渡辺雪子展

11/2[土]―10[日]

vol.585

 新井郷川に近い渡辺雪子さんの家は、ゆるやかな仕切りで、隔てるというより繫がるようにつくられた空間に、おそろしくたくさんのものが溢れているが、それでいて雑然の感じがなく、住み手に何が、どこにあるか、しっかり把握されているような気持ち良さがある。
 渡辺さんは40歳を過ぎてから本格的に絵を学び、長年制作を続けてきた。その抽象 空間も、激しい筆致の筆が画面を走りながら、やはり雑然に似た整然があって、美しい。そこが、少し物足りないと感じて見ていたら、部屋が地震でくずれたと感じさせる絵があった。抽象というより、風景や人間など、具体的なイメージにかき回されたような画面で、心地よさを越えた躍動がある。美しい絵もいいけれど、こういう、事件とも言うべき絵も描く、そこが画家としての、渡辺さんの魅力だと思う。 (企画:大倉 宏)

渡辺雪子(わたなべ ゆきこ)
1940年新潟市(旧北蒲原郡長浦村)生まれ。 85~91年人体デッサン等を学ぶ。91年武蔵野美術学園修了。97年~自由美術協会に出品。個展は、99年千駄木画廊(文京区)、2002年ギャラリーさくら(羽村市)、2010年コートギャラリー国立(国立市)、15・16年K’sギャラリー(京橋)、19年ギャラリーHAFU(新潟市北区)など。

渡辺雪子
PHOTO:「景」 2012年 ミクストメディア/紙 32.0×24.0cm


渡辺雪子
PHOTO:「Romance 2002」年油彩/キャンバス 60.0×49.0cm 


渡辺雪子 201911