2011年11月
 

2011年10月の絵屋

2011年12月の絵屋

  新潟絵屋あんない 作家INDEX Blog  

 
吉永晴彦展

2011年11月2日〜10日

企画 大倉宏
 
吉永晴彦「settlement」

吉永晴彦(よしなが はるひこ)
■ 1980年東京生まれ。2005年武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻版画コース修了。03年よりギャラリーなつか、ギャラリーゴトウなどで個展。「トーキョーワンダーウォール2007」(東京都現代美術館)「あおもり国際版画トリエンナーレ2007」(国際芸術センター青森/ACAC賞受賞)11年「バワン国際版画ビエンナーレ」(国立バワン美術館・インド/名誉表彰受賞)出品。東京都在住。

←「settlement」2009年

 蜂蜜で描かれている。
 吉永晴彦の絵を見て、そう思ったのは、厚く浮き出た半透明のとろりとした質感の絵具のせいだけでなく、一見グラフィックな外観の画面から、目だけでなく、思いがけず、嗅覚や味覚まで反応したからだ。
 強い、声高な絵ではない。そのような絵は、目に直進し、そのまま裏口から出て行くことが多いけれど、吉永の絵は、どこか柔らかい角度で差し入り、網膜の襞の奥、細い迷路のような廊下に忍び入り、まぎれ込み、耳や舌や鼻や内臓あたりまで、ゆったりしみ入ってくる。
 たった一度見た絵が、半年たっても、一年過ぎても思い出される。そうなってようやく、どこか手がかりのないように見えた吉永の絵が、好きだったのだと気付く。奥ゆかしい、この時間差もとてもいい。
 絵好きの人たちにひそやかに、見てほしい、新潟での初の個展。(大倉宏)

 


 
眞島美代子展

2011年11月12日〜20日

企画 小見秀男
 

眞島美代子「白と黒の線刻文香呂と家のオブジェ」

眞島美代子(ましま みよこ)
■ 長岡市生まれ。2006年「みよしの窯」(長岡市)開窯、陶芸教室を始める。日本現代工芸美術展入選(08、09、10年)、日展入選(08、09、10年)、第46回現代工芸新潟会展県知事賞(08年)、第64回新潟県展奨励賞(09年)、第50回日本現代工芸50回記念展現代工芸賞(11年)受賞。グループ展多数開催。現在、日本現代工芸美術家協会会員。

←「白と黒の線刻文香呂と家のオブジェ」2011年

 眞島さんが物づくりの魅力に目覚めたのは、以前の職場で目にしていた体験の影響が大きい。アイデアが人の手を通して未知の形が生まれていく過程に魅せられた。その時の素材は金属だったが、その後、自らの手で物づくりを志して、眞島さんが選んだのは、形、それも立体がつくれる土だった。どうせなら人のやらない事をと思いながら制作を始めて20年になる。彼女は日常、器形を焼くが、制作へのこだわりは一言、「使い勝手よりデザイン重視」。自らの器形を、「フリーカップ」と呼び、食器にも、花器にも、身辺の装飾用にもと、一つで多様な用途に応えられる作品づくりを目指している。だから、実に多彩で多形な器形が用意されることになる。「陶芸だよね、陶器だよね」の言葉で
一括りにされる、従来の器観からの器の解放、それが眞島さんの目標なのだ。彼女は、土の立体造形作家でもある。バラエティに富んだ器形の数々に加え、構成的に造形された展覧会出品作も展示される。(小見秀男)

 


 
鈴木佳尚展「DREAM FLOWER」

2011年11月22日〜30日

企画 旗野秀人
 

鈴木佳尚「777」

鈴木佳尚(すずき よしひさ)
■ 1967年岩手県盛岡市生まれ。92年映画「阿賀に生きる」東京上映委員会参加。その後、新潟との縁が深まり、新潟・文化批評誌「風だるま」(文化現場)、月刊「ウインド」(シネ・ウインド)にイラスト掲載。98年ARTBOXイラスト準新人賞受賞、個展は、01年8月「絵屋ニ居リマス」展、04年8月新潟絵屋「越後一画」展、10年岩手県湯本美術展示室「イノチノカケラ/鳳凰旅順」展など。

←「777」2011年 アクリル キャンバス

11月21日(月)18:30〜
鈴木佳尚展オープニングプレ小酒宴
翌日の初日には盛岡へ帰らねばならない鈴木さんと、絵に囲まれて交流のひとときを…。定員なし。ただしメール又は電話で新潟絵屋までお申込ください。
 「いい人スズキさん」と、みんながそう呼ぶ。映画「阿賀に生きる」からの付き合いだから、かれこれ20年になる。絵屋での開催は今度で3回目。盛岡に住むスズキさんなので、震災後のこともあって開催を心配したのだが、予定通りやりますとの返事。間もなく、なにやらタイトルが送られてきた。

「DREAM FLOWER」
 最初、震災後のボランティアに行き、隣町での翌朝、生き物の光景が美しく、それを心象的に描けたらと思いました。凛根天生(輪廻転生のあて字)…。
 ところが、オノヨーコ氏の「DREAM」というメッセージが、目に飛び込んで、私の何かに強く訴えました。そう、もし、あなたが大切な唄を忘れそうなら、見えない誰かの希望とともに、美しい花となり、再びその唄をうたいはじめられたら、と。祈りをこめて。

 震災後のスズキさんの正直な言葉と作品であろうと思う。やはり「いい人スズキさん」なのだ。(旗野秀人)

 


  

まちの本屋さんで展示を企画しています。
佐佐木實展展 2011年11月2日(水)〜30日(水)
このような書の世界があるとは…。わたしは驚き、魅了された。「ぐうたら」「御水」「国籍」「生野菜」「なまけもの」…etc、新作のタイトルを聞いて、気持ちは高ぶるばかりである。(井上美雪)
今回は書店に佐佐木さんの本にまつわるインタビューをパネル展示しています。お楽しみに。

北書店 (新潟市中央区医学町通2番町10-1-101)


BOOKLORE フェア 10月2日〜11月30日

長野・きぎ工房の小物展 12月2日〜20日

 

タシロ便がゆく

絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代の12ヶ月
タシロ便がゆく ―草猫が詠む編 その11
冬空や雪にならんと急に暗 草猫
ドイツ生まれのアンティエ・グメルスさんに言わせると、あちらの冬はもっと暗いそうだ。でも新潟の冬の暗さは湿気と風をともなった独特の、、何とも言えない重さがある。自転車のペダルを必死にこぐ。雪が落ちてくる。重たい空が落ちてくる。冬のはじめの空は真冬よりも暗い。

タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)

   

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