2009年11月


2009年10月の絵屋

2009年12月の絵屋

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2009年11月2日〜11月10日

企画 大倉宏

ユーカリとアカシアとササ 「動物園」 2007年 16.4×13.0cm

長尾玲子(ながお れいこ)
■ 1963年東京都生まれ。専門学校東京YMCAデザイン研究所デザイン科卒業。デンマークSKALS手工芸学校終了。オーストラリアNMITイラストレーション科卒業。Diploma取得。絵本に「クリスマスイブのおはなし」セット全3冊、「サンタさんありがとう」「サンタさんとこいぬ」(福音館書店)がある。個展多数。新潟絵屋では2008年12月個展「12月のサンプラー」開催。

『小さなお茶会―長尾玲子さんを囲んで』
11月7日(土)15時〜
協力:日本茶インストラクター協会

あーとぴっくす
「独特の観察眼を刺繍で表現」井上美雪
長尾さんの展覧会は昨年に引き続いて2度目。めずらしい刺繍の個展ということもあってか、前回は思いがけないほどの人が来た。そして画面ならぬ刺繍面に顔を近づけゆっくり見ていく人が多かった。
今回のテーマは「私的花言葉」。59の豆粒ほどの花々が私たちを迎える。といってもそこは長尾さんの刺繍。目を寄せると木、森、塔、遊具、屋根でもある花のまわりや上や下や中を、子どもたちが、人々が、元気に動き回っている。さらに接近して見るとその人は、一人一人みな明確な意思と気持ちを持ち「自分の行動」をしているようで、だからふうわりとしたカワイイでなく、どこかきりりとした涼しい風が、花のまわりをめぐっている。大げさに言えば自分に、<内面>に、気づいた人の孤独の味さえかすかに花の香りにまじる。ああそこが、長尾さんの世界の私にとっての魅力だと気づく。(大倉 宏)

 


 

2009年11月12日〜11月20日

企画 大倉宏

渡辺隆次(わたなべ りゅうじ)
■ 1939年東京都八王子生まれ。武蔵野美術学校(現武蔵野美術大学)卒。東京学芸大養護科修了。77年から八ヶ岳麓のアトリエで制作を続ける。個展多数。92〜99年武蔵野美大特別講師。99〜2003年甲府の武田神社菱和殿天井画、04〜05年同神社能楽殿の鏡板絵を制作。著書に『きのこの絵本』『山のごちそう』『八ヶ岳 風のスケッチ』(筑摩書房)『水彩素描集』(深夜叢書)『花づくし 実づくし―天井画・画文集― 〈一〉〈二〉〈三〉』(木馬書館)がある。新潟絵屋では06年12月に個展開催。

■会期中在廊予定。

←「キボウシとヤマナシ」

渡辺さんとの交遊は長く、はじまりは20数年前、巻生まれの画家田畑あきら子の話を伺いに山梨のアトリエを訪ねた時だ。「きのこ」に渡辺さんが深入りしだした頃で、胞子紋を使った作品が描かれていた。きのこの内襞(ひだ)から、はらはら落ちる胞子の紋様は、細緻さと突き放すごとき無表情において、渡辺さんの絵の象徴だったと思う。
情的なものを1000分の1ミリグラムも漏らすまいと微細な無機的形象で鎧(よろ)った作品。その基本構造は、今も変わらないが、封じられた放射能のような情エネルギーが鎧に内からしみ入り、微細だったものを野太く膨らませていく変化を目撃してきた。神社天井画や能舞台鏡板の制作体験を経て、近年は屏風様の作品や巻物形式の絵も手がけだした。近代的自己表現とは一見無縁の中近世の花鳥画の底にひそむ、複雑精妙な感情の「たまり」。渡辺さんのアンチモダンな仕事が時の壁を貫き、そんな時代の絵画空間に接近、接続していくようでワクワクする。
久々に再開された胞子紋による作品も展示します。(大倉 宏)

 


 

