2011年3月


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華雪書展『十二』

2011年3月2日〜10日

企画 井上美雪
 

華雪(かせつ)
■ 1975年京都府生まれ。書家。92年より個展を中心に活動を続け、篆刻作品も多い。刊行物に『書の棲処』(赤々舎)、『静物画』『石の遊び』(平凡社)など。書籍の題字も多数手がけ、最新のものに「戦争×文学」(2011年6月/集英社より刊行予定)のがある。近年の新潟での個展に08年10月「刺心」(新潟絵屋)、09年5月「刺心」(二宮家米蔵)、「刺心の跡」(新潟絵屋)、10年5月「劇」二宮家米蔵)、10年11月「日」(F/style)など。そのほか09年8月「跡」(haco+haco分室/神奈川県葉山+栃木県那須)、09年11月「跡」(gallery360°/東京)、10年10月「わたしふね」(gm ten/東京)など。東京都在住。
http://www.kasetsu.info/index2.html
http://www.kasetsu-book.com/

←「一何処帰」2010年
  ひとつ、いずれのところにか帰する

 昨年、毎月一点ずつの書を華雪さんに制作していただいた。それらは絵屋便の表紙に連載し、12月には十二点が集まった。「貌」が一番目で、「わたし」が十二番目。その間に十の字がある。字はあらかじめ十二点を決めたのではなく、ひとつづつ選んでいったのでスリリングでもあった。振り返ると、迷路にいて、ときどき広場に出てはまた道に迷うような時間だった。十二の広場に出くわした。わたしは華雪さんが次に選びとる字が何かを見たくて、それまでに辿った道筋に何度も行き当たりながら迷い道を彷徨った。迷路は華雪さんだった。このシリーズでは、迷いながら生き、字によって開かれていく華雪さんを間近に見つめた。
 連載では登場せず、けれどそれが始まり終わる一年以上の間、華雪さんのアトリエにあったのは「あかるみ」の書であったという。十二点の書とその周辺のあれこれがひとつの空間に集まる。(井上美雪)

同時期開催「栗田宏 点 華雪」
2月18日(金)〜3月21日(月・祝)
会場:砂丘館

 


 
厚地富美子 木版画展

2011年3月12日〜20日

企画 小見秀男
 

厚地富美子(あつじ ふみこ)
■ 1936年島根県松江市生まれ。47年より新潟市に住む。75年新潟市中央公民館の年賀状講座に参加し木版画を始め、鈴木力氏の指導を受ける。新潟市市展市長賞、新潟県展県展賞(2003年)、奨励賞(86、96、00年)を受賞。08年たけうち画廊、10年ギャラリー十三代目長兵衛(柏崎)で個展開催。グループ展「遊」出品。

←「卓上の静物 1」2008年 木版画 55.0×38.0cm

 厚地さんの作品に最初に出会ったのは二十数年前、市展で市長賞を受賞した魚がモティーフの色彩豊かな作品で、とても魅せられた事を今でも憶えている。その後も折にふれて作品を拝見してきたが、身近な人形や壺や鳥の置物や果物を題材にした作品は、いずれも細部にこだわらず対象の形を省略、強調した個性的な表現で、「豊かなる単純」と呼びたいカラーフィールドプリンテングの世界が表現されていた。色数は少ないが、その配置が絶妙で色数以上の色彩効果を生んでいるのも厚地さんの木版画の特質だ。手直しのきかない木版画の一回切りの刷りの潔さが好きで体質に合うから35年間も続けられたと厚地さんは言う。
 楽しみながら刷られた作品は作者の人柄のようにおおらかな感情を漂わせて見る人の気分をきっと楽しく、リフレッシュしてくれる筈だ。(小見秀男)

 


 
中島佳秀展

2011年3月22日〜30日

企画 大倉宏
 

■中島佳秀(なかじま よしひで)
■ 1975年京都市生まれ。サウンドアーティスト、アーティスト、グラフィックデザイナー。サウンドアーティストとして、ライブパフォーマンス、インスタレーション、テープ作品の発表を行なう。2008年より個展を中心に平面作品の発表も行う。08年6月「魚と足」(iTohen/大阪)、9月「海辺/浜辺」(森岡書店/東京)、09年1月「Esquisse Landscape」(shin-bi/京都)、7月「Sick Node #000」(pantaloon/大阪)、12月「sn#001 sounds & places」(shin-bi/京都)、10年3月「平らな場所」(新潟絵屋)など。
http://www.yshdnkjm.com/

←「無題」2009-11年 ミクストメディア、紙
  26,0×37.0cm

あーとぴっくす
「「生きる」本能の胎動を描写」大倉宏
 昨年の絵屋での初個展中、中島さんは画廊に来た人(ほとんどが初対面)とよく話をした。それを離れて聞くのが好きだった。丁寧な応対なのだが、どこか度を超えた感じがあり、それがいいのだった。よくものを知り、考えている彼が、言葉を口にすると、それらが冷たい知識や思考であることを越え、ぐつぐつ沸騰音を響かせる。デザインをなりわいとしていた中島さんが、いきなり描きだした絵にも、同じ沸騰音があり、私は引かれたのだ。
 東京から大阪に引っ越すと宣言し実行した彼は、一年足らずでまた東京に戻った。私が電話したときは慌ただしさの最中で、新作も結局見ていない。しかしそれでもいい。その大きな身体からこぼれ出すもので、新潟絵屋を濡らし、燃やし、汚し、壊し、弾ませてくれるなら。(大倉宏)

 



エッセー 「水沢パンまで65歩」

 絵屋便1月号で表紙「エヤノヨウカイタチ」の被写体となったのはエントランスの電燈であった。
 その電燈の下、たたきを降りるを一歩として、上大川前を下町(しも)に向かい約65歩のところに「水沢パン店」がある。おじさんひとりとおばさんふたりで営むパン屋さん。ショーケースのアルミトレーやパンを納める木箱、ソロバン、見えるものの随所に時間の厚味が感じられる。何を買うかいつも考えないで、65歩目にいつも悩む。サンドウィッチ、3色パン、ドーナツ、カステラパン、アップルパイ…etc。帰りはまた別なことを考えている。(井上美雪)
※新潟絵屋界隈は古い家並みが残っており町歩きにおすすめです。

水沢製パン所
水沢製パン所 水沢製パン所
新潟市中央区上大川前通10番町1870
6:00〜夕方(なくなり次第終了) 定休/土日祝 
昭和9年創業の老舗のパン屋さんです。
            おすすめは三色パン(140円)→
水沢製パン所・三色パン

  BABY-GRAND
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タシロ便がゆく

絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代の12ヶ月
タシロ便がゆく ―草猫が詠む編 その3
雛壇を見てゐる父の背中かな 草猫
砂丘館に展示された雛壇の前に、若い夫婦がいる。まだ女子大生のような妻は、解説書に夢中。夫は、背中で眠ってしまった小さな娘のために、揺れながら黙って雛壇を見つめている。
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)

   

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