2010年12月


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―うつわから<空間>へ―  中村卓夫展

2010年12月2日〜12月10日

企画 大倉宏
「器になるコトをやめたうつわ」

中村卓夫(なかむら たくお)
■ 1945年金沢市生まれ。78年父・中村梅山に師事。90年
和光アートサロン、91、99、2003、07年 和光ホールにて個展。2004WEDGWOOD アートコレクション「ジャパネスク」シリーズ製作。06年「大地の芸術祭越後妻 有アートトリエンナーレ2」に出品。ほか個展・グループ展多数。作品所蔵、メトロポリタン美術館(ニューヨーク)、金沢21世紀美術館。

←「器になるコトをやめたうつわ」2010年
 W35.0×L20.0×H17.0cm
 W34.0×L15.5×H18.0cm

あーとぴっくす
「伝統に鞭入れ 現在に跳躍」大倉宏
金沢の町中にある中村卓夫の仕事場兼自宅で驚いたのは、吹き抜けの間の中空に、いきなり上階の床の接することで、玉を転がせば、そのまますとんと落ちる造りであった。
内藤廣設計のその現代建築に住むことを意志したのは、中村自身。素材や細部でなく、面に囲われ、切られた空間を絶えずつきつける家と対峙することで、優れた陶工であり師でもあった中村梅山の仕事を受け継ぎつつ、壊す、という二律背反的課題を自らに打ち込もうとしたのだということが、話を伺ううちに分かってきた。
近年のシリーズ「器になるコトをやめたうつわ」は、茶碗や皿や花器というモノを入れる器が、土肌や姿や釉薬や模様という表面から、放たれ、それらが囲む「うつろ=空隙」を見るものに強く意識させる。けれど追求されるものが「空間」、それだけならそれは建築に、あるいは現代美術になるのだろう。
「器になるコトをやめ」ても、それはなお「うつわ」である。切れてもなお続くということ。上階の床が、吹き抜けで切れても、手すりや壁に遮られることなくなにもない宙空に続くように。伝統工芸を転がしても、現代美術を転がしてもすとんと落ちる床を、けれどころころそのまままっすぐ転がっていくなにか。
そのなにかを、彼は探ろうとしている。(大倉宏)
 
同時開催 

特別展示 中村卓夫

 2010年12月1日(水)〜12日(日)9:00〜21:00(12月6日は休み)
 
砂丘館ギャラリー

 


 
井田英夫展

2010年12月12日〜12月20日

企画 大倉宏
 

「鏡の中」

井田英夫(いだ ひでお)
■ 1975年旧新津市生まれ。97年新潟デザイン専門学校卒。1999年モンセラート美術大学(アメリカ、マサチューセッツ州)卒業。ミンゴーギャラリー(マサチューセッツ州)で二人展。02年3月、04年11月、06年2月、07年12月、09年4月新潟絵屋、05年ギャラリーEMU-stで個展開催。2007年春以来、久留米市在住。

←「鏡の中」2010年 油彩、キャンバス 41.0×31.8cm

井田さんの新潟絵屋での個展はこれで6回目。
8年前の初個展ではまだ20代だった彼も、30代半ばになったが、井田さんの絵も、人も、そう変わらない。いや、多分いろいろ変わってはいるのだが、根本が変わらない、と感じる。その変わらない人に、絵に私は強く引かれ、魅せられているのだと、この頃気づく。
井田さんはただ見て、描く。その「ただ」がいい。人体デッサンをする人も、静物を描く人も、みなただ描いているように見える。でも本当にそうなら誰もが井田さんみたいに、洗濯機や炊飯器や鏡の前の消臭スプレーや剥かれたオレンジの皮を、描くだろう。そうしないのは、やはり大概の人がやはり「絵」を、それぞれの絵のイメージをどこかでなぞっているからだ。井田さんにはそれがない、とまで書くと過ぎるとすれば、それが薄い。イメージより、目の前のものが、たまたま彼を動かす。絵らしいかそうでないか考える前に、彼は描く「ただ」。
もちろん彼は彼なりにいろいろ考えているはずだ。だが絵を見ていると、考えより先に見て、描く、その「ただ」の方が届く。その感じが変わらない。
新潟から久留米へと場を移しながら、そのただを掘って次第に深まってきた穴に、透明な、呼吸する色が、雲に、雨に、隣家の壁に向かう目の誠実なリズムが、宝石の原石のようにこぼれてくる。(大倉宏)

