七里知子作品展「睡余のこと」

12/12[金]― 25[木]

niigata eya exhibition 705

作家在廊予定日 12/12・13・14・24・25

 円に内接する三角形を想像してみる。その三角形が徐々に膨張する。接点を突いて頂点がはみ出る。七里知子の絵はそんな円と内接する三角形だった。円は「美しい」。三角は「なじみのないもの」である。病の時の前後を経てあらわれてきた新作ではこの円を三角形の頂点が貫き、穴を開けている。美しい絵にその穴から外が、えもしれない底なし沼が覗き、目が無限定の虚空へ投げだされる。沼、虚空は絵を暗くするが、この暗さは七里の絵の美しさを照らすバックライトだ。(企画者:大倉宏)

七里知子(しちり ともこ)
北海道生まれ。京都芸術大学大学院芸術表現専攻修士課程修了。近年の個展は、2014年「記憶の断片」(Gallery MIYASHITA/札幌)、15年「たちのぼるけはい」(Gallery&Space SIO/大阪)、16年「儚い膜」(アートスペース虹/京都)など。新潟絵屋では14年「風景の行間」、18年「Reverberation」、21年「杳杳」、23年「光を掬う」を発表。恵文社一乗寺店、 kit、ちせ(京都)、ブックギャラリーポポタム(東京)、マゼコゼ(長野)や北書店などで版画を発表。
https://tomoko-shichiri.com

Tomoko Shichiri
Born in Hokkaido. Completed Graduate School at Kyoto University of Arts, Department of Art Expression. Recent solo exhibitions include “Fragments of Memory” (Gallery MIYASHITA, Sapporo) and “Between the lines of the landscape” (Niigata Eya) in 2014, “A presence rises” (Gallery & Space SIO, Osaka) in 2015, “Fleeting membrane” (Art Space Niji, Kyoto) in 2016, “Reverberation” (Niigata Eya) in 2018, and “you-you” (Niigata Eya) in 2021, and others. Her works have been exhibited at Keibunsha Ichijyojiten, kit, Chise (Kyoto), Book & Gallery POPOTAMU (Tokyo), library & Gallery MAZEKOZE (Nagano) and Kitashoten (Niigata). She will be exhibiting several new prints (mezzotint) at this time.
https://tomoko-shichiri.com

PHOTO(上): 「夜の衣」2025年 油彩・顔料/パネルに綿布 59.5×42.0cm 

七里知子
PHOTO:左:「睡余のこと」 2025年 油彩・顔料/パネルに綿布 117.8×80.5cm
右:「蓮」 2025年 カラーメゾチント 36.0×6.0cm

七里知子



▶ 2023年 七里知子 個展 「光を掬う」
▶ 2021年 七里知子作品展 杳杳(ようよう)巡回展 七里知子×TOLEDO
▶ 2018年 七里知子個展 -Reverberation-/同時開催メゾチント作品展@北書店画廊
▶ 2016年 七里知子展/ 会場の様子
▶ 2015年 七里知子 メゾチント作品展 Yukar@北書店画廊
▶ 2014年 七里知子展「風景の行間」会場の様子
▶ 2014年 メゾチント作品展@北書店画廊

同時期SHOP

渡辺リリコ展「新年の切り絵」

NOBINOVI展 齋藤伸絵・阿部信子

11/27[木]―12/10[水]

niigata eya exhibition 704

作家在廊予定日
齋藤伸絵:11/27・28、12/2・3・10
阿部信子:11/27・29・30、12/1・4・7・8

 糸を紡ぎ、布を織る齋藤伸絵さん。石を磨き、金属を加工する阿部信子さん。扱っている素材は異なるが、「ふたりとも、どこまでもアナログで、恐ろしく手がかかることを淡々と楽しくやっている」と阿部さんは言う。繊細でシビアな手仕事から生まれる作品は、だけどどこまでも柔らかく、暖かい。4年ぶりの二人展。冬に向かう季節に、目で見て、手にして、身につけて楽しみたい。(企画者:上田浩子)

齋藤伸絵(さいとう のぶえ)
県内外で個展、グループ展開催、クラフトフェア出展。長岡造形大学市民工房、ソノキアトリエ染織講師。宮城県仙台市生まれ、新潟市在住。「ウール、絹、麻などの素材自体の違い、個体差もある繊維をそれぞれで、または組み合わせて“染めて紡いで糸にして織る”ことで新しく生まれてくる色、風合い、佇まい、そんなものにずっと魅せられて制作しています」

阿部信子(あべ のぶこ)
県内外で個展、グループ展を開催。アトリエNOVI主宰、新潟デザイン専門学校非常勤講師。新潟市在住。「ここ数年、ジュエリーを制作する傍ら自ら石を磨いています。石と金属はどちらも鉱物ですが個性も表情も全く違います。そのお互いの良さを活かすよう自然と対話をするような気持ちで制作をしています」

