2010年9月


2010年8月の絵屋

2010年10月の絵屋

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片桐翠展

2010年9月2日〜9月10日

企画 大倉 宏
「母子像とザクロ」

片桐翠(かたぎり みどり)
■ 1978年新潟市生まれ。99年青山学院女子短期大学英文科卒業。渡英。ウェストミンスター大学(ロンドン)で映画とイラストレーションを学ぶ。2006年創形美術学校造形科卒業。第1回パリ賞受賞。副賞でシテ・インターナショナル・デ・ザール(パリ)に8か月滞在。個展はフランスで2回。国内では07年知足美術館、08年9月新潟絵屋にて開催。
■在廊予定日:9月4日(土)、5日(日)

←「母子像とザクロ」2010年
 油彩、キャンバス 116.7×91.0cm

片桐翠の絵の魅力は色の明るさ、美しさ、イメージがくっきりして明快なことなどいくつもあるが、私が面白いと感じるのは線である。と言っても彼女の絵はきっちり色が塗り込められているので、線は色面と色面の境界として色に埋もれている。その埋もれた線の不思議なゆるさ。
それに時にバラの花びらのようにきちんとしたS字や孤線を描こうとする素振りを見せるが、どこかでばらけ、くねり、開き、それる。そこからにじみでる「ゆるみ」がフラットに近い色面で作られる絵に、空間とはまた違う、ゆがみ、ゆらぎを生んでいる。一見イージーに見える絵がなかなかに強く、人の目をそらさせないのはそのゆるさ、ゆがみ、ゆらぎの隠された底力なのだろう。(大倉 宏)

 


 
西村満「北の浜スケッチ」展

2010年9月12日〜9月20日

企画 小見秀男
 

「河口近く」

西村 満(にしむら みつる)
■ 1935年長岡市生まれ。58年新潟大学教育学部美術科卒業。67年日展初入選。68年光風会展初入選。78、80、85年安井賞展入選。89年「新潟の絵画100年」(新潟市美術館)、90年「浅井忠記念賞展」(千葉県美術館)、97年「にいがたアートナウ1997」(新潟市美術館)、2004、06年「新潟の作家100人」(新潟県立万代島美術館)、09年「記憶のかたち」(新潟県立万代島美術館)出品。光風会会員、新潟県美術家連盟参事。新潟絵屋で01年1月個展「北の浜シリーズ 」を開催。

←「河口近く」2003年 インク、紙(彩色前)25.8×36.5cm

西村さんは1970年代以降、時代とともに姿を変えていく北の浜を記録し、記憶の風景として描き続けてきた。今にも朽ち果てそうな船小屋や砂浜や枯れ草しか描かれない、ほとんどモノクロームに近い風景だが、私にはとても神々しくみえる。もしかしたら、西村さんもロマン派の画家たちのように「北の浜」を神々の領分と見なしているのかもしれない。本画ではデフォルメされて、「架空の風景」として描かれて発表されるが、今回は本画の参考に現場でとられた膨大なスケッチからアトリエでまとめたサインペンによる「北の浜」の展覧会。西村さんの詩情に満ちた風景が最初は奔放な線による「実風景」から生まれていることがわかる。時代にどんどん奪われていく既視感に富んだ「神の領分」への作者の愛情の記録としてもかけがえのないものだ。新潟絵屋では2001年の春以来の個展となる。(小見秀男)

 


 
村井勇写真展 ロオリング

2010年9月22日〜9月30日

企画 大倉 宏
 

村井 勇(むらい いさむ)
■ 1961年東京都生まれ。88年より製作開始された記録映画『阿賀に生きる』で撮影スタッフを務める。担当はスチール写真。93年、長野県南佐久郡にて記録映画『地域をつむぐ――佐久総合病院付属小海町診療所から』に撮影助手として参加。映画撮影終了後、単独で南佐久のお年寄りの姿を撮り続け、97年に新潟市万代リターナにて初個展「ぼちぼちいこか」。その後、98年長野、99年神戸、京都で巡回展を開催。新潟絵屋では2000年9月「泪目小路の猫」、2004年12月「誰のせいでもない雨」を開催。2002年3月より新潟日報社発行のフリーペーパー「assh」の表紙写真を担当する。

