小林春規展

10月22日thu―30日fri

vol.476

 最近、運転中にいろんなものがうようよ宙に舞っているのに気付いた。黒い点もある。びっくりして眼科で診てもらうと網膜に異常はなく、目そのものの内部の傷が見えているだけなので、「見ないように」して下さいと言われた。そんなことができるのか――と思ったけれど、1週間後には気にならなくなった。
 小林春規の新作「飛行機雲」の水色の空にも、微細な「うようよ」が漂っている。板目木版画特有の刷りむらだ。そう意識して見ると、どの小林の版画にもそれはあるのだった。小林の風景がカメラの画像より、確かに人間の目が見るものに近いと感じさせるのはそこかも知れない。老いた目はおのれのよどみを透かして外の世界を見る。「見ないように」させられたよどみが、たぐり寄せ、目にすっぽり入りこんだ空を、見えない飛行機の音が通過していく。(企画 大倉 宏)

小林春規(こばやし はるき)
1953年新潟県水原町生まれ。幼年時より木版画を始める。18才で初の個展後、京都の表具師の内弟子となり、表具の仕事を続けながら版画制作を続ける。90年新潟県笹神村(現阿賀野市)に転居。70年より日本アンデパンダン展、平和美術展に出品。70年より日本アンデパンダン展、平和美術展に出品。平安画廊・ギャラリー岡崎・ギャラリーかもがわ・ギャラリークリエート洛(京都)、みずさわ画廊(東京)、考古堂ギャラリー・ギャラリー点・ギャラリー彩・ギャラリー郷・ギャラリー柳本・アトリエ新・小さな美術館季・ギャラリー松ぼっくり・画廊愛・浜つばき・砂丘館・画廊Full Moon・新潟絵屋(新潟)などで個展。

PHOTO: 「飛行機雲」2015年 木版画・紙 27.0×37.5cm

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