PHOTO(上): 左:齋藤伸絵/シェットランドの手紡ぎ糸とキビソ糸のストール
右:阿部信子/アバロンシェル×クォーツのダブレットのリング(左)
デンドリティックアゲートの金彩リング(中央)

齋藤伸絵
PHOTO: 齋藤伸絵 麻とウールのホームスパンの肩掛けバッグ

齋藤伸絵
PHOTO: 阿部信子 手前 「太古の匣」・奥 「群晶の匣」

NOBINOVI展


齋藤伸絵&阿部信子
▶ 2021年1月 NOBINOVI展・ただいま 齋藤伸絵&阿部信子
▶ 2020年6月 NOBINOVI SELECT

齋藤伸絵
▶ 2009年 ゆらぐ布 糸のゆらぎ 齋藤伸絵
阿部信子
▶ 2008年 阿部信子 小島展
▶ 2004年 阿部信子 Jewellery and Metal Work展

同時期SHOP

長尾玲子展「クリスマス」

井田英夫遺作展 6

11/12[水]―25[火]
EVENT 11/23[日]小口和紅茶をたのしむ日

niigata eya exhibition 703

 さがしている絵があった。過去の展覧会で発表し、記憶に残っていたものの所在がわからず『井田英夫画集』に載せられなかった絵だ。井田さんの没後は、展覧会のたびに作品の調査や整理に繋がっており、今回はそのような絵のいくつかと再会することができた。わたしが支援展準備のために音戸を訪ねた折、制作のため手元においておきたいと言っていたぞうきんのスケッチ(画集に収録)の未完の油絵も見つけた。画集のつづきを展覧会で見届けてほしい。(文:井上美雪 企画者:井上美雪、大倉宏)

井田英夫(いだ ひでお)
1975年旧新津市生まれ。97年新潟デザイン専門学校卒業。99年モンセラート美術大学卒業(米国)。2002年より新潟絵屋、05年ギャラリーEMU-st(新潟)、11年久留米市一番街多目的ギャラリー、12年三方舎書斎ギャラリー(新潟)、15年天仁庵(広島)で個展開催。 15年8月~20年4月広島県呉市音戸町に滞在。17年は新潟絵屋とギャラリーみつけ(新潟)で新作展、砂丘館で回顧展を開催。18年4月、新潟市の2会場で有志の企画による「井田英夫支援展」が開催される。19年新潟絵屋で個展開催。20年4月27日逝去。23年4月『井田英夫画集』発行(井田英夫画集刊行委員会)。

Hideo Ida
Born in 1975 in the former Niitsu City. Graduated from Niigata College of Art & Design in 1997, and from Montserrat College of Art (USA) in 1999. He has had solo exhibitions at Niigata Eya since 2002, Gallery EMU-st (Niigata) in 2005, Kurume Ichibangai Multipurpose Gallery (Kurume) in 2011, Sanpousha Shosai Gallery (Niigata) in 2012, and Tenjinan (Hiroshima) in 2015. From August 2015 to April 2020, he lived in Ondo-cho, Kure City, Hiroshima Prefecture. In 2017, he held exhibitions of new works at Niigata Eya and Gallery Mitsuke (Niigata), and a retrospective at Sakyukan. In April 2018, the “Hideo Ida Support Exhibition” was organized by volunteers at two venues in Niigata City. In 2019, he held a solo exhibition at Niigata Eya. He passed away on April 27,2020. Hideo Ida Artworks was published in April 2023 (The Hideo Ida Artworks Publication Committee).

PHOTO(上): 「観葉植物」 2008年 油彩、オイルバー/板 65.2×45.5cm

井田英夫
PHOTO:「冷蔵庫」2017年 木炭、コンテ/紙 42.5×35.2cm

井田英夫
PHOTO:「おばあちゃんと話す春」2017年 パステル・木炭/紙 31.5×24.8cm

井田英夫
PHOTO:「おばあちゃんのアイロン」2015年 木炭、コンテ/紙 21.6×27.2cm

井田英夫

EVENT

小口和紅茶を味わう日

11/23[日祝]11:00-16:00

井田英夫さんの地元、新潟市秋葉区小口は茶葉の産地です。渋みが少なく独特な味わいの和紅茶を試飲いただけます。茶葉の販売も行います。
Onedaycafe Pooh出店〉


EVENT

ぶらっと しばためぐり

10/17[金]―26[日]11:00〜17:00
会場:長徳寺(新発田市大栄町2-7-22)行在所(通常非公開/国登録有形文化財)

