厚地富美子 ガラス絵展

11月2日mon―10日tue

no.477

 厚地さんの本領は木版画だが、絵屋での4年ぶり2回目の個展は近年、手がけておられるガラス絵でお願いした。
 ガラス絵でもモチーフは木版画同様、身近な親しみのこもった人形や壺や鳥の置物たちだ。これらが、厚地さん流にデフォルメされてガラスの板に描かれる。紙への刷りではなく、直接ガラスに彩色した分、色彩の明度も彩度も高まり、色面はより鮮やかさを増している。色彩の配置、対比の妙もその印象を強める。厚地さんの色彩効果満点のカラーフィールドはガラス絵でも健在である。それにしても、画面に漂うこのたっぷりとした大らかな情感はどうだろう。「描きたいものを描きたいように描く」と厚地さんはいう。無心の絵心からはとらわれのない自由で伸びやかな愛すべきガラス絵たちが生まれた。
 そういえば、厚地さんは出雲の人だ。大国主命の末裔と言えなくもない。その絵には大黒様の笑顔が良く似合う。(企画 小見秀男)

厚地富美子(あつじ ふみこ)
1936年島根県松江市生まれ。47年より新潟市に住む。75年新潟市中央公民館の年賀状講座に参加し、木版画を始め、鈴木力氏の指導を受ける。新潟市市展市長賞、新潟県展県展賞(2003年)、奨励賞(86・96・00年)を受賞。08年たけうち画廊(新潟市)、10年ギャラリー十三代目長兵衛(柏崎市)、11年新潟絵屋で個展開催。グループ展「遊」出品。

PHOTO: 「ことり」2015年 アクリル/ガラス 25.4×20.3cm

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