←「2010年 カラー 17.2×17.2cm

このバスの写真を見た時、私は勝手に弥彦か角田か、白馬か富士山か、とにかくひどく高い山のてっぺんだと思い込んだ。墜落して深い海底に沈んだ飛行機が、深海魚のアパートとなるように、山頂に上ってしまったバスは、山上の住民たち(って誰かなぁ?)から手すりのついたスロープをつけられ、居心地のよい集会所として愛用されているふう。楽しげな声や笑顔が、聞こえる。見える。
そんな思い込みを通して見た風景は、<異>なはずのものなのに、そう感じさせない。開いたドアからお風呂場にスーツが掛けてあるのがちらっと見えるような、日常をさりげなくよぎる「あれ?」と感じる一瞬を、すーっと切り取り置いてあるよう。事件が事件として突出せず、坦々とした時の流れにそっと埋められている気配。そのことで起こっていることは、逆にソフトに、深く記憶に入って、残る。
そこが村井勇の写真の魔法、とても不思議な語り口、倍音だと思う。(大倉宏)

 


 

日本酒の会 ―長者盛編―
こんぴら通り・吉川酒店さんとの共同企画で、蔵元ごとに旬の日本酒を利き酒する会。今回は小千谷市の長者盛を特集します。
9月25日(土)18:30〜
「村井勇写真展 ロオリング」開催中の展示室にて
会費:2,500円(定員12名/要予約/お早めに)
申し込み:新潟絵屋 025-222-6888 or E-mail



“El salon EYA TANGO!!”
アルゼンチンタンゴをたのしもう
7月30日(金)19:00
アルゼンチンからの旅人ラウラさんとマルティンさんを迎え、
約20人がタンゴを体験しました。
写真はふたりがタンゴを披露した一幕。

8月14日 新潟絵屋夏の恒例イベント絵屋宵ライヴが今年も開催されました。>>>>
4組がオリジナル曲をライブ演奏し、出演者も観客も一体となって歌の世界に沈み、ときを過ごした。壁面に映し出した写真スライドが歌への扉であったような気がしている。来年の一期C会に期待。(I)

N氏コレクション展 part7
     オマージュ アトリエ我廊
2010年8月10日〜15日 新潟市美術館 市民ギャラリーで開催されました。>>>>

月刊 My-Skip(マイスキップ)9月号(vol.116)
今月の企画特集面は生誕100年を機に長岡生まれの画家の足跡をたどる
佐藤哲三の肖像    (文:小見秀男)
梅原龍三郎をして「日本の青年で君以外に大きな望みをもてる人を知らない」とまで言わしめた画家・佐藤哲三(1910-1954)が、長岡市長町に生まれたことは案外知られていない。彼は新発田を拠点に北国の風景を描きつづけ、日本の近代絵画史に独自の地歩を占めている。そこで佐藤哲三の生誕100年を機に、彼の研究で知られ、先年県立万代島美術館で開催された佐藤哲三展の企画を担当した小見秀男氏に案内いただいた。

絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代のはみだし連載コラム
タシロ便がゆく ―ふと見た暗がり編 その5
さて、新潟絵屋が建っていた並木町はどうなのだろう。今となっては、もうどこに何が建っていたのか記憶はおぼろ。しかも真新しい広々した道路の存在の生々しさを前にすると、かつての絵屋があった場所ですらおぼつかない。数年前までは毎日のように通っていた絵屋だけど、自分にとって見慣れた風景になりかけた頃に、この界隈丸ごと、ごっそり変わり果ててしまった。(つづく)。
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)

   

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