渡邉和也展

6月22日thu―30日fri

vol.529 作家在廊予定日: 後日お知らせします。

 渡邉和也さんのアトリエ鍛工舎では、鎚起銅器が日々制作されている。道具は、つくるものにより使い分けられ、たくさんある金槌や鉄棒は、似たようでもひとつずつ形状が異なり、多くは所定の場所に収まり出番を待っている。仕事の中断でそれとなく置かれることとなった道具の佇まいに、ふと目が留まった。それに似た無造作の美を、渡邉さんの作品に見る。
 前回の個展では、緑青を帯びた銅の造形に、道に落ちているはぐれものの部品のような、ガラクタ的魅力を感じた。技巧を駆使し、丁寧にぎこちなくかっこいい。作品は床に並べただけの簡素な展示が似合った。それから2年。変化はたのしみだが、変わらないものにも期待がある。銅はやわらかく手強い、だからすきだと渡邉さんは話していた。(企画 井上美雪)

*会期中は 「鎚起銅器」関連書籍をショップでご紹介します。

渡邉和也展2017

渡邉和也 (わたなべ かずや)
1978年新潟県三条市生まれ。2001年長岡造形大学工芸デザインコース卒業後、追起銅器の老舗・玉川堂にて修行。05年アトリエ鍛工舎設立。04年第43回日本現代工芸美術展新人賞、第59回新潟県展新潟日報美術振興賞、06年第61回新潟県展奨励賞、08年第47回日本現代工芸美術展現代工芸賞受賞。09・13年燕市産業史料館、11・12・13年ギャルリー炎舎、15年新潟絵屋にて個展。燕市在住。

PHOTO: 無題 2017年 銅 直径30.0cm

ギャラリー&ミュージアムマップ 5/20~6/25 2017

私たちは、画廊や美術館を巡るひとが増えるにはどんな環境が必要か、考えています。
2008年創刊、毎月無料配布の情報冊子です。

新潟島とその周辺のギャラリー&ミュージアムマップ | gallery & Museum Schedule 2017.5-6

2017年5月20日(土)- 6月25日(日)

蓮池もも展

6月12日mon―20日tue

vol.528 作家在廊予定日: 毎日 午後数時間

 蓮池ももの絵は、ある時期から、年々、劇的な変化をとげてきた。
 今年の絵には乳を飲む動物の子など、画家の実人生につながるイメージも登場したが、同時のこれまでの甦りや、回想とも見えるモチーフもあらわれ、「変化すること」からの変化が感じられる。とはいえ、私たちに親しいそれらのイメージを描いた以前の絵を思い返し、実感されるのは、殻のほどけということだ。
 ある時期まで蓮池の絵にあった、独立したての独立国のような、瑞々しい緊張感の解体が始まっているような気がする。具体的には絵筆の微細な仕草、絵具を溶かす水のやわらかさに、より開かれた色の表情など。
人生でいう「性徴期」を過ぎて、ゆるやかな推移の時代が始まったのかも知れない。人がそうであるように、絵も生きものであることを、改めて感じる。
(企画 大倉 宏)

蓮池もも(はすいけ もも)
1983年新潟市生まれ。2006年fullmoon upstairs、07・08・09・10・11年画廊Full Moon、12年砂丘館で個展。新潟絵屋では10・12〜16年毎年個展、15・16年ギャラリー島田にて個展開催。12~14年『絵屋便』表紙絵を連載する。俳誌『白茅』13号から「森の奥 湖の底」(画とエッセイ)連載。十日町市在住。

蓮池もも 乳

PHOTO(上): 「山の水」2016年 アクリルガッシュ/紙 24.3×33.0cm
PHOTO(下): 「乳」2017年 アクリルガッシュ/紙 24.3×33.5cm

吉田淳治 水彩展 W II

6月2日fri―10日sat

vol.527 作家在廊予定日: 6/3・4

 吉田淳治の水彩画展を、新潟絵屋がオープンしてまもない2001年に開いた。2月。大雪の年で会期中画廊の周りは白と灰色の世界だった。そのなかで、あたたかな水の気配を吸い込んだ絵の、色の鮮やかさが目にしみた。
 その後、吉田は油彩に戻って、水彩を描かなくなり、年月が過ぎた。また水彩を始めた、発表していきたいと連絡を受けたのが去年。
「水という物質の不思議な作用。形がないのに他のモノを吸い、走らせ、裂き、衝突させ、まぜあわす。吉田さんの画面のあらゆる場所が、今は蒸発して消えた水の痕跡で、きらめいている」と16年前に私が書いた「きらめき」は、新シリーズでも健在だ。同時にその水の表情が、より深くなった気がする。音楽で言うなら低音部が豊かになった。そのせいか色が目を抜け、腹や体にまでしみてくる。(企画 大倉 宏)

