都市と都市:新潟 榎本千賀子写真展

6月2日tue―10日thu

vol.463

 前回の榎本千賀子の写真展に、新興住宅地を批判的に見たがる自分を揺さぶられた。それは彼女の生い育った環境だった。新、と言ってもそれなりの時を経た住宅地にはそれなりの旧がある。その微細な新旧を、環境を構成するトーンとして等価に見て、感応する写真家の目が新鮮だった。
 今回は一昨年から住み始めた新潟シリーズ。長く白黒で来た写真が、カラーに変わったのも興味深いけれど、新潟に住む者の目でみると、その色がまぎれもない新潟だ。それがまた、言葉で説明しにくい微妙なところで、土の色なのか、コンクリートや合板の風化の塩梅なのか、光なのか、草なのか、それらのブレンド具合なのか。
 微細の集合で成立する微妙な固有性を、全国一律と括ってしまいたくなる郊外住宅地で育った目が、平凡に近似する非凡な視角で、カメラというへらで切り取る。その魅力も、微妙で、形容詞が見当たらない。(企画 大倉 宏)

PROFILE
榎本千賀子(えのもと ちかこ) 1981年埼玉県生まれ。一橋大学言語社会研究科修士課程修了。個展は05年「DAEDALUS」(Musee F/東京)、07年「Absolute Reasons」(表参道画廊/東京)、10年「Reflections」(OGU MAG/東京)、11年「bypass」(Toki Art Space/東京)、13年「INVENTION」Gallery 10:06/大阪)、14年新潟絵屋「The City and The City ―TOKYO」など。15年11月グループ展「リフレクション」(Place M/東京)に出品予定。現在、新潟大学人文学部助教。新潟市在住。
https://sites.google.com/site/chikakoenomoto

PHOTO: 2014年 インクジェットプリント 24.0×30.0cm

■作家在廊予定日:6/5(18:00〜).6/6.7 
■6/5(金)は21時まで開廊
■6/6(土)19:00〜トークイベント(聞き手:大倉宏/500円/申込不要)

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