2011年2月


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3000 Prayers - 光の宮殿 アンティエ・グメルス展

2011年1月22日〜2月6日

企画 大倉宏
 
3000 Prayers - 光の宮殿


↑2010年 5.0×5.0cm ミクストメディア、ミラー、金、銀、ラインストーン/キャンバス

Antje Gummels(アンティエ・グメルス)
■ 1962年旧西ドイツ、レーゲンスブルグ生まれ。78年イタリア、サンレモへ移住し各国アーティストと交流。87年に来日し新潟県巻町(現新潟市)に住む。麻布工芸美術館(東京、92年)、創庫美術館(新潟、92、94年)、北方文化博物館(新潟、96年)、ストライプハウス美術館(東京、98年)、新潟絵屋(2001、05、07、09年)、砂丘館(07年)、アートフロントギャラリー(東京、05年)、画廊Full Moon(新潟、05年)、ギャラリーARKA(ウラジオストック、07年)、ギャラリー128(New York、07年)、中之沢美術館(前橋、08年)、ギャラリーアートコンポジション(東京、08年)、游文社(新潟、10年)で個展。大地の芸術祭2009に出品。

あーとぴっくす 「3000枚の絵 気高い空間創造」大倉宏
 アンティエ・グメルスの仕事場の方々には、古い仏画が置かれている。チベット辺りのものらしく、どれも細密で、不思議な仏たちの姿が描き込まれている。雲に乗った女神たちの陰部から、風か、光のようなものが流れ出している絵もあり、見つめていると強い生命力を感じる。
 光の宮殿を構成する今回の3000枚の絵も、平行して制作される大作にも同質のエネルギーが通う。彼女が仏画から影響を受けているのではなく、どちらも、人の心身の奥底にある共通する感覚から紡ぎ出されたヴィジョンだからだろう。
 多くの宗教の根源には、きっとそのような―いま、ここで、アンティエ・グメルスというプリズムに析出され、奔流のように流れ出すものの源流、個という井戸を下りつめた底の広がり、深みに掉さす感覚の体験があるに違いない。「図像化」で蓋される前の、体験の海にじかに開かれたものが、彼女の絵にも、それらの仏画にも波打ち、浜辺に立つ私を、私たちを揺するのだ。(大倉宏)

 


 
林哲夫展

2011年2月8日〜2月17日

企画 大倉宏
 

林哲夫「麺麭」

林哲夫(はやし てつお)
■ 1955年香川県生まれ。武蔵野美術大学油絵科卒業。79〜80年渡欧し英仏に滞在。画業のほか、装丁家、古書愛好家、エッセイスト、評論家としても活躍。書物同人誌『ARE』(94〜98年)、『sumus』(99年〜)を編集。近著に『古本屋を怒らせる方法』(白水社)、『読む人』(スムース文庫)、『歸らざる風景―林哲夫美術論集』(みずのわ出版)。他に『林哲夫作品集』(風来舎)、『古本デッサン帳』(青弓社)、『喫茶店の時代』(編集工房ノア、第15回尾崎秀樹記念大衆文学研究賞受賞)等。
http://www.geocities.jp/sumus_livres/
http://sumus.exblog.jp/

←「麺麭」2010年 油彩、キャンバス 22.0×27.0cm

■作家在廊予定日:2月10日(木)夕方〜2月13日(日)