吉田淳治「W II - 174」

吉田淳治(よしだ じゅんじ)
1951年愛媛県宇和島市生まれ。1970~76年東京、以後は宇和島で制作。81年パリに1カ月滞在、イタリアに旅行。宇和島市立伊達博物館、べにばら画廊(宇和島)、松山三越、田都画廊(松山)、マエダ画廊、Gallery芽楽(名古屋)、現代画廊、紀伊國屋画廊、始弘画廊、ギャラリー収納(東京)、ギャラリー小蕪亭(長野)、新潟絵屋、画廊Full Moon(新潟)などで個展。グループ展多数。2011年「絵画のwaltz-吉田淳治展」(町立久万美術館)、12年「絵画風景 吉田淳治展」(砂丘館)が開催される。 http://junji-yoshida.webhop.info/

PHOTO(上): 「W II – 33」2016年 水彩/紙
PHOTO(下): 「W II – 174」2017年 水彩/紙 31.6×23.9cm

田中正弘 展

5月12日fri―20日sat

vol.525 作家在廊予定日:会期中毎日

 アイヌの世界では自然や動物だけでなく、道具にもカムイ(神)が宿り、不要になると、道具のカムイに供え物をし、感謝を告げてカムイの世界に送り返すのだという。
 歯のこぼれた斧や、蚤の市で求めた古物で構成した田中正弘の作品に感じるのは、どこか飄々とした読経の声だ。知人の死をきっかけに制作された20年前の「立棺」シリーズから、原爆の記憶をこめた「雲水」、黒い標本箱風の「植物誌」「昆虫記」へ続き、今日につながる制作を想起すると、どれにも人や植物や昆虫や道具に手向ける、制作者の一貫した祈りがこめられていたことに気づく。仏教の僧は日本では、いつからか死者の供養を担う存在になった。「供養」を「カムイへの感謝」に重ねると、これらの作品たちはそのような供養=感謝を、生きたものに、使われたものらに向けて捧げ続ける僧たちに見えてくる。
(企画 大倉 宏)

田中正弘(たなか まさひろ)
1946年新潟市生まれ。76年初個展以降、東京銀座を中心に個展グループ展多数。90年「四季の径・彫刻大賞展」大賞受賞(古河市)。91年寄居浜(新潟市中央区)に 「夕日モニュメント」を製作。2003・06・09年新潟絵屋で個展。13年~「どこかでお会いしましたね」展(さいたま市)毎年出品。

田中正弘展

PHOTO(上): 「斧斤・伝」
PHOTO(下): 「新・風土記」2015年 40.0×30.0cm

小林寿一郎「佐渡の芸能」木版画展

5月22日mon―30日tue

vol.526 作家在廊予定日:5/27・28

 小林さんの木版画には作風にふたつの面があると思う。一方に深い精神性を備えた作品があり、一方で遊び心を発揮したユーモラスな表現があって主題により彫り分けられている。技法にも木口、板目、両版併用があり、多様な顔料を駆使した色彩、マチエールも多彩だ。作域も広く、だから見ていて飽きることがない。4年前新潟市の蔵織で彼の作品をまとめて観る機会があった時の感想だ。
 今回の個展は広い作域の中から小林さんが長年手がけているどちらかというとユーモラスな作品が多い「佐渡の芸能」をテーマでお願いした。鬼太鼓、薪能、子供歌舞伎、花笠踊り、のろま人形に文弥人形の頭、車田植、そして宿根木の屋並など。小林さんのふるさとに寄せるおおらかな眼を感じながら、ユーモアをたたえた木版画で佐渡の芸能の素晴らしさを楽しんでほしい。絵屋では14年ぶりの個展。(企画 小見秀男)

小林寿一郎(こばやし じゅいちろう)
1954年佐渡市生まれ。70年万国博覧会世界児童画展特選受賞。82年より高橋信一(佐渡版画村美術館創立者)に師事し、86年から版画家日和崎尊夫に木口木版の指導を受ける。91年ニューヨークに滞在して現代美術を学ぶ。95年第50回県展県展賞受賞、無鑑査となる。96年「現代版画の状況展」(福島、新潟)、04、05年個展「佐渡の芸能版画展」(ネスパス、佐渡博物館)、06年「新潟の作家100人」(新潟県立万代島美術館)出品。2000・03年新潟絵屋、13年蔵織で個展。現在佐渡版画村会員、佐渡狭門会会員、新潟県展委員。

小林寿一郎「下久知八幡祭り」

PHOTO(上): 「佐渡文弥」2017年 木口木版画
PHOTO(下): 「下久知八幡祭り」2017年 木口木版 15.3×10.4㎝

ギャラリー&ミュージアムマップ 4/20~5/25 2017

私たちは、画廊や美術館を巡るひとが増えるにはどんな環境が必要か、考えています。
2008年創刊、毎月無料配布の情報冊子です。

新潟島とその周辺のギャラリー&ミュージアムマップ | gallery & Museum Schedule 2017.4-5

2017年4月20日(木)- 5月25日(木)

