2010年3月


2010年2月の絵屋

2010年4月の絵屋

  新潟絵屋あんない 作家INDEX Blog  

 

2010年3月2日〜3月10日

企画 上田浩子

梅田恭子(うめだ きょうこ)
■ 1971年東京都生まれ。94年多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン専攻卒業、96年同大学大学院美術研究科デザイン専攻修了。94年から個展を中心に、東京、大阪、名古屋、新潟などで作品展を開催。新潟での個展は6年ぶり。刊行物に銅版画集『ツブノヒトツヒトツ』(2009年 言水制作室)がある。 http://umedakyoko.com/

新作を中心に約30点を展示予定です。銅版画詩画集『眠ルカ、空』(2009年・大阪・天音堂ギャラリー刊・限定9部)も併せて展示します。

←「コココエ」 2010年 銅版画 ed.7  19.3×15.4cm

あーとぴっくす
「妙に懐かしい言葉以前の情景」田代草猫

↓「シツシ」 2010年 板に鉛筆画 45.0×45.0cm

昨年末、梅田さんの作品をみせてもらった。一枚一枚めくりながら、だまって文字を読み、作品をみる。時間が、いろんなあるはずのない隙間から温度のない粉雪のようにさらさらと降り積もって重なって、息が苦しいような、胸が詰まるような、首筋が熱くなるような、幸福な気持ちになった。
「うつくしい」ってなんだろうか。
梅田さんの線や色やそれらのあわいに、私はついぞ使わぬその言葉を易々と思ってしまう。思ってしまってから、これはそういう言葉でいうことなのだろうかとも思う。ぐるぐる思って、でも目はみたものを反芻しながら、「作品と言葉で絵屋の空間を満たしませんか」と梅田さんにお願いした。
タイトルの「ディム」は英語のdim(薄ぼんやりとした)で、「ソノ音」という漠とした、なにか、が不器用になきそうだったからこんなふうにした、と、梅田さんから聞いて、またどきどきしている。この、幸福。 (上田浩子)

 


 

2010年3月12日〜3月20日

企画 大倉 宏
 

野中光正(のなか みつまさ)
■ 1949年東京都鳥越生まれ。67年木版画・絵画をはじめる。68?71年太平洋美術研究所、73?82年渋谷洋画人体研究所で描く。77年横浜国際船客ターミナルでの初個展後、89年までゆーじん画廊(東京)等で個展。89年新潟県高柳町に移住、紙漉を学ぶ。91年かやぶきの家(高柳町)で個展、同年10月末に東京に戻る。以後ほぼ毎年ゆーじん画廊で個展。95年ウィリアムモリスギャラリーで木版画展。新潟絵屋では01年3月、05年3月(画廊Full Moonと2会場で)、06年11月新潟絵屋で個展。

←「09 12 05」
   2009年 木版+手彩色/和紙 48.0×36.0cm

新潟絵屋 ●2001年 3月12日〜20日
●2005年 3月12日〜20日
●2006年 11月12日〜20日
野中さんの絵を数点預かって、ときどき砂丘館の床の間に掛けている。野中さんは職人の町浅草に生まれ、和紙の手漉きを体験し、キャンバスも絵具も自分で作る。その絵を和と響き合う抽象と、以前書いたことがある。
和の住宅に飾ってみて、気づいたことがいくつか。和空間はけっこう頑固である。一方野中さんの絵も我が強い。その強さが和の頑固を刺激し、摩擦音がする。でもその摩擦音が魅力だ。和のしみ込んだ野中さんの絵ならではというべきか、なまじの「洋」もので、この音はでない。和のすきまにこじ入り空間を微妙にずらす。砂丘館であって、砂丘館でない和室が現出する。
近作ではその我が強まり、ますます絵があばれだした気配。野中さんらしさ、意気軒昂である。(大倉 宏)

 


 

2010年3月22日〜3月30日

企画 大倉 宏
 

↑「無題」 2009年 顔料、メディウム/紙 15.0×20.0cm

中島佳秀(なかじま よしひで)
■ 1975年京都市生まれ。サウンドアーティスト、アーティスト、グラフィックデザイナー。サウンドアーティストとして、ライブパフォーマンス、インスタレーション、テープ作品の発表を行なう。2008年より個展を中心に平面作品の発表も行う。現在東京都在住。
http://www.yshdnkjm.com/