 林哲夫の絵を、絵屋の土壁の前に置いたら、絵がその土から浮かび上がってきたように見えた。
 一昨年の水と土の芸術祭での、各地の土や砂を小瓶に詰めた作品に接し、様々な色の土に、けれど土特有のトーンがどれにもあることを感じた。林の絵特有のうすい色調は、その土のトーンに似ている。さらに言えば一人一人違う、けれど共通するもののある、人の皮膚のトーンにも通じているようでもある。
 精密に描写された白布の上のパンも、銀の匙も、古書の表紙も、パンや匙や古書であって、細かい粒子に溶解していく土や砂、あるいは触れることが、触れられることでもある。感触の交流点としての皮膚を感じさせる。もろく、はかない時空のなかで、もろく、はかない人が、何かに触れ、何かを感じ、感じ合う。
 静物や町の一面が、力強くも堅固でもない回路を通って、そのような回路だけを通れる息や、ひそかな体温を届ける。そんな彼の絵が、とても好きでいる。(大倉宏)
小さなお茶会―林哲夫さんを囲んで
●2月11日(金)15:00〜
料金:500円(お菓子付)/定員:10名/協力:日本茶インストラクター協会/お申し込みは新潟絵屋まで

 


 
松本健宏 ?染め展「人生について」

2011年2月19日〜2月27日

企画 伊藤純一
 

松本健宏「誕生」

松本健宏(まつもと たけひろ)
■ 1967年京都府生まれ。京都精華大学テキスタイル科卒業後インテリアデザイナー経験を経て、6年間丹後伊根の舟屋へ通い染色作品の連作を続ける。1999年京展工芸部門京都市長賞、99年、2000年、06年、07年、08年、日本新工芸展NHK会長賞・日本新工芸賞・日本新工芸会員賞。04年〜京都を中心に個展活動、10年夏から山奥の民家を譲り受け京都市内から通い、山の暮らしと都会の暮らしとを続ける。京都工芸美術作家協会。

←「誕生」2010年 酸性染料、白山紬 23.0×15.0cm

■作家在廊予定日:2月19日、20日、26日、27日

あーとぴっくす
「ろう染めで描く心象の風景」伊藤純一
 約3年ぶりの絵屋での個展。この間に父を亡くしその2ヶ月後に長女を授かるという、短期間で生と死を共に考え儀式を体験した松本さん。日本人の魂の深いところに刻まれた記憶が蘇る作品を作りたい、と創作活動を続ける松本さんにとって、この時期の思いはどの様なものだったろうか。制作のテーマは、「通過儀礼」(2010年5月/京都)、「人間について」(2011年1月/金沢)を経て、今回「人生について」と変遷してきた。
 「現実から目を背ける事無く、時には過去の通過点を思い出し、人生の、この今の素晴らしさを感じていただけたら」と松本さんは語る。奇しくも前回の個展最中に父を亡くした私だが、今回の作品が私の心にどの様に刻まれるか楽しみである。(伊藤純一)

 


 
 
渡辺隆次展

まちの本屋さんで展示を企画しています。
渡辺隆次展
独自の観察眼から画業に加え、文筆活動も行う画家・渡辺隆次さんの絵と著作を紹介します。
1月27日(木)〜2月27日(日)
北書店 (新潟市中央区医学町通2番町10-1-101)


森田花壇

絵屋宵ライヴ presents 「森田花壇の日」
2月28日(月)open19:00/start19:30(21:00終了予定)
1,000円(要予約)
温かいお飲物をご用意いたします。


「二〇〇〇年 DOS MIL」

「二〇〇〇年 DOS MIL」
パブロ・ネルーダ 著
吉田加南子 訳 / 竹久野生 版画
A5判上製64頁 1,260円(税込)

「竹久野生・吉田加南子展」
(2010年9月2日〜10日)開催時に進行中だった詩画集が、その後2010年12月に未知谷より刊行されました。新潟絵屋に見本をご用意いたしますのでご覧下さい。書店にてお取り寄せが可能です。


絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代の12ヶ月
タシロ便がゆく ―草猫が詠む編 その2
寒林に叫び続けし一羽かな 草猫
冬枯れの風景の中、鵜が一羽鳴いている。それに応える声はない。また二声ほど鳴いてはじっと応えが返ってくるのを待つ。もういい加減あきらめてしまえばいいのに。鵜は鳴きやまない。応える声はまだない。
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)

   

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