4月2日sun―10日mon
vol.521 作家在廊予定日: 4/2、8、9
去年、中島佳秀の動物の絵の、毛だけが絵になったような、魅力的な抽象を紹介した。一点購入して、家のよく目につく壁に掛けている。媚びないが、冷たくもなく、適度な距離感でこちらを見つめ返してくる絵だ。
今年は再び動物の絵を中心に展示する。動物が抽象になったのではなく、両者は平行して描かれているらしい。
数年前の展示で、中島を動物画家と思った人がイルカの絵を注文した。中島は応えようとしてできなかった。中島の動物は、動物ではなく、中島から絵を引き出す爪のようなものなのだが、イルカにはきっと、爪がなかったのだ。
近作で見る限り、その爪はごわごわした毛であったり、しわのよった肌だったり、主に触覚的なものとして作用している。きわめて部分的な動物なのだが、その部分の力で、全体が動く不思議なモノがここにある。
(企画 大倉 宏)
中島佳秀 (なかじま よしひで)
1975年京都市生まれ。都市計画・建築を学んだ後、独学で平面の制作を始める。2008年より個展を中心に平面作品の発表を行う。2010・11・16年新潟絵屋で個展開催。 http://www.yshdnkjm.com
PHOTO(上): 「いばらと、おどろ 10」
PHOTO(下): 「いばらと、おどろ 7」2017年 ミクストメディア/紙 21.0×29.7cm