中島佳秀さんの仕事に接した最初は、映像の編集と音楽だった。あるラッシュ映像を短くまとめてもらったのだが、見事なほど動的なシーンがはぶかれ、スタティックで味のある「作品」に仕上がった。今もそれが好きでいる。
その中島さんが突如描きだしたという絵を見たのは、去年の桜のころ。目黒の家でだった。見始めてすぐ声が出た。動物だったか鳥らしきものの描かれたモノクロームの絵だったけれど、「へたうま」ではない。へたうまは、言葉どおり上手いのだが、その絵はなんと言えばいいのか、プリミティブという言葉が一番近いだろうか。「見た」人が「見たもの」がいなくなっても去らない「イメージ」に苦しみ、自分に穴をあけるように赤土で洞窟の壁にそれを放つ。その瞬間のずばん、という音のようなものが、私の喉を撃ったみたいだった。「プリミティブ(原初的)っぽい」ではなく、いわばプリミティブそのもの。そいつに、いきなり襲われたのである。送られてきたその後の絵の画像を見て、またしても声が出た。
どうもこうも、なかなか強烈で、ふらふらする。 (大倉 宏)

 



◎中島佳秀展関連イベント 平らな場所/コンサート
3月30日[火] 開場:17:45  開演:18:15  終了:20:30(予定)
会場:砂丘館 蔵  料金:1,500円(ワンドリンク付)

イベント出演者/プロフィール
・Youki Noseyama / 能勢山陽生(Diesel Guitar)
1967年新潟生まれ。主にギタードローンの演奏を行う。1987年より大阪で、即興演奏のグループに参加。1991年よりDiesel Guitarの名義で演奏活動開始。1993年大阪造形センターに置いてシリーズライブ「 PURSUIT OF NOISE」をMonde Bruits、Solmania、Masonnaらと開始する。その間、大阪を拠点に神戸、大阪、東京など各地でライブ活動を展開する。2000年から地元新潟に戻り、新潟を拠点に、大阪、東京でライブ活動を続けてる。http://news.fmn.main.jp/?eid=193797

・evala(port, ATAK)
サウンドアーティスト。port主宰、ATAK所属。先鋭的な電子音楽作品を発表し、国内外でのパフォーマンスを行うほか、様々な媒体やプロダクトのサウンドデザインやプロデュースなど、音を主軸にその活動は多岐にわたる。日本の最前線を担う音響作と評された1stアルバムからはや4年、今年3月と4月には2ヶ月連続で待望のソロアルバムを発表する。 http://port-label.jp



◎ウェブショップ『ウェブ絵屋』オープン
オープンから早1ヶ月半。トップページの「動く福助」にご好評いただき、ありがたく思っております。その福助より注目の展示室は画面左下から。気になる作品がありましたらお気軽にお問い合せください。
               ウェブ絵屋店長・石垣言美


一帰何処 / ひとつ、いずれのところにか帰する
 
 
華雪さんによる12点の書で1年間を綴るシリーズの三回目です。
ひとつづつ選ばれていく字を辿って、華雪さんの見ている先端までの道のりを共に歩きます。
*シリーズ「十二」の作品はウェブ絵屋で購入できます。
 購入の詳細は、ウェブ絵屋をごらんください。
(これまで のシリーズもごらんいただけます。)
華雪『「長距離バス」から』 http://www.e-ecrit.com/column/text/14.html

2010年3月〜2011年3 月[BABY ― GRAND]セレクト
「かわいくて偉大である」をコンセプトに、パートナーの画家・久松温子さん(09年10月新潟絵屋にて個展開催)とのコラボレーションを展開する[BABY ―GRAND]。小物を中心に、1年を通じて販売します。季節ごとに入れ替わる商品をお楽しみに。

デザイナー…長原啓(nagahara akira)
1972年岡山県倉敷市生まれ。
多摩美術大学大学院デザイン専攻課程修了。八王子市在住。

ピアス 4,200円


新潟湊 雛人形展
2010年3月2日(火)〜7日(日)
10時〜16時

会場:旧齋藤家別邸 一階座敷
(新潟市中央区西大畑576・行形亭様隣)
観覧料:300円(中学生以下無料)


絵屋便、DMの配達を担当する絵屋運営委員・田代のはみだし連載コラム
タシロ便がゆく ―熱く赤い道 編その9―
昨画面からアフリカの熱さが伝わってくる映画のワンシーン。赤土の道を、裸足の少年が一人歩いている。
ひたひたと大地を踏みしめるその足取りは、自分の運命のすべてを受け入れている様にもみえた。
その姿に東京大空襲の焦土に立つ若き日のSさんが重なる。赤は闇と光が溶けあった色。地獄でも天国でもないこの世の色なのだ。(つづく)
タシロ…田代早苗(俳人・新潟絵屋運営委員)

   

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