥300(水と土の芸術祭パスポート、絵屋会員証 提示の方¥100)中学生以下無料

◎書のワークショップ 『蓮野を歩いて字を書く』
 10月31日(土) 13:00〜
 会場の米蔵の周辺を歩き、そこで出合った景色から言葉を探し、それをひとつの漢字に結びつけて、大きな紙に書きます。
 対象:小学生以上 定員:15名 参加料:300円

◎華雪・堀川久子 ライブパフォーマンス
 11月1日(日) 13:00〜15:00
 定員:50名  参加料:1,000円 (13:00〜 華雪 14:00〜 堀川久子)
 *10月24日、25日、31日、11月1日…二宮家日本庭園公開(10:00〜16:00 維持協力費:100円)


絵は元気にしていますか◎絵のその後、募集
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絵屋のブログ「みるものとよいところ」で紹介させていただきます。
あるところで見つけた雲。(林哲夫さんの油彩画)


絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代のはみだし連載コラム
タシロ便がゆく ―熱く赤い道 編その4―

すでにその頃、アメリカ軍はグアム、サイパンといった南洋の島々を制圧し、ここを拠点に日本本土への大編隊の戦闘機を送り出すことが可能になっていた。
焼夷弾を搭載したB29の大編隊は東京の下町上空にその姿をあらわした。(つづく)
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)

   

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