星野貴代展「あしたの気配」

3/2[月]―14[土]

vol.590

  “空を飛ぶ鳥のように自由に—”と人は歌う。けれど鳥たちは、決して好き勝手に飛んでいるわけではなく、それぞれの必然や必要、目的に迫られて飛んでいるのであって、決して人が思うほどには自由に飛んでいるわけではないんじゃないか。鳥好きの自分はちょっと茶々を入れてもみたくなるが。
 星野貴代さんは「陶芸作品よりも平面の作品の方が自由な気分でいられる」と言う。確かに紙の上で星野さんの線は、色は、自由奔放だ。未知の世界の地図のようにコミカルに紙の上を走り回ったり立ち止まってみたり。花のように艶やかに咲き満ちたかと思えば、霧雨の中に散る風情にも。
 その自由さの中には、もしかしたら星野さん自身気が付いていない必然や必要や目的が隠されているのかも知れない。むしろ奥に潜む不自由さこそが、星野さんの絵を眩しく輝かせているのかも、とふと思えてくる。星野さんの絵がどこまで高みに向かって飛べるのか、それをみつめていたい。  (企画 田代早苗)

星野貴代(ほしの たかよ)
1974年新潟市生まれ。99年佐藤公平氏に師事。 2001年新潟市西蒲区(旧中之口村)に開窯。02年以降毎年ギャラリー栞(新発田市)での個展で発表するほか、05年アートスペースガレリエ(上越市)、09・11・12・13・14年ギャルリー炎舎、15年ギャラリーゆうむ、15・16・17・18・19年シロネプレッソ、16・17・19年Kaede Gallery+full moonにて個展開催。

PHOTO(上):「繧繝に棲む人」2019年 墨・アクリル・ペン/和紙

星野貴代展「あしたの気配」

PHOTO:「UNCHARTED 雲の還る場所」 2017年 オイルパステル・ペン/紙 19.6×26.8cm


SHOP 3/2[月]-14[土]

星野貴代 陶器

展示室では星野貴代さんの絵に光を当てますが、ショップでは日常にお使いいただけるお皿、鉢、カップなどをご紹介します。

星野貴代 陶器

PHOTO: 金彩下絵模様鉢 5,000円(税別)