2009年11月22日〜11月30日

企画 大倉宏

佐藤裕一郎(さとう ゆういちろう)
■ 1979年山形県生まれ。2003年東北芸術工科大学日本画コース卒業。卒業制作優秀賞受賞。05年 同大学院修了、同大学大学院修了制作選抜展(東和ギャラリー)に出品。01〜05年創画展に出品。02年第13回臥龍桜日本画大賞展で優秀賞。05年第3回トリエンナーレ豊橋星野眞吾賞―明日の日本画を求めて―で優秀賞受賞。04年なびす画廊、05年ガレリア・グラフィカbisで個展。05年「I'm here」(せんだいメディアテーク)、
06年「BLOX 2006」(同)等に出品。META?に出品(神奈川県民ホールギャラリー)、日本画滅亡論に出品(中京大学アートギャラリーC・スクエア)、個展(gallery―58、東京)。新潟では07年砂丘館、07.08年画廊Full Moonで個展。。

←「sunlight in soil」2009年
 パネルに和紙、顔料、染料、金属粉 F10号

2年前の春、砂丘館での佐藤裕一郎展では、蔵のギャラリー2階全体、1階の壁を一面いっぱいに埋める大きな作品が並んだ。褐色の不思議な力にあふれる画面。蔵の空間がそっくり地中に変じ、そこを行き交う不思議な声が聞こえてくるようだった。若いこの画家の求めるものの深さが、壮大な大きさを求めるのだと感じた。
その後も佐藤は途方もない大画面を生み出し続けているが、荒々しい表面はより平らに、霧の柔らかさへ変貌してきた。
生物の気配の消えた地の深みに垂直に、斜めにさす光のような白と厚みある黒のあわいに立ち上がる不思議な色彩のゆらぎ。それは人の心の、精神の、根先が触れている不可視の場の色であり、生動であるように見える。 (大倉 宏)

 



 参加希望の方は新潟絵屋までお申し込み下さい

◎小さなお茶会―長尾玲子さんを囲んで
 11月7日(土)15時〜 料金:500円(お菓子付)/定員:10名 
 協力:日本茶インストラクター協会


本間印鋪 判子フェア 2009年11月1日〜2010年1月30日
古町の老舗判子店の若い方(インポーくん)が、新しい判子のパンフレットを持ってきました。それはおじいちゃんが描いたさしえスタンプの復刻版シリーズ[写真1]の紹介でした。私の喜びようたるや、あらゆる白地のもの(靴下にさえ)に押したい衝動に駆られた程です。ページをめくって、宝物を見つけたように嬉しくなりました。パンフレットの最後には、ご自身がデザインされた「効果音スタンプ」[写真2]もあって、おまけ的な扱いと裏腹にこれがまた・・・。判子のアレンジで、手帳やカレンダー、お手紙を書くのが、きっともっと楽しくなりそう。ご期待ください。(井上美雪)
上:[写真2] 効果音スタンプ使用例「お米と一緒に添えられたメモ」 3個セット\1,050
右:[写真1] さしえ判子シリーズ「本を読む犬」(1.7×1.7cm角)\500


パブロ・ネルーダについてのお話、そして最晩年の詩集『2000年』を部分的に、竹久さん(写真・右)が原文で、吉田さん(写真・左)が日本語訳で朗読し、絵のイメージが広がりました。
(9月5日「竹久野生・吉田加南子展」にて)


絵屋ブログ「みるものとよいところ」新連載『今月の土壁』 http://niigataeya.exblog.jp
展示室に入って左の土壁の様子を毎月紹介する「今月の土壁」がブログで始まりました。どうぞお楽しみに。(右サイドのカテゴリ内「今月の土壁」をクリックしてください。)

絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代のはみだし連載コラム
タシロ便がゆく ―熱く赤い道 編その5―

それから何十年も経ってから我々はテレビの画面でその後の光景をみることになる。ベトナムで、中東で。村を焼き払い、爆撃し、老人であれ、子供であれ、女であれ、人間であったことがかろうじて解る炭のような遺体にしてきた。アメリカ軍は少しも懲りていない。むしろ太平洋戦争の際のこの成功に、味をしめてしまったのだろう。(つづく)
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)

   

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