新発田市にある由緒あるお寺の貴重な建物に展示する機会をいただき、井田英夫さんの「布団」「第一音戸大橋を背にした自画像」「おばあちゃんのアイロン」「冷蔵庫」など7点を展示しています。


関連記事
2024年:▶ 井田英夫 遺作展 5
2023年:▶ 井田英夫 遺作展 4
2022年:▶ 井田英夫 遺作展 3
2021年:▶ 井田英夫 遺作展 2
2020年:▶ 井田英夫 遺作展——音戸の素描を中心に井田英夫遺作展@砂丘館
2019年:▶ 井田英夫展
2018年:▶ 井田英夫 巡回支援展
2017年:▶ 井田英夫展、砂丘館 ギャラリートークの動画
2016年:▶ 井田英夫展
2014年:▶ 井田英夫展
2012年:▶ 井田英夫展
2010年:▶ 井田英夫展
2009年:▶ 井田英夫展
2007年:▶ 井田英夫展
2006年:▶ 井田英夫展
2004年:▶ 井田英夫展
2002年:▶ 井田英夫展

足立照久展 

Open eya

ふるい屋のふるいとあたらし
11/1[土]― 9[日]

実演製作
11/1.2.3.8.9
同時開催
砂丘館庭園にて「海のキオク」公開中
★夜間ライトアップ

 日本海に面した新潟県寺泊の山田は古くから篩(ふるい)作りが盛んで、その歴史は少なくとも江戸後期(天保時代)までさかのぼります。
 足立茂久商店は現在もこの地で操業を続けるただ一軒の「篩屋(ふるいや)」です。
 主な製品は篩(ふるい)・裏漉し(うらごし)・蒸籠(せいろ)。その製作技術は「寺泊山田の曲物」として長岡市の無形文化財(工芸技術)に指定されています。
 11代目の足立照久は受け継がれてきた伝統を守りつつ、新たな分野での作品作りに挑戦しています。
 細く割った曲輪を組んで作る「曲輪の球体」、小国和紙を使った照明器具「ゆきほのか」、スツールに曲輪を取り入れた「曲輪スツール」、「曲輪の球体」と花びんを組んだ「花結び」、ウルトラセブンをモチーフとした「ウルトラセブン スツール」など、これまでの曲物には無い新しい形を作り出してきました。
 今回の展示では「篩屋(ふるいや)」として培われた技術で作り出される「新しい形」の作品と、その作品で彩られる大正時代の町屋を再生した空間「新潟絵屋」をお楽しみください。

足立茂久商店

スツール 税込40,590円

足立茂久商店

花結び 税込13,750円〜

足立 照久(あだち てるひさ)
1974 旧三島郡寺泊町生まれ
1997 新潟大学理学部地質鉱物学科卒業。卒業と同時に家業の篩製造業に従事。 足立茂久商店11代目
2015 新潟ふるさと村アピール館にて「足立茂久商店と新潟伝統の技 展」開催
2016 「ゆきほのか」で第56回(平成27年度)全国推奨観光土産品審査会 日本商工会議所会頭努力賞受賞
2016 新潟ふるさと村庭園内ふるさとの家にて「寺泊山田の曲げ輪の灯り展」開催
2019 北方文化博物館藤棚にて「曲輪の球体 展 大藤の息吹」開催
2020 「リメイク曲輪スツール」でニイガタIDSデザインコンペティション2020 IDS審査委員賞受賞
2020 新潟絵屋にて「足立茂久商店の曲物 フルイ屋ノ 
アタラシイ カタチ展」開催
2024 「リメイク曲輪スツール」で第5回三井ゴールデン匠賞入選
2025 新潟ふるさと村新潟館にて「曲輪の球体展 海のキオク」(10/4〜20)

足立照久「球体オブジェ・一重 」
球体オブジェ・一重[1尺2寸]/[1尺]

足立照久「ゆきほのか[テーブルライト]」
ゆきほのか[テーブルライト]税込33,000円

足立茂久商店

わっぱ 5寸 税込9,350円/6寸 税込14,300円(電子レンジで使えます)


同時開催 
曲輪の球体と流木によるインスタレーション

「海のキオク」

会場:砂丘館・庭園
新潟市中央区西大畑町5218-1
9:00~21:00/月曜日休館
★夜間21時までライトアップ


関連記事
▶ 足立茂久商店の曲物
▶ 長岡市無形文化財「寺泊山田の曲物」足立茂久商店

タクミクラフト 
タクミクラフト 作家紹介・足立照久 
足立茂久商店 | TECH NAGAOKA [テックナガオカ]  
寺泊山田の曲物 | TECH NAGAOKA [テックナガオカ]

