大竹 英志 展

 12月12日sat―20日sun

vol.481

 大竹英志の絵は、白い雲を描いたものでも、さざなみだつ水面を描いたものでも、見た瞬間にある重みを感じる。
 ずっしりというのではないけれど、紙や羽のようなふわっとした感じでもない。中身の半分入った灯油缶のような重みだ。
 さざ波の画面に顔を接近させると、波のすぐ下に別のものが見える。すぐ下、というのも正確でなく、それは画面上に平行ーあるいは同時存在しているような感じ。この同時存在の絵と、重みの関係について、考えてみるが、よく分からない。よく分からないが、その分からなさにうながされて、また見たくなる。
 見る…接近する…分からなくなる…また見たくなる…という環のなかで、まるで半分の灯油を注ぎ出すべきか、足すべきか分からないような戸惑いの重みが、手渡される。
 戸惑うこと、戸惑うことのなかにとどまること、戸惑うことから立ち去らないことを、勧められているように感じる。(企画 大倉 宏)

大竹英志(おおたけ えいじ)
1955年新津市(現新潟市秋葉区)生まれ。名古屋芸術大学美術学部卒業。新象展、現代日本美術展、日韓現代美術交流展、シェル石油現代美術大賞展等に参加。2015年3月フランスで個展開催。千葉県内で高校教師の職と同時に様々な美術活動を行う。

▶みるものとよいところ 会場のようす

PHOTO: 「TOKI 2015-3」2015年 アクリル 和紙 鉄錆 緑青・キャンバス 45.0×90.0cm

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