長谷川徹展

10月12日mon―20日tue

vol.475

 1年ぶりに訪ねると、長谷川徹はいつもの座椅子に座り、脚を左右に揺らしていた。脇に描きたてらしい絵が3点。洗面器に青いアクリル絵具が水に溶いたままあった。写真を撮り、話をしているうち、ベッドの奥の本棚に、サイードの『晩年のスタイル』があるのを見つけた。それを個展までとの約束で借りてきたが、まだ読んでいない。
 67歳の長谷川を、晩年と言うのは早すぎるかも知れないが、市中の山居のような暮らしぶりが今後も変わらないとすれば、そう呼んでもいいのかも知れない。絵は、それでも1年毎に変化して、西欧中世の木彫のキリスト像にますます似て来た長谷川の体のように、肉より骨格が透けて見えるようになってきた。若かった長谷川の絵を懐かしむ私もいるけれど、晩年のスタイルをあらわにしつつある今も興味深い。(企画 大倉 宏)

長谷川徹(はせがわ とおる)
1948年新潟市生まれ。69年武蔵野美術大学油絵科中退。以後、新潟で創作活動に入る。78〜2001年絵画研究所アート・ノバを主宰。主な個展は、77〜01年アトリエ我廊、83・86年羊画廊、94・03・13年たけうち画廊、04・06年楓画廊、05年炎舎、03・10〜14年新潟絵屋、13年蔵織(たけうち画廊・新潟絵屋・蔵織 3会場同時開催および画集刊行)にて個展。そのほか個展多数。92・94 年安井賞候補。96年感動創造美術展グランプリ受賞。新潟市在住。

PHOTO: 「WORKS」2015年 アクリル・板 84.0×59.4cm

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