大倉 宏 展

10/2[木]― 15[水]

niigata eya exhibition 701

 大倉さんの文章は、ときどきゆらぐ。ゆるぎないものを抱えながら、ふつっとゆらぐ。意図しているのかどうかは知らない。でもなんとなく、大倉さん自身もそれを眺めて楽しんでいるんじゃないかという気もしている。
 そのゆらぎが絵の具をまとってあらわれた。語るべきことを思い定めて、言葉を紡いで伝えていく道筋から自由になったゆらぎたちは、なんだか楽しそうでもあり、少し恐ろしくもある。大倉宏は、こんな姿をしているのだ。〈企画者:絵屋デザイン部dododo/文:上田浩子〉

Hiroshi Okura’s writing sometimes wavers. While holding onto something unshakable, it suddenly sways. I don’t know if it’s intentional. But somehow, I get the feeling Okura himself enjoys watching it happen. That wavering has now taken shape, clothed in paint. Freed from the path of carefully choosing words to convey what must be said, these fluctuations seem somehow joyful, yet also a little frightening.
This is the form Hiroshi Okura takes. (Exhibition Planner: Eya Design Department dododo / Text: Hiroko Ueda)

大倉宏展
PHOTO:「ななつ目のみなと」2025年 水彩/紙 14.4×16.0cm

大倉宏(おおくら ひろし)
1957年新潟県生まれ。東京芸術大学美術学部芸術学科卒。85~90年新潟市美術館で学芸員として勤務後、フリーとなり、新潟を拠点に美術評論を行う。著書に『東京ノイズ』(アートヴィレッジ)、共著に『越佐の埋み火』(新潟日報事業社)、編集・構成に『洲之内徹の風景』(春秋社)がある。新潟絵屋代表、新潟まち遺産の会代表、砂丘館(旧日本銀行新潟支店長役宅)館長。新潟国際情報大学、新潟理容美容専門学校講師。2009・2012水と土の芸術祭アドバイザー。2023年画家信田俊郎さんの企画により新潟絵屋で初個展を開催。

Hiroshi Okura
Born in Niigata Prefecture in 1957. After working as a curator at the Niigata City Art Museum from 1985 to 1990, Okura became freelance art critic based in Niigata city. He is the author of Tokyo Noise (Art Village), co-author of Essa no Uzumibi (Niigata Nippo Jigyosha), and editor/composer of Sunouchi Toru no Fukei (Shunju-sha). He is the representative of Niigata Eya, the representative of Niigata Town Heritage Association, and the director of Sakyukan (former Bank of Japan Niigata branch president’s residence). Lecturer at Niigata University of International and Information Studies and Niigata Barbering and Beauty College. In 2009, 2012, Water and Land – Niigata Art Festival Advisor. In 2023, Okura’s first solo show at Niigata Eya curated by a painter Toshiro Shida.

●11月初旬発売予定の評論集『だれのものでもない私』発行記念企画展です。
●初日は10:00より整理券を発行し、整理券順にご入場いただきます。
●作品のご購入の手続きは、整理券順に11:30より受付します。
●10月3日夜、ギャラリートークを行います。

出品予定作品を毎日snsにて公開中
facebook
instagram

大倉宏展

PHOTO:「どうしてもしずまらない」2025年 水彩/紙 19.2×13.5cm

大倉宏展

SHOP INFORMATION
大倉宏著『だれのものでもない私』

先行予約受付開始!(10/2-15)

2004年発行の『東京ノイズ』(アートヴィレッジ発行)に続く、大倉宏2冊目の評論集です。

発行:アートヴィレッジ/四六判
カバー絵:蓮池もも/題字:華雪/装丁・デザイン:絵屋デザイン部dododo
2,200 円(税込)カートに入れる

▶ 詳しくは…

先行予約について
特典:大倉宏の非売の水彩画3点の絵葉書セット進呈/サイン入り/限定100名
期間:10月2日〜15日(大倉宏展会期中)→終了しました
ご予約方法:1.新潟絵屋で直接 2.通販サイトにて(送料300円)


関連イベント

ギャラリートーク

10/3[金]18:30―19:30
→動画を公開しました(2025/10/09)
お話:大倉 宏+越智俊一(アートヴィレッジ)
聞き手:絵屋デザイン部 dododo(上田浩子・井上美雪)
● 対面参加500円
● 定員15名 要申込
● 申込方法:新潟絵屋で直接または電話・メールで
● 9月25日~先着順受付(定員になり次第締切)
会期中に記録の動画を配信します。
展覧会初日の10/2[木]は混雑が予測されるため、10:00より整理券を配布し、お買い上げの手続きは11:30より、整理券1枚ごと1点ずつとさせていただきます。ご理解・ご協力を、よろしくお願いいたします。

大倉宏展@通販サイト


▶ 大倉 宏 展 2023