佐佐木實・津田真帆・中島佳秀・湊雅博
10/17[木]―30[水]
exhibition vol.583
抽象的は、具体性がなく、よく分からないという意味で言われる。イメージは抽象的なものを具体的に伝えようとして使われる。けれど、たとえば中島佳秀の絵は、ケーキというイメージを描きながら、とても抽象的に(=何の絵なのか分かりにくく)見える。
イメージと抽象の境はどこにあるのだろう。
デュブーシェは言う。「イメージの火、それは、またもういちど、遅れだ。過剰な生のうえで燃え、尽きさせる遅れ」…「その尽き果てるときへとたどりついたイメージ。たどりつく、おびやかされゆれている終わりへと」…「その尽きるぎりぎりのはしで、イメージは始まる。奇妙な瞬間だ」。
ケーキ(というイメージ)が燃えて尽き、中島の絵(というイメージ)が始まる、瞬時の、目をみはるような転換、変容が、抽象なのだと思う。
そんな跳躍を、ここに紹介する4人の表現はみな生きている。 (企画者:大倉 宏)
*引用はアンドレ・デュブーシェ「イメージ、尽き果てるときに」(吉田加南子訳)より
PHOTO: 佐佐木實
左/「イ」 2018年 鉛筆・色鉛筆・木炭・パステル・水彩・インク/紙 67.0×53.3×2.7cm
右/「イ」 2019年 鉛筆・色鉛筆・インク・ビール/紙 99.2×51.2cm
佐佐木 實(ささき みのる)
盛岡市生まれ。東京藝術大学大学院修了(美学)。フランス国立社会科学高等研究院博士課程言語学専攻修了。制作と学問の双方から言葉/文字を記す行為に向かいあい、近年は『ヒ象る』『イ充つ』など一つの片仮名から着想を広げインスタレーション性の強い作品を制作する。 2011・14・15・17年新潟絵屋で個展開催。
www.minorusasaki.com
PHOTO: 津田 真帆「明るさへ向かう花」2019年 ミクストメディア/紙 19.5×19..5cm
津田真帆(つだ まほ)
1966年東京都生まれ。東京藝術大学卒業。子どもの絵画・造形教室に携わる。装丁・挿絵の作品に 『デ・ラ・メア物語集』、絵本に 『巨男/おおおとこの話』『うずまき・うずまき・かたつむり』『あかちゃんがいるの!』、『わたしのあかちゃん』、『あきですよ』がある。2006・08・10・12・14・17年新潟絵屋で個展開催。
PHOTO: 中島佳秀 「cakes」 2017-2019年 ミクストメディア/紙 21.0×29.7cm
中島 佳秀(なかじま よしひで)
1975年京都市生まれ。都市計画・建築を学んだ後、独学で平面の制作を始める。2008年より個展を中心に平面作品の発表を行う。2010・11・16・17年新潟絵屋で個展開催。 www.instagram.com/yoshihide_nakajima/
PHOTO: 湊雅博「FUSION」ゼラチン・シルバープリント 23.5×23.5cm
湊 雅博(みなと まさひろ)
写真家としての作品制作する傍らディレクターとして風景に係わる写真家の新たな表現と可能性を表象する「リフレクション」展を開催。本年5月には自身の作品集『FUSION:環』を刊行し森岡書店銀座店で記念展を開催する。www.masahirominato.com
関連イベント
ギャラリートーク
10/25[金] 19:00-20:30
抽象=抽(ひ)き出し象(かたど)ること。その一枚の絵、写真において、何から、何が引きだされ、何が象られたのかー4人の表現で考えます。
- 話し手:大倉宏(「イメージと抽象 展」企画者/美術評論家)
- ゲスト:佐佐木實・津田真帆・湊雅博
- 会場:新潟絵屋展示室
- 参加料:1,000円(要予約)
- 申込方法:新潟絵屋へ電話またはメールでお申込みください。
PHOTO: 中島佳秀 「cakes」 2017-2019年 ミクストメディア/紙 21.0×29.7cm
作家在廊予定日
佐佐木實:10/17・25・26
津田真帆:10/25・26
中島佳秀:10/20
湊雅博 :10/25・26