 



1月の
新潟絵屋
 08日(土)〜16日(日) オークションその4
 22日(土)〜2月6日(日) アンティエ・グメルス展

INFORMATION
新潟絵屋の企画について

 

NPO法人化に伴い、会員が3種類になります。
     正会員     年会費 5,000円
     個人賛助会員  年会費 5,000円
     法人賛助会員  年会費10,000円
  
入会金はいずれも不要。正会員は新潟絵屋の総会に参加でき議決権を有します。

入会方法
■直接絵屋でお申し込みください。郵便振込もご利用になれます。その場合は、郵便振替口座〈新潟絵屋00510-6-61917〉へ住所・氏名・電話番号・入会希望・会員の種類をご記入のうえ、会費をご入金ください。
■会員には1年間有効の会員証を発行します。この会員証の提示により1企画1作品に限り購入が1割引、絵屋で行われる有料の催しが2割引になります。また、コーヒーも無料サービスいたします。どうぞご利用ください。
■更新期間内に継続手続きをされた「継続会員」の方は、会員証の提示により作品購入時に1000円割引(1回のみ)いたします。
■これまでの会員は、引き続き個人賛助会員とさせていただきます。
■常時カンパ(運営協力費)も受け付けています。
※郵便振込でご入金の方には、次回の絵屋便と一緒に新会員証を送付させていただきますが、手続き確認時に会員証を作成しますので、直接絵屋でもお渡しできます。

 


10月31日(日)

オーボエ・ギターによる南米の世界
 川又亜百美(オーボエ)
 川又聡(ギター)

それぞれの音色が解け合い、優しく温かな雰囲気に包まれました。(浅井)



続々と新しいアイテムが入荷しました。

まちの日々180 第3号「本のある場所」(税込525円)
 北書店の佐藤さん/本のある場所それぞれ/北光社/ほか

二十四節気七十二候カレンダー(税込1,890円)
 古代中国から日本に伝わった美しい七十二候の言葉を書家の華雪さんが書き下ろしました。
 七十二候解説・月の満ち欠けアイコン付。2011年1月1日(冬至)〜2012年2月3日(大寒)まで

BABY GRAND
 デザイナー・長原啓さんの小物を取り扱っています。
 秋冬の新作:しおり・ペンケース・ボタン・ネクタイ・メタルフラワー

茶柱 1stアルバム「あい」 \1,000
<収録曲> 1.夢のオハナシ/2.コーンポタージュスープのおまじない/3.波打ち際のように/4.オルゴール/5.おじいさんとおばあさん

茶柱と出会ったのは2008年。以来、私達の画廊でのライブに毎年出演をお願いしている。アルバムを聴き、画廊で作品を見つめるときのように、歌によって自己の内側世界へと運ばれた。素晴らしいのは、その幸福感が外側にも及ぶこと。聴き終えて、私から笑みがこぼれていた。理由はきっといくつもある。ひとつ挙げるならば、メンバーが互いに寄せ合う肯定的な関係性を歌に感じたから。それは年々強くなってきたように思う。素敵な歌が生まれてくる、素敵な4人組だ。(新潟絵屋運営委員 井上美雪)


絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代のはみだし連載コラム
タシロ便がゆく ―ふと見た暗がり編 その8 最終回
久しぶりに八王子の夢をみた。夢の中の踏切は遮断機がずっと降りているが、電車が走っているのをみたことがない。うす闇に生白い人影が、ちらほら遮断機が上がるのを待っている。踏切の脇には八百屋があって、柿なのか蜜柑なのかよく解らない果物が裸電球の光にてらてら輝いている。今はない並木町界隈も誰かの夢の中で静かに息をひそめているのだろうか。(終)
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)

   

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