2010年11月


2010年10月の絵屋

2010年12月の絵屋

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小島我乱 日本画展「花と樹」

2010年11月2日〜11月10日

企画 大倉宏
小島伽藍「縄文杉―古の静寂」

小島我乱(こじま がらん)
■ 1958年名古屋市生まれ。本名敏裕。中学進学を前に白士会の加藤正音先生に師事。白士会会友、中部清新美術会創立会員となるも、住所移転により現在は団体展への出品は休止中。82〜83年イタリア留学。95年、2001年名古屋丸栄デパート、96年東京銀座「風童門」、2000年トミオカホワイト美術館ギャラリー、八海山地ビール館、01年、03年北方文化博物館屋根裏ギャラリー、05年新潟市ジョイフル2ギャラリーで個展。08年4月新潟絵屋で個展。1998年より新潟市在住。

←「縄文杉―古の静寂」2010年 日本画 160×160cm

あーとぴっくす
「実物を超えるリアリティー」村木薫
屋久杉を描いた新作の前で小島我乱さんと少し話した。描かれた枝のいくつかは今はなく、折れた枝の年輪だけで千年。数十倍はある幹の樹齢はどれほどだろう。緑の大半は巨幹に寄生した落葉樹の葉だという。杉の葉はその蔭少しだけ見えている。
小島さんの描く巨木は、とほうもない時間のなかでそんな「どうしょうもない」ものやことの束を膨大に抱え、解決や収拾をとうに放り、耐え、ため息とともにそこにあるようだ。
小島さんの花と樹の、そんな不安を誘う、魅力的な暗さが、「美しい日本画」から絵を微妙にずらしている。それは見える花や樹の向こうに、見えない根の暗さを、闇の速さをかぎとる、小島さんの嗅覚から発しているのだろう。(大倉宏)

 


 
小磯 稔 うるし絵展

2010年11月12日〜11月20日

企画 大倉宏
 

小磯 稔「カタクリ」

小磯 稔(こいそ みのる)
■ 1937年、東京都生まれ。東京芸術大学美術学部工芸科(漆芸)卒。4年次に安宅賞、卒業制作(漆芸飾棚)でサロン・ド・プランタン賞。60年日本コロムビア入社。その後東京芸大、大妻女子大講師を経て、77年新潟大学教育学部助教授(83〜2000年教授)。現在、新潟大学名誉教授、新潟県文化財保護審議委員、新潟市景観審議会会長等。2003年10月、2006年10月新潟絵屋、05年羊画廊で個展。

←「カタクリ」2010年 漆絵 22.0×27.5cm

あーとぴっくす
「光沢の魅力伝わる漆黒世界」小見秀男
小磯稔さんは長く新潟大学の美術科で、工芸の歴史や実技を教え、定年で退官されてから、漆の作家になった。その小磯さんの作品を絵屋で紹介するのも三度目。今回は平面に植物を描いた「うるし絵」が中心の展示。
漆は職人の仕事で、技術は最初から高度だから、深化があったとしても素人の私には見分けがたい。仕事場を訪ね、出品作の幾つかを拝見し、鏡面のように磨かれた黒漆の板の美しさに、今更のようにしかし心を奪われた。数回重ねた漆下地上に黒漆の層を幾重にも重ね、37もの工程を経て仕上げられると聞き、感心しつつも、説明はすぐ頭から消え、ただただ黒の美しさに見いるばかり。妙なる楽の音の響く明るい極楽に、光からも、音からも放たれる静寂の夜があるなら、その闇はこんな色ではないか。あたたかい金色線に隈取られた花々は優しい。そんな職人の極楽の夜に咲く、枯れることを知らぬ命のようだ。(大倉宏)

 


 
「帰りたい風景」三人展 浅見哲一・古田恵美子・森本秀樹

2010年11月22日〜11月30日

企画 御子柴 大三
 
浅見哲一「流れる夜」 古田恵美子「夏の或る日」 森本秀樹「夜の海」

浅見哲一(あさみ のりかず)
■ 1953年秩父市に生まれる。83年現代童画展出品新人賞。著作に詩画集『独想曲』がある。

「流れる夜」2010年 油彩、キャンバス F6号

古田恵美子(ふるた えみこ)
■ 1950年北海道滝川市生まれ、千歳育ち。武蔵野美術短大油絵専攻科卒。90年初個展。

「夏の或る日」2010年 油彩、キャンバス 40.0×40.0cm

森本秀樹(もりもと ひでき)
■ 1951年愛媛県宇和島市生まれ。71年武蔵野美術短大油絵専攻科卒。2005年7月、06年9月、08年7月新潟絵屋で個展。

「夜の海」2010年 油彩、キャンバス S4号

画家の故郷、そしてその風土はその創作にあたって切っても切れない関係にある。いわば創作の母胎というものだろう。浅見哲一が描く、風が静まった後の清明な夜は彼を育んできた秩父という風土への祈りにも似た感情が込められているし、古田恵美子の描く北海道(千歳)は、その厳しい風土と彼女の苦難の道とが重なって見える。そして森本秀樹の描く風景は特別な青春を過した宇和島への懐旧の情が静かな歌となって聴こえてくるようだ。
三人三様の風景は己が風土への「母胎回帰」へと繋がっている。(御子柴 大三/アートプランナー)

※尚、タイトルは洲之内徹『気まぐれ美術館』にて使用された「帰りたい風景」を使用させて頂いた。

 


 

にしむらあつこ展
10月26日(火)〜11月28日(日)
北書店 (新潟市中央区医学町通2番町10-1-101)

町の本屋さんで絵本「ホネホネさん」シリーズや「ぐぎがさんとふへほさん」シリーズで知られるにしむらあつこさんの小品を展示します。


「日」華雪書展
2010年11月3日(水・祝)〜7日(日)
13:00〜18:00(最終日11:00〜15:00)
会場 : F/style(エフスタイル)
   新潟市中央区関屋下川原町2-658
■ワークショップ 「日」を書く
11月6日(土)17:00〜19:00
参加料:1,000円 定員:15名(要予約)
持ち物:筆記用具(使い慣れたものをご持参ください)

絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代のはみだし連載コラム
タシロ便がゆく ―ふと見た暗がり編 その7
何でだろう、とつらつら考えていけば、そうだ。ふと見たあの暗がりは移転前の絵屋があった並木町のトウギン屋、濱田ロウソク屋さんの店先で目にした暗がりの感じに似ていたんだ。店内の雰囲気などは少しも似てはいないが、一瞬の夏の夕暮れがつくり出した影は、今はもうどこにもない家を思い出させた。ほんの通りすがりの関係でしかない家。街ごと今はなくなった。(つづく)。
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)

   

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