津田 真帆 展

4月12日wed―20日thu

vol.522 作家在廊予定日: 4/12

 津田真帆の絵を支える二本の柱は、元気と繊細だ。そう感じ続けてきた。
津田はすばらしい絵本の絵の作者で、挿画もすてきだ。絵本の絵も、挿画も、イメージにつながっていて、イメージは個展で発表する絵にもつながっている。家で言うならイメージは壁であり、屋根かも知れない。
 いつからか、壁と屋根のない、柱だけの津田の絵を見てみたいと感じるようになったのは、構造だけに還元された家は、どんなだろうと思ったからだ。見る側の身勝手で、そう、津田に伝えたりもした。
 今回の新作では、その、むき出しの柱が覗いていて、ドキッとした。風が吹きよせ、雨も落ちてくるであろう柱の間に広がる空間の光景に、居心地に、そそられる。
(企画 大倉 宏)

津田真帆「新しい陽」

津田真帆(つだ まほ)
1966年東京都生まれ。東京芸術大学卒業。子どもの絵画・造形教室に携わる。装丁・挿絵の作品に 『デ・ラ・メア物語集』(全3巻)、絵本に 『巨男/おおおとこの話』『うずまき・うずまき・かたつむり』『あかちゃんがいるの!』(大日本図書)、『わたしのあかちゃん』(福音館書店)、『あきですよ』(金の星社)がある。檜画廊 (東京)にて個展多数。2006・08・10・12・14年新潟絵屋で個展開催。東京都在住。

PHOTO(上): 「飛びだす」
PHOTO(下): 「新しい陽」2017年 ミクストメディア/紙 37.5×51.0cm

野中光正・村山耕二 展

4月22日sat―30日sun

vol.523 作家在廊予定日: 4/29、30(時間未定)

 3年前、仙台の杜の未来舎ぎゃらりぃの斎藤久夫さんの企画でのこの2人展は、私が展示をさせてもらったけれど、愉しかった。絵画とガラス、平面と立体という違うものが、同じ場所で、いい感じで共鳴する、その響きから発想がわいた。
 ふたりの共通の魅力は色だろう。砂は、高温で融かすと必ずガラス化するそうで、いろいろな土地の砂のガラス器が並んだが、微妙な色合いの差が面白かった。作家の感性が色に繊細に反応していた。
 野中の近作は、ことに色の渋さの底の華やかさが深まってきた。村山の器も飄逸(ひょういつ)さと、やわらかさと、華やぎがある。
絵とガラスの響き合いが、今回はどんな変化を見せるのか、楽しみだ。
(企画 大倉 宏)

野中光正「170120」野中光正 (のなか みつまさ)
1949年東京都生まれ。67年に絵画を、73年に木版画を始める。89年新潟県高柳町に移住、紙漉を学ぶ。91年かやぶきの家 (高柳)で個展、同年東京に戻る。以後、ゆーじん画廊、ギャラリーアビアント、ギャラリー枝香庵(東京)、高志の生紙工房ギャラリー、画廊Full Moon、砂丘館、新潟絵屋などで個展。2017年2月画集 『昭和四十五年の夏・野中光正』刊行。

PHOTO: 「170120」混合技法/和紙 60.8×45.6cm

村山耕二村山耕二 (むらやま こうじ)
1967年山形市生まれ。96年仙台に工房「海馬」設立。2001年モロッコへ渡航。サハラ砂漠の砂を融かして作り出す「サハラ」シリーズの考案と研究開始。07年モロッコ王国・王室へ作品献上品となる。11年宮城県芸術祭 (財)宮城県文化振興財団賞、13年 「仙台ガラス」グッドデザイン賞など受賞。 http://www.kaiba.org

中島佳秀 展

4月2日sun―10日mon

vol.521 作家在廊予定日: 4/2、8、9

 去年、中島佳秀の動物の絵の、毛だけが絵になったような、魅力的な抽象を紹介した。一点購入して、家のよく目につく壁に掛けている。媚びないが、冷たくもなく、適度な距離感でこちらを見つめ返してくる絵だ。
 今年は再び動物の絵を中心に展示する。動物が抽象になったのではなく、両者は平行して描かれているらしい。
 数年前の展示で、中島を動物画家と思った人がイルカの絵を注文した。中島は応えようとしてできなかった。中島の動物は、動物ではなく、中島から絵を引き出す爪のようなものなのだが、イルカにはきっと、爪がなかったのだ。
 近作で見る限り、その爪はごわごわした毛であったり、しわのよった肌だったり、主に触覚的なものとして作用している。きわめて部分的な動物なのだが、その部分の力で、全体が動く不思議なモノがここにある。
(企画 大倉 宏)

中島佳秀「いばらと、おどろ 7」

中島佳秀 (なかじま よしひで)
1975年京都市生まれ。都市計画・建築を学んだ後、独学で平面の制作を始める。2008年より個展を中心に平面作品の発表を行う。2010・11・16年新潟絵屋で個展開催。 http://www.yshdnkjm.com

PHOTO(上): 「いばらと、おどろ 10」
PHOTO(下): 「いばらと、おどろ 7」2017年 ミクストメディア/紙 21.0×29.7cm