小林春規展 −京都散見−

1月8日sun―18日wed

vol.514 作家在廊予定日: 1/8・9・14・15・18

 新潟絵屋の月々の展覧会案内である絵屋便の、表紙の絵を、去年1年間小林春規にお願いした。山の端の日の出に始まり、雪の街角、カモメ舞う海、早苗、満天の星、平野の残照、枯れ蓮と続いた木版画の光景は、初冠雪の山で終わった。春規の父の小林正四氏に一度お目にかかったことがあるが、情愛あふれる雰囲気の方で、俳句をされたというが、その子である小林春規の絵も俳句のようだと、表紙絵を見て思った。
 たとえば6月号の雨中を行くふたりのシルエットは、新潟で出会う女たちの仕草や、独特の空気感をあざやかに浮かび上がらせる。心に瞬時に生起し忘却されていく感覚が、目の糸に釣り上げられ、舟底の魚のようにピチピチ跳ね上がる。
 この12点に、小林が若き日を過ごした京都をモチーフにした新作(一部旧作)を加えて、新潟絵屋の新春の壁を飾る。(企画 大倉 宏)

小林春規 (こばやし はるき)
1953年新潟県水原町生まれ。幼年時より木版画を始める。18才で初の個展後、京都の表具師の内弟子となり、表具の仕事を続けながら版画制作を続ける。90年新潟県笹神村(現阿賀野市)に転居。70年より日本アンデパンダン展、平和美術展に出品。個展多数。挿絵は、残熊てるよの詩集 『不安と未来と』、個人伝記 『暗闇の燈火』など。

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PHOTO(上):「雨」(2016)

小林春規 大楠・青楠院

「大楠・青蓮院」2016年 木版画/紙 20.5×13.5cm