2010年5月


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  新潟絵屋あんない 作家INDEX Blog  

 

2010年5月2日〜5月10日

企画 大倉 宏

津田真帆(つだ まほ)
■ 1966年東京に生まれる。東京芸術大学卒業。子どもの絵画・造形教室に携わる。装丁・挿絵の作品に『デ・ラ・メア物語集』(全3巻・大日本図書)。絵本に『巨男/おおおとこの話』(大日本図書)、『わたしのあかちゃん』(福音館書店)、『あきですよ』(金の星社)『あかちゃんがいるの!』(大日本図書)がある。東京都在住。06年4月、08年6月、新潟絵屋で個展。

←「行きたい道」2010年 水彩、紙 25.0×27.0cm

あーとぴっくす
「強い生命感と不思議な絵肌」大倉宏
2年おきに開いて来た津田さんの、過去2度の個展を思い起こすと、初回は青い麦の香りを思わせる晩春・初夏のさわやかな匂い、2度目は炎暑の夏の熱気が浮かんでくる。新しく送られてきた作品を見て、その夏の熱を、ある日ふっと冷やす風の指が背にふれる、秋のはじまりの気配を、色合いに感じた。

この間津田さんは子育てのまっ最中で、電話するといつもものすごく元気な子供たちの声が、電話口まで届いた。個展のお願いも即諾といかず、それでも「よく考えて」承諾して下さったのだったが、そんなめまぐるしい日々にも津田さんの絵は季節をめぐり、さまざまな光、雨、花や実の香りを呼吸して、その明るさ、強さを失わないまま、深まってきた。(大倉 宏)

 


 

2010年5月12日〜5月20日

企画 大倉 宏
 

藤原 祥(ふじわら しょう))
■ 1950年島根県松江市生まれ。サン・フェルナンド国立美術学校(スペイン/マドリード)卒。77年タラベラ・デ・ラ・レイナ賞名誉賞受賞。グループ展に95、2002年「21+∞展」(O美術館、東京都美術館)、91-97年「アジア交流展」(ソウル、香港ほか)等。個展は80年島根県立博物館、82年ギャラリー檜(東京)、92年ギャラリーHera(ストックホルム)、93年ギャラリー睦(千葉)、03年、09年ニッチギャラリー(東京)、07年11月、08年9月新潟絵屋等。

←「ひと」2010年 アクリル、ノート紙 25.5×18.5cm

藤原さんの一昨年の個展は秋で、砂丘館では喜多村知さんの遺作展をしていた。油彩の大作を飽かず眺め、感嘆していた藤原さんを思い出す。絵に深く感応する、傷つきやすいほどの深さを負った目を、脇にいて感じた。彼の画家としての幸福と困難は、この目のよさにあるだろう。
自分の絵にどこかいつも自信なさげで、これでいいのだろうかと呟く藤原さんのアトリエを久しぶりに訪ねた。部屋を囲繞するものたち?ひからびたサボテン、土の雲のようなオブジェ、観葉植物、壁のしみや小さなものらすべてに、その「目の世界」の反射があった。
メモ用紙のようなものに描かれた近作は、描き手の逡巡を伝えつつ、同じように自信なさげな顔の底に「いいねえ、いいねえ」と喜多村さんの絵に興奮していた人の目の光を、息を呼吸して、さわやかに「抜けて」いた。(大倉 宏)

 


 

2010年5月22日〜5月30日

準企画
 

池田早季恵(いけだ さきえ)
■ 1980年生まれ。2002年新潟大学工学部卒業後、陶芸家の父・池田脩二に師事。04年石膏型による作陶を始める。06年佐渡博物館「佐渡のやきもの展」に出品。08年イカラカラ(新潟市)にて器展。

←「蛙」2008年 h12.0cm

池田さんが近年取り組む焼物は、いわゆるろくろびきや手びねりといった作り方ではなく、石膏で型を取り作り仕上げる物。この手法により同種の作品が複数でき上がるのだが、単に複製を数多く作るのが目的では無いようだ。ディティールを少しずつ違えたり表情を変え、複数で一つのシチュエーションを作り上げる面白さや、摺加減で仕上がりが変わる版画のような要素を楽しんでいる。本人曰く、石膏型による作陶に興味を持ったのは、蝋型鋳金作家であった祖父の仕事を見続けていたからで、いたって自然の流れだったそうだ。でき上がった作品を見るとほんとうに皆表情が違い、複数で表現された面白さが感じられると共に、池田さんが込めた思いや世界観も伝わる。そんな石膏型により作られた動物等のオブジェの他、 陶器のランプシェードをはじめ器なども展示。表現されたシチュエーションから池田さんのどんな思いが読み取れるかとても楽しみである。(伊藤純一)

 



1. 新潟絵屋10周年記念 「生誕100年 佐藤哲三展」
  2010年6月12日(土)〜20日(日)
  プレイベント 講座「佐藤哲三の肖像」 話し手:小見秀男(新潟絵屋企画委員)
  1. 新進画家誕生、国画会展デビュー   5月8日(土)
  2. 内なる風景の発見、郷土の画家へ   5月22日(土)
  3. 戦後の足取り、44歳の早すぎる死まで 6月5日(土)
 ※各回18:30〜 資料代:700円・定員:20名・1回のみの参加も可能(要申込)


2. 「華雪書展 劇 〜劇的な場所のあとに言葉を置く」
  2010年5月22日(土)〜6月20日(日)の毎週金・土・日10:00〜16:00 
  会場:二宮家米蔵(聖籠町蓮野)(財)新潟県文化振興財団助成事業
 ●ライブパフォーマンス 「今を書く」 6月13日(日)12:00〜16:00
  (1,000円、定員50人、直接会場へ)
 ●ワークショップ 「書くこと伝えること」 6月12日(土) 10:00〜13:00・14:00〜17:00 
  (2,000円・材料費込、定員15人、要予約/小学生以上)
 ※ 同時開催 二宮家の日本庭園とバラ園公開
       2010年5月22日(土)〜6月20日(日)10:00〜16:00 入園料400円


3. NPO法人新潟絵屋・H22年度通常総会
  5月15日(土)14:00〜(15:00〜会員交流会) 
  会場: 砂丘館 座敷
  会計報告や事業計画を話し合います。


絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代のはみだし連載コラム
タシロ便がゆく ―ふと見た暗がり編 その1
別に疲れている時とか、イヤな事があったとか、そんな事とは関係なく、時々「八王子の夢」を見る。現実の八王子散田町によく似ているけど少し違う。狭くて小さな商店街にはあんまり美味しくないカレーショップがあり、いまだに通りに面して山一証券のビルが建っている。入口のシャッターが降ろされたままだけど